5.1.2c  古レールの刻印の調査 (首都圏南部のJR)

1st wrote at 1999.10.08 / Last update at 2004.11.03

 駅・路線ごとの古レール調査結果のうち、首都圏(ホリデーパスのエリアに限定)のJR線で、日本鉄道敷設の各線とその枝線以外(山手線,武蔵野線は含まない)の沿線のリストです。これ以外の首都圏は首都圏北部JR,その他のJR東日本エリアは東北日本のJR関東甲信地域のJRにあります。 
 ここにあるリストは、主観を排除するため、現地で判読できた文字列をそのまま記載してあります。従って、間違いや抜けがあるまま載せている可能性がありますので、ご理解とご注意の程よろしくお願いします。 
 順番は、県別(県番号順)に駅・路線を並べ、以下に製造元名のABC順としています。 

路線(50音順) 


(pref.13) 青梅・五日市線

 青梅線(元の青梅鉄道−青梅電気鉄道,1894−1944)・五日市線(元の五日市鉄道,1925−1940)の沿線で見た古レールです。
 五日市線では、駅施設に古レールは見られませんでしたが、境界柵などには若干見られます。
 青梅線では、青梅−立川間で、
青梅駅構内(跨線人道橋,駅上屋は記録ミスで不明),東青梅(跨線橋),羽村,牛浜,拝島
の各駅にホーム上屋などに古レールが利用されています(下線付きのみ調査済み)。なお、拝島〜立川の各駅では古レールは確認できませんでした。
跨線橋
刻 印 (読んだまま) 備 考
(M) CARNEGIE 1907 ET IIIIII 【横向き I マーク】
(H) 75 A.S.B S CO STEELTON  IIIIIIIIII  1923 OH I.G.R. 1番線,2,3番線の跨線橋
(H) OH TENNESSEE 7540 ASCE 1 1922  工
(H) 37 (丸Sマーク) 1932  IIIIIIIIIIII  OH 1番線
(H) 37 (丸Sマーク) 1932 IIII OH 2番線
(I) (丸Sマーク)  30  A  1930  IIIIIIIIII 落石防止柵
(H) (丸Sマーク)   75   A   1926 2番線,

【凡例:(M) 御嶽 (I) 大久野−岩井(廃線) (H) 拝島】

写真:跨線橋@拝島駅
拝島駅:古レール利用の跨線橋

(pref.13) 高尾(中央東線)

 中央本線のうち、東京都内で三鷹以西の各駅のホーム上屋で、駅のホーム上屋などに古レールが利用されているのを確認しているのは、次の各駅です(下線付きは調査あり)。
高尾国立武蔵小金井武蔵境,三鷹電車区構内(跨線人道橋)
高尾は以下で、国立武蔵境武蔵小金井は次項以下に整理しました。
 このうち立川〜三鷹間に関しては、高架化工事により仮線に移行済みおよび移行の予定で、従来のホーム上屋や跨線橋は使用停止・撤去となるようです。そのため、古レールが見られるのも期限つきです。

 高尾駅には、古レールで作られたホーム上屋がかなりの数あり、2つある跨線橋も古レール利用となっており、古レールの宝庫駅と言えるでしょう。
 調査時の時間の都合で、3,4番線の塩尻側のみの調査となっています。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(3) CARNEGIE   1900   E T   I   工 4番線塩尻方端
(3) 6009 ILINOIS ST??? Co SO??? WKS ? 1897 I ? ? (年不明12月もあり)
(3) 277 LORAIN STEEL【不明瞭】
(3) UNION 1903.I.R.?.
(3) UNION 1902.I.R.J.
(3) (丸Sマーク)   60   A   1928   IIIIIIIIIIII
(3) (丸Sマーク) NO 60 ?   1911  VI 裏面工マーク,かなり不明瞭
(3) (丸Sマーク) ?? NO60B  1902 裏面工マーク,かなり不明瞭

【凡例: (1) 1,2番線ホーム上屋 (3) 3,4番線ホーム上屋

(T) 東京方跨線橋 (S) 塩尻方跨線橋】

(pref.13) 国立(中央東線)

 国立駅では、1番線ホームの上屋,2番線ホームの上屋,駅舎に古レールが見られます。国立駅の駅舎は、優れたデザインの駅舎として有名ですが、支柱,梁,ひさしなどに古レールが使用されています(2004年7月現在)。

 1番線(下り線)のホーム上屋と2番線(上り線)のホーム上屋の東京方は類似したレールが使用されています。この中には、官営八幡製鉄所の1904〜1916年製と見られるレールを多数見掛けましたが、ほとんどが不明瞭で、製造年等は不明です。
 2番線塩尻方のホーム上屋の支柱は、刻印がほとんど読めませんでしたが、CAMBRIA らしきレールを2,3本確認しました。CAMBRIA の刻印は薄いので、すべてこのレールの可能性が高いと考えます。

 この駅も、中央線の高架化工事に伴い、ホーム上屋などが撤去されそうです。日本で最初の鋼製平底レールである、CAMMELL の1880年製,1881年製レールが見つかっています。何とか保存の手だてを打ちたいところです。もし、工事関係者の方がこれをご覧になっていたら、ご一報を下さい。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(E) BARROW STEEL SEC166 1884 N T K 1884と読める
(2) 【不明瞭】 8/1892   SEC166  I R J
(1),(2) BARROW STEEL 2MO 1888 166 I  R  J
(S) CA?B??A-60LBS-NO??? A??? 1919  VII 工マークは確認できず
(1) CA????? SHE?????D ????????? ????? 1885  P  IRJ
(E) CAM???L ????????D ??????NED STEEL 1885【不明瞭】
(1),(2)        【切断】IELD  TOUGH?N?D  STEEL  C  1881  I  R  J  SEC131
(1) ??????? ??????LD TOUG????? STEEL  C  1880  SEC  131  I  R  ?
(E) CARNEGIE  1906  ET  II  N T K 【横向きI】
(2) 【遮蔽】1902  E T IIIIIIIIII  I  R  ? 断面計測 → 60ASCE
(2) CARNEGIE  190    E T【不明瞭】
(E) CARNEGIE   1900   E T   II   工 断面計測  →  60-2
(1) COCKERILL-XII-1925-60LBS-ASCE-IJGR
(E) 6009 I?????S STEEL Co SOUTH WKS 1 1898 ? R J
(1) 工 LACKAWANNA 600 6 1919
(E) 【不明瞭】LAND  IIIIIII  07  工 断面計測 → 60ASCE
(1),(2) OH TENNESSEE-6040-ASCE-3-1922   工
(E) UNION D 1887.N.T.K.
(2) UNION D 1885【遮蔽】
(1) 30AS <角Sマーク> 1960 IIIIIIIIIIII
(1) 30 A (丸Sマーク) 2602  IIIIII  OH
(1) (丸Sマーク)   60   A   1924
(1) (丸Sマーク)   60   A   1923
(1) (丸Sマーク) NO 60 A   【不明瞭】 裏面工マーク,1911?

【凡例: (1) 1番線ホーム上屋 (2) 2番線東京方ホーム上屋

(S) 2番線塩尻方ホーム上屋 (E) 駅舎】
写真:駅舎@国立駅 国立駅:
古レール利用の駅舎
ひさし部の柱も古レール

(pref.13) 武蔵小金井(中央東線)

 武蔵小金井駅では、下り線の1番線ホームの上屋,上り線と中線の2,3番線ホームの上屋,2つある跨線橋に古レールが使用されています。跨線橋の古レールは、塩尻方のものは内部の梁に使われている程度(だったよう)ですが、東京方のものは支柱も含め古レールが多用されていたものでした。
 これといった古レールはありませんでしたが、数は豊富です。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(2) BARROW STEEL   SEC166   1894    N T K 2,3番線
(1) BARROW STEEL  SEC166  1893  K  R  C 1番線
(K) BV&CO LD 1902 I J R 2,3番線側
(K) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL 1886  P  IRJ 2,3番線側
(2) CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL.W.1888.SEC131 I.R.J 東京方3番線側
(2) CARNEGIE   E  T   U S A   1919    III      7540    工 東京方。不明瞭
(2) CARNEGIE   E  T   U S A   1917    IIII      7540 東京方。不明瞭
(2) CARNEGIE   1905   E T   I    N T K 東京方3番線側。60lbs2種
(?) CO?KERI?? ?? ???? ?0LBS ASCE-IJGR ホーム上屋
(K) 6009 ILINOIS ST?E? ?o SOUTH WKS   ?   18?8 IRJ 2,3番線側
(1) 工 LACKAWANNA 600   6 1919 (#3@1)
(K) OH TENNESSEE 6040 ASCE 10 1921   工 跨線橋1番線
(2) OH TENNESSEE 7540 ASCE 3 1923    工 東京方
(2) OH TENNESSEE 7540 ASCE 2 1923    工 東京方
(1) UNION D 1887. N.T.K.
(1) UNION D 1886 N T K
(K) 50 PS (丸Sマーク) 1961 IIIII OH 跨線橋1番線
(2) 37 A (丸Sマーク) 1954  IIIII  OH 東京方
(K) 50 PS (丸Sマーク)  1955   IIIIIIII  OH 跨線橋3番線側
(2) 37  (丸Sマーク)  1950  IIIII    OH 東京方
(?) 30 A (丸Sマーク) 2607 IIII OH ホーム上屋
(K) 30 (丸Sマーク) 1938. IIIIIII OH
(K) (丸Sマーク)   60   A   1928   IIIIIIIII
(2) (丸Sマーク)   75   A   1927   IIII 東京方
(K) (丸Sマーク)   60   A   1926   IIIIIIIIIIII
(?) (丸Sマーク)   60   A   1926
(?) (丸Sマーク) 60 A  1921  VII 裏面工マーク。跨線橋?
(?) (丸Sマーク)   60   A   1917   VIII 裏面確認不可
(1),
(2),(K)
(丸Sマーク) NO 60 A   1911  XII 裏面工マーク。
(?) (丸Sマーク) NO60B   1906【遮蔽】 裏面工マーク確認できず。上屋

【凡例:(1) 1番線ホーム上屋 (2) 2,3番線ホーム上屋 (K) 跨線橋部材 (?) 位置忘れ】 

写真:山形ホーム上屋@武蔵小金井駅
武蔵小金井駅:古レール利用のホーム上屋

(pref.13) 武蔵境駅(中央東線)

 武蔵境駅ではホーム上屋,跨線橋に古レールが見られ、上り線の1番線ホームでは多種のレールが見られましたが撤去されたようです(私が行ったときは撤去中だった)。
 下り線と西武多摩川線の2,3番線ホームは、横浜鉄道発注の CARNEGIE のみとなっているようです。
 跨線橋の橋梁部の部材には南満州鉄道のマークの入ったレールが数本見られました。この跨線橋も高架化工事に伴い撤去されるようですが、満鉄マーク入りのレールをなんらかの形で保存・展示できることを願いたいです。跨線橋改札側の上部の梁のものが塗装を落せば、最も保存状態が良さそうです。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(1) BARROW STEEL 3Mo 1888 I R J 166 1887年製? もあり
(1) BV&CO LD 1902 I J R
(1) BV&Co 1888 I R J
(1) CA???L?S STEEL.W.189【遮蔽物】
(1) CAMMELL SHEFF???? ?OUGHENEDSTEEL. W.1888 SE?? ? IRJ
(3) CARNEGIE  1906  E T  IIIIIIII        【横向きI】 Y T K      60 A
(1) CARNEGIE  1??5  ET  IIIIII    【横向きI】    N  T  K
(1) CARNEGIE    1905    ET  I  N  T  K 1905 or 1906
(1) 600? ILLINOIS ST??? Co SOUTH WKS XII 1897 IRJ 6003とも読める
(1) 工 LACKAWANNA 600 7 ????
(1) 6 MARYLAND XII 03 N.T.K
(K) 60 A S B【梁】 ?TEELTON【不明瞭】
(K) 【切断】IIIIII  1922  OH 【満鉄マーク】-<CONSTECO>-MADE IN USA
↑橋梁部
(1) UNION D 1887.N.T.K.
(1) (丸Sマーク)  60   A   1919   XI 裏面記号類確認できず
(1) (丸Sマーク)  60    A   1919   III 裏面記号類確認できず
(1) (丸Sマーク) NO 60 B    1906  VII 裏面 "NTK"
(1) (丸Sマーク) NO 60 A    1905  XI 裏面確認不能

【凡例:(1) 1番線ホーム上屋,(3) 3番線ホーム上屋,(K) 跨線橋】 

写真:山形ホーム上屋と跨線橋@武蔵境駅
武蔵境駅:ホーム上屋と満鉄マーク入り
レールが多用されている跨線橋

(pref.13) 中央東線(東京都内,三鷹〜大久保)

 東京都区内のうち、山手線の外側部分の中央本線(中央緩行線〜黄色の電車の線〜を含む。元の甲武鉄道,1889−1906)の各駅のホーム上屋で確認した古レールです。この区間では、
荻窪?(跨線橋),東中野(跨線橋),大久保
の各駅でホーム上屋などに古レールが利用されているのを確認しています(下線付きは調査済み)。
 大久保駅には多数の鉄道会社が発注した CAMMELL 製レールがコレクション的に見られました。何故か大阪鉄道(OTK)のレールが多数見られるのが不思議です。ただし全体的に塗装が厚く、不明瞭なものが多いのが難点です。
 東中野駅は、橋上駅舎の部材として古レールが支柱その他として使われています。私の調査は、「つまみ食い」状態で、完了していません。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(O) BV&CO LD 1904 製造年不明瞭
(O) CAMM???? STEEL W 1894 SEC131
(O) CAMMELL・S TOUGH?????TEELW. 1900 S.T.K. SEC461 各数字不明瞭 (? "1890")
(O) C??MELLS TOUGH【穴】ED STEEL ? 1890.K.T.K.SEC351 SEC# 不明瞭
(O) CAM????S TOUGH?????TEELW 1888 K.T.K. SEC351 SEC# 不明瞭
(O) CAMMELLS TOUGHENEDSTEELW 1888 SEC461.K.T.K. SEC# 不明瞭
(O) ?A?MELL・S TOUGHENED?TEEL.W.1888 SEC350.O.T.K. SEC# 不明瞭
(N) CARNEGIE  1906  E  T  IIIIIII     【横向きI】 Y T K  60 A  跨線橋北口改札外
(N) TS 工 100    PS  COLUMETA TREB  XII  1925 → 駅舎の支柱
(O) MOSS BAY STEEL 1894 SEC316
(O) 60 A S B S CO STEELTON【不明瞭】O.H.I.G.R.
(O) (丸Sマーク)   ?0   A   1938  IIIIIIIIIII "?0 A 1938"
  → "30 A 1928"

【凡例:(N) 東中野 (O) 大久保】


(pref.13) 中央東線(東京都内,新宿〜東京)

 東京都区内のうち、山手線内の中央本線(中央緩行線〜黄色の電車の線〜を含む)の各駅のホーム上屋で確認した古レールです。ここは、意外にも古レールの楽園となっています。
 新宿駅では、中央本線快速線(オレンジ色の電車)の下り用ホーム(9,10番線)の一部に奇跡的に古レールを利用したホーム上屋が残っています。
 千駄ヶ谷駅は、古レールで作った長いホーム上屋があるのですが、刻印が読めたのは1本だけでした。四ッ谷駅は2支柱だけ古レールの支柱が残っています。
 飯田橋駅は、ホーム上屋などに大量の古レールがあるのですが、厚い塗装や、ウェブ面にアングル材を当ててリベットで補強したあったりで、刻印はほとんど読めません。神楽坂口方のスロープも古レール利用なのですが、通路内部から古レールが見えなくなってしまったのが残念です。
 御茶ノ水駅にも、古レール利用のホーム上屋がありますが、人の高さ程度まで化粧板で覆ったものが多く、観察が困難となってしまったのが残念です。
 代々木,水道橋は、古レールを利用した
刻 印 (読んだまま) 備 考
(O) BARROW STEEL  Sec166. 1894. I R J
(O) BARROW STEEL 3MO 1888  166  I R J 御茶ノ水のメイン
(O) BV&Co 1??? I R J
(J) ??M????? S ST??L W 1896 N  T  K  SEC131
(O) CAMMELL SHEFFILD TOUGHE?EDSTEEL  1884  P
(I) CARNEGIE  190?  ET  【以下リベットにより不明】
(J) CARNEGIE  1903  ET  I 【穴,穴】K【横向きI】 1906 or 1905
(O) CARNEGIE   1900   E T    I【以下遮蔽物】
(I) 600? ??????? ???LL ?o SOU?? WKS   ?   188? IRJ
(O) OH TENNESSEE-7540-ASCE-11-1926 製造月製造年不明瞭。
末尾工なし
(O) UNION D 1887.N.T.K
(S),(O) UNION D 1886.N.T.K. 御茶ノ水ではこの年が多い
(O) UNION D 1885.N.T.K
(O) UNION D 1885.I R J
(O) 37 A (丸Sマーク) 1952  IIIIIIIIII OH 跨線橋
(O) 50 PS (丸Sマーク) 1952  IIIIIIIII  OH 跨線橋
(O) (丸Sマーク)   37   A   1931   I 跨線橋
(O) (丸Sマーク)   75   A   1928   IIIIIIIII 跨線橋
(Y) (丸Sマーク)   75   A   1928   II 製造月は不明瞭
(O)
(丸Sマーク) NO 75 A   1912  X 裏面に「工」
他に裏面確認不可な7月製も有り。いずれも跨線橋
(J)
(丸Sマーク) NO 75 A 1911  IX 裏面に「工」
他に11月製も有り
(O)
(丸Sマーク) NO 75 A    1907    XII 裏面に「工」
跨線橋

【凡例:(J) 新宿 (S) 千駄ヶ谷 (Y) 四谷 (I) 飯田橋 (O) 御茶ノ水】

写真:笠形ホーム上屋@新宿駅
新宿駅:古レール利用のホーム上屋
(中央快速線下りホーム)

(pref.13) 両国(総武本線)

 総武本線(元の総武鉄道,1894−1907)の各駅停車の停車駅である両国駅には、総武本線が東京に乗り入れるまで都心側のターミナルとして利用されていた優等列車用のホーム(3・4番線)が残っています。これは、中央・総武線の各駅停車のホームより一段下に見えるホームで、現在は旅客用には使われておらず、立ち入りは困難な場所です。
 ある時、同ホームを利用して運転される団体列車に乗車する機会を得たので、発車待ちの時間を利用して、同ホームのホーム上屋の支柱を中心に古レールの調査を行ないました。
 なお、総武本線の東京,御茶ノ水〜千葉間では、駅に古レールが確認できるのは、浅草橋と両国だけです(御茶ノ水秋葉原を除く)。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(4) BARROW STEEL SEC166 1894 N. T. K.
(4) BARROW STEEL SEC166 1893. I.R.J
(3),(4) BARROW STEEL 11MO 1890. 166. I R J
(3),(4) CAMMELLS. TOUGHENEDSTEEL.W.1888.SEC131 I R J
(3),(4) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL.W.1897.SEC131.I.R.J (1897 → 1887 ?)
(3) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL 1885 P IRJ
(3) CARNEGIE 1906 ET IIIIII
(4) KRUPP1885 N T ? (N T ? → N T K)
(3) UNION D 1886.N.T.K.
(3) (丸Sマーク) NO 60 B 1908 裏面記号類
認められず

【凡例: () 内の数字は、番線の番号

写真:W形ホーム上屋の支柱@両国駅
両国駅:3・4番線のホーム上屋

(pref.13) 蘇我(外房線・内房線・京葉線)

 首都圏近郊区間内の外房線と内房線の各駅のうち、古レールが確認できたのは蘇我駅だけです。外房・内房線上りが使用しているホームと京葉線が使用しているホームのホーム上屋と跨線橋の支柱に古レールが見られます。
 大半は、日本の八幡製鉄系の古レールでしたが、1本だけアメリカの TENNESSEE 製が見られましたものの遮蔽物があって製造年月が確認できないのが残念です
刻 印 (読んだまま) 備 考
(H) OH TENNESSEE 7540 ASCE 【遮蔽物】
(H) 【不明瞭】(丸Sマーク)   1952   IIIIIIIIIII   OH
(K) 50 PS (丸Sマーク) 1939   IIIIII   OH
(K) 50.P.S.(丸Sマーク).1937.IIIIIIIIIIII  OH かなり鮮明。OHに"."なし。10月製もあり
(H) 37 (丸Sマーク)  1932  IIII  OH
(H) (丸Sマーク)   75   A   1923   IIIII 読み間違い ?

【凡例: (H) ホーム上屋 (K) 跨線橋】

写真:V形ホーム上屋@蘇我駅
蘇我駅:
古レール利用のホーム上屋(京葉線ホーム)

(pref.13) 東海道本線(東京都内,蒲田〜東京)

 東京都内の東海道本線(京浜東北線を含む)の各駅のホーム上屋などで確認した古レールです。この区間では、
大森,大井町(跨線橋,撤去中?),田町(2001年秋撤去),
品川(旅客線),新橋(北行),有楽町(北行),東京
の京浜東北線を中心とする各駅(品川は除く)で古レールを確認しています。
 品川駅は、リニューアルされて奇麗になりましたが、旅客線の11,12番線に奇跡的に古レールが残っています。
 田町駅には、南行線ホームに古レールが見られました。しかし、エスカレータなどのホーム設備の整備に伴って、2001年秋頃にホーム上屋のうち古レールを利用していた部分は撤去されてしまいましたが、官営八幡の1919年製がある1箇所だけ古レールが残りました。
 大井工場は、工場公開日に確認したもので、台車検修場・電動機検修場のある建物(特に名称は無いそうです)の柱として古レールが使われていました。確認できた限りは、CAMMELLの1884年製ばかりでした。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(S) BARROW STEEL Sec166 1893 K.R.C
(S) BV&CO LD 189? ? ? J
(M) CAMMELLS STEELL? 1907 SEC131 不明瞭。SEC461 ?
(M) 【遮蔽】LLS STEEL ? 1897 S T K SEC451 1897 or 1887, SEC451 or SEC461
(M) 【不明瞭】ELLS STEEL ? 1??? S T K SE【ボルト】
(W) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL W.1884.SEC.131I.R.J.
(S) CA????? S???FIELD TOUG???? STEEL【途中読めず】I R J
(C) CARNEGIE 1911 E T IIIIIIIIIII 60 A
(M) CARNEGIE 【以下不明】
(C) 60 A S B S CO STEELTON IIIIII 1922 OH 工 <CONSTECO> MADE IN USA
(C) OH TENNESSEE 6040 ASCE 3 1922
(S) UNION D 188? N.T.K. (? 1887)
(M),(U) UNION D 1886 ???
(C) (丸Sマーク) 60 A 1928 IIIIIIII
(C) (丸Sマーク) 60 A 1919 X 裏面に「工」

【凡例:(U) 有楽町 (M) 新橋 (S) 品川 (C) 田町 (W) 大井工場】 


(pref.14) 東海道本線(神奈川県内,平塚〜川崎)

 首都圏近郊区間(旧)内でかつ神奈川県内の東海道本線の各駅のホーム上屋等に見られる古レールです。この区間では、
東海道本線:辻堂,横浜(跨線人道橋),花月園(跨線人道橋),川崎
京浜東北線:東神奈川(北行),新小安,鶴見
の各駅で古レールを確認しています。
 駅のホーム上屋については未調査ですが、川崎駅か鶴見駅のどちらかで、北海道官設鉄道(HGR)発注CAMMELL を見た記憶があります。
 横浜としたものは、駅北側の跨線人道橋の部材に使われていた古レールです。
 花月園としたものがありますが、これは東海道本線に平行する京浜急行の駅名(京浜東北線なら新小安〜鶴見間)です。東海道本線を跨いで、この駅に繋がっている跨線人道橋(花月園跨線人道橋)は古レールを利用して作られており、そこで確認した古レールです。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(Y) BARROW STEEL SEC166 1893  I. R. J. 製造年不明瞭
(Y) 【不明瞭】 ?UGH?N??S?EEL W 1888 SEC131  I  R  J かなり不明瞭
(Y) CAMMELL?  TOUGHENED  STEEL   1888   P  ?R?
(Y) KRUPP.1885.N.T.K.
(Y) 60-A S B.S.CO.STEELTON   IIIIIIIII  1923 O H I G R
(Y) UNION D 188? IRJ
(K) 50 PS (丸Sマーク) 1936  IIIII
(K) 50 PS (丸Sマーク) 1936  IIIIIIIIIII

【凡例:(Y) 横浜(跨線人道橋) (K) 花月園】

写真:人道跨線橋@花月園
新子安−鶴見間:古レール利用の
「花月園跨線人道橋」

(pref.14) 南武線

 南武線(元の南武鉄道,1927−1944)のうち、府中本町−宿河原間(尻手−浜川崎間を除くほぼ全線で確認済みだったような気もしなくはない)では、
稲城長沼(跨線橋),稲田堤(柵,ホーム基礎),中野島(ホーム基礎),登戸,宿河原(跨線橋)
の各駅で、駅施設への古レールの利用を確認しています。
 このうち、登戸駅のみ調査済みです。登戸駅では、跨線橋,1番線(下りホーム)立川方のY形ホーム上屋,駅舎支柱に古レールが見られます。全体的に塗装が厚く、刻印を判読できないものがほとんどですが、大半は八幡製鉄所系のようです。この中には、官営八幡製鉄所の1926〜1929年製TENNESSEE と思われるものも多数ありましたが、製造年や製造月が読み取れないものばかりでした。なお駅舎支柱のものは、駅出口正面に見られますが、刻印は1本も読めませんでした。 
刻 印 (読んだまま) 備 考
(N) G.H.H.1922 跨線橋2番線。75lbsレール
(N) UNION.1902.I.R.J. 1番線立川方ホーム上屋。60lbs第1種ではない
(N) 37 (丸Sマーク) 1932 IIIIIIIIIII 跨線橋。不明瞭。最後に OH 読めず
"IIIIIIIIIII"ではなく、"IIIIII OH"かも。
(N) (丸Sマーク)   75   A   1926 跨線橋。
(N) (丸Sマーク)   75   A   1925 跨線橋。不明瞭
(N) (丸Sマーク) NO  75 A  1915  II 跨線橋。不明瞭,裏面確認不可
(N) (丸Sマーク) NO  75  A  1914   X 跨線橋。裏面確認不可
(N) (丸Sマーク) NO60B   1903 やや上付きのOの下に".."。裏面工マーク。
1番線立川方ホーム上屋

【凡例:(N) 登戸】


(pref.14) 横浜線

 横浜線(元の横浜鉄道,1908−1917)では、全駅をチェックしましたが、駅施設への古レールの利用は確認できていません。なお一連の『レールの趣味的研究序説』に、比較的珍しいレールが多数あったようで度々登場する原町田駅は、小田急の駅と統合されて町田駅に移転してしまっていますので、ここの古レールも既に過去帳入りです。
 横浜鉄道発注を示す Y.T.K. の略号の入ったレール(CARNEGIE 製)は、関東各地で時々見つかりますが、地元には残っていないようです。

(pref.14) 鶴見線

 鶴見線(元の鶴見臨港鉄道,1926−1943)の各駅のホーム上屋などで見られた古レールです。
 武蔵白石−大川間にある日本鋳造(株)の正門前の踏切り(大川支線日本鋳造踏切り)は、ワイヤー上下式の踏み切りで、その支柱は古レールを利用したものとなっています。これは『クモハ12とオーストラリア製レール』に紹介されているもので、クモハ12なき今も現役でした。なお同記事によれば、イギリスの SCW (Steel Company of Wales) 社製と見られるレールもあるそうですが、これは見落としました。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(SO) AS 82LB (1937) A I S IIII_/~1945
(SO) LB【穴】(1937) A. I. S. XII _/~1942 OH
(SO) BHPCO LTD  VII  21 80LBS 頭は"AS",最後は"OH"らしい。
(SO) BHPCO LTD  80LBS  IIII  18   OH
(S) → 50N LD (Sマーク) 1994 IIII 駅近くの踏切りの柵
(S) (丸Sマーク)   60   A    1925

【凡例:(S) 武蔵白石 (SO) 武蔵白石−大川】 

写真:第1種甲踏切り@武蔵白石
武蔵白石−大川間:オーストラリア製
レール利用の「日本鋳造踏切り」

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