5.1  古レールの刻印の調査 (JR)

5.1.1 古レールの刻印の調査 (JR北海道・JR東日本エリア)

1st wrote at 1999.10.08 / Last update at 2005.01.25

 駅・路線ごとの古レール調査結果のうち、JR北海道・JR東日本のエリアのリストです。ただし、関東甲信エリア,首都圏北部JR首都圏南部JRは、別に整理してありますので、ここは東北日本地域のリストとなります。

 JR駅のうち、大きな分岐点駅には古レールが大量に使われ、ホーム全体を覆う様な大規模なホーム上屋が見られたようです。しかし、これらの駅のほとんどは高架化が進行しており、古レールとともに失われつつあります。
 その他のJR駅についても、古レールを再利用した小規模なホーム上屋が見られることがあります。これについても、駅の橋上駅舎化の際にH形鋼製のものに更新されてしまう(当然古レール利用の跨線橋も消滅する)ことが多く、近年の橋上駅舎化の流れに添って古レールが失われています。
 このように、JR駅のホーム上屋に見られる古レールはかなりの勢いで失われていっており、緊急的な調査が必要な分野となっています。ただし、元の絶対数が多いため、悲観的に成りすぎる必要はないとも思っています。
 
 ここにあるものは、主観を排除するため、現地で判読できた文字列をそのまま記載してあります。従って、間違いや抜けがあるまま載せている可能性がありますので、ご理解とご注意の程よろしくお願いします。 
 順番は、県別(県番号順)に駅・路線を並べ、以下に製造元名のABC順としています。

路線(50音順)


(pref.1) 宗谷本線

 宗谷本線は、稚内〜幌延間の駅施設への古レール利用を調査済みです。古レールが確認できたのは、以下の各駅です。
稚内(ホーム上屋,境界柵),南稚内(跨線橋),幌延(跨線橋)
 南稚内,幌延は、跨線橋のみ古レール利用でした。他線区との乗り換え駅には、原則として跨線橋が設けられていたようです。稚内駅は、ホーム上屋のうち4対8本の支柱が古レールです。錆により刻印の読み取りはやや困難ですが、すべて H.R. 発注 CAMMELL 製のレールのようです。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(H) BV&CO LD 1903  IV  H T R
(W) CAMMELL S STEEL.W.1896 H.R.SEC537 ホーム上家の支柱
(H) CARNEGIE   1912   ET   I      60 A 横向きIマークなし
(M) CARNEGIE   1907   E T  IIIIIIIIII       I  R  J 横向きIマーク無し
(H) CARNEGIE   1900   ET   IIIIII  工
(H) OH TENNESSEE-6040-ASCE-5-1923    工
(M) OH TENNESSEE-6040-ASCE-1-1923   工
(H) OH TENNESSEE-6040-ASCE-10-1919 IGR  工
(H) UNION 1903.I.R.J.
(M) 30 ? (丸Sマーク)   2606   IIIIIIIII   OH
(H) 30   (丸Sマーク)  1934  IIIIIIIII OH 
(M) (丸Sマーク)  30  A  1930  III
(M) (丸Sマーク)  30  A  1929  IIIIII
(M) (丸Sマーク)  60  A  1925
(W),(H) (丸Sマーク)  60  A  1924 稚内は境界柵
(W) (丸Sマーク) NO 60 A   1912  V 境界柵
(W) (丸Sマーク) NO 60 A   1911  VI 境界柵
(H) (丸Sマーク) NO 60 B    1903 裏面記録忘れ,これが多い

【凡例:(W) 稚内 (M) 南稚内 (H) 幌延】

写真:山形ホーム上屋@稚内駅
稚内駅:古レール利用ホーム上屋
指宿駅方(笑)を望む

(pref.1) 留萌本線

 留萌本線は、留萌〜深川間の駅施設への古レール利用を調査済みです。古レールが確認できたのは、起点の深川の他は、留萠駅のホーム上屋だけでした。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(R) BV&CO LD 19??  IV  H T R
(R) CAMMELL S STEEL.W.1??2 【埋没】

【凡例:(R) 留萌】

写真:山形ホーム上屋@留萌駅
留萌駅:古レール利用ホーム上屋

(pref.1) 函館本線

 函館本線は、札幌〜白石間しか乗車したことがないのですが、駅施設の古レールの有無はチェックしています。苗穂駅,白石駅の跨線橋に古レールが利用されているようです。札幌駅も、現在は高架化されてしまいましたが、地平時代には古レールの宝庫だったようです。

 北海道の古レールについては、『レールの旅路』という書物に既に詳しくまとめられているので、参考にしてみて下さい。そのため、北海道での古レール調査の余地は残っていないと思っていますが、観察者の目が替わると違ったものが見つかる可能性もあると思います。また、『レールの旅路』に紹介されている希少なレールも気になります。機会があったら調査してみたいです。


(pref.1) 千歳線

 千歳線は、平和〜南千歳〜新千歳空港間で、駅施設の古レールの有無をチェックしています。この区間では、線路脇のり面に古レールがアンカー工として利用されている箇所が何ヶ所かありましたが、駅施設に古レールは確認できませんでした。

 千歳線は、元々ローカル線であったため、古レールの利用が少なかった。あるいは、内地と札幌を結ぶ路線として(比較的)近年に改良工事が行なわれているので、その際に古レールを利用した古い施設が更新されてしまったことなどが、駅施設に古レールが見られない理由ではないかと思います。

 千歳線では、あと、美々駅,植苗駅が未訪ですが、古レールはあるでしょうか?。前述のような理由から、期待薄だと予想しています。


(pref.3) 東北本線(岩手県内)

 盛岡駅の古レール利用は2,3番線ホーム上屋だけのようです。2番線側の支柱は調査できましたが、3番線側は未調査です。LACKAWANNAの1922年製は、OTARUの文字が入っていますが『私の見た古レール』によれば、これは陸上港の小樽港を示したものではないかとのことです。
 北上駅(東北本線・北上線)では、上り線用2,3番線ホームと北上線用0番線ホームの上屋部材に古レールが使用されています。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(K) ???CO【不明瞭】 ? BV&CO LD 1905 IJR
(K) CAMMELLS TOU??E????TEEL W 1888 SEC131 I R J 2番線
(K) CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL W 1887SEC131 I.R.J 2番線
(M) OTARU  工   <CONSTECO>  OH LACKAWANNA 600 3 1922 2番線青森方に2本
(M) MICHEVILL-VII-1925-TB-ASCE 60lbs工 → 2番線
(K) 60-A S B S CO STEELTON  IIIIII   1922  OH【満鉄】-<CONSTECO>-MADE IN USA
↑ 2番線。MADE IN USA は中付き小文字
(M),(K) OH TENNESSEE-6040-ASCE-3-1922   工 北上3番はこれが多い
盛岡は2番線
(K) OH TENNESSEE 6040 ASCE 11 1919 IGR  工 3番線
(K) 37 (丸Sマーク) 2604  IIIIIIIIIII  OH 3番線
(M) 30 A (丸Sマーク) 2604   II   OH 2番線
(M) 30 (丸Sマーク) 1936  IIIIIIII  OH 2番線
(M) 30 (丸Sマーク) 1936  III  OH 製造月不明瞭。2番線
(M),(K) 30 (丸Sマーク) 1934  I  OH 盛岡:2番線 / 北上:3番線
(M) 30 (丸Sマーク) 1933  II  OH 2番線
(K) 30 (丸Sマーク) 1932 IIIIII OH 3番線
(M) (丸Sマーク)   60   A   1929   III 2番線
(M),(K) (丸Sマーク)   75   A   1924 北上:1921とも見える。0番線 / 盛岡:2番線
(K) (丸Sマーク)   75   A   1922 0番線
(K) (丸Sマーク)   60   A   1921   III 裏面マークなし。2番線
(K) (丸Sマーク)   60   A   1921   II 裏面マークなし。2番線
(K) (丸Sマーク)   60   A   1919   VI 裏面マークなし。3番線
(K) (丸Sマーク)   60   A   1919   III 裏面工マーク。3番線
(K) (丸Sマーク)   60   A   1918   V 裏面マークなし。3番線
(M) (丸Sマーク) NO 60 A   1912   X 裏面工マーク。2番線
(M) (丸Sマーク) NO 60 A   1912   V 裏面工マーク。2番線
1919と読める。

【凡例:(M) 盛岡 (K) 北上】


(pref.5) 奥羽本線(秋田県内)

 湯沢〜柳田間の各駅の古レールをチェック済みです。この区間では、湯沢駅と十文字駅の跨線橋に古レールが使われていました。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(J) COLORADO  SEC  753  IXIII  1917  OH
(J) H-WENDEL IX 1925 75LBS ASCE TB    工 ← 2番線
(J) 37. (丸Sマーク) 1948  IIIIIIIIIII  OH
(J) 37.(丸Sマーク).2607  IIIIIIIIIII  OH 2607の7は8との重ね打ちに見える。
3番線
(J) 37 (丸Sマーク) 260?  IIIIIII  OH 2606年製?,梁
(Y) 30 (丸Sマーク) 1939  IIIII  OH 2,3番線
(J) 37 (丸Sマーク) 1935  III  OH 2番線,3番線に同年6月製
(Y) 37  (丸Sマーク)  1934    III  OH 1番線,2,3番線には同年4月製
(J) 37 (丸Sマーク) 1933 IIIIIII OH
(J) 37 (丸Sマーク) 1933 IIII OH 0番線/1,2番線/3番線
(J) (丸Sマーク)   75  A   1925 1番線
(J) (丸Sマーク)NO 75 A  1915  XII 梁,裏面工マーク
(Y) (丸Sマーク)  NO 60 B  190? 1903 ?,裏面確認不能。2,3番線。
これのみホーム上屋の端の支柱。

【凡例:(J) 十文字 (Y) 湯沢】


(pref.15) 信越本線(新潟県内)

 直江津駅では、米原方の線路脇に軽レールと60ポンド(30kg)レールから作られた柵があり、車窓でずっと気になっていた(双頭レールに見えたから)ので、調査してきました。いずれも腐植が激しく、刻印の読み取りは困難で、軽レールに至っては全く読めませんでした。
 直江津駅の方は、豪雪地帯だけあって、ホーム上屋に75ポンド(37kg)レールが利用されていたり、跨線橋も100ポンド(50kg)レールがふんだんに使われていたりするのは興味深いです。なお、直江津駅の跨線橋は2000年6月16日に撤去されているのを確認しました。
刻 印 (読んだまま) 備 考
(N) ASCE OH 7540 ILLINOIS G IIIII【穴】U S A
(N) OH TENNESSEE 7540 ASCE 3 1923
(N) H-WENDEL IX 1924 75 LBS ASCE TB 工 ← (1924 or 1926)
(N) 50PS 角Sマーク>1953 IIII OH 跨線橋
(N) 37 A (丸Sマーク) 19?1 IIIIIII OH 跨線橋
(N) 50 PS (丸Sマーク) 1960 IIIIII OH 跨線橋
(N) 37 A (丸Sマーク) 1959 IIIIII OH 跨線橋
(N) 80 PS (丸Sマーク) 1958 IIIII OH 跨線橋
(N) 30 A (丸Sマーク) 1957 IIIIII OH 線路沿いの柵
(N) (丸Sマーク) 75 A 1929 II
(N) (丸Sマーク) 75 A 1928 III
(N) (丸Sマーク) 60 A 1919 I 線路沿いの柵

【凡例: (N) 直江津】

写真:境界柵@直江津駅近傍
直江津駅:駅近くの境界柵

(pref.15) 上越線(新潟県内)

 上越線の新潟県内区間で見た古レールです。越後堀之内〜越後湯沢間では、以下の各駅のホーム上屋に古レールを確認しています(下線付きは調査済み)。
小出五日町,六日町,塩沢,越後湯沢
調査が行なえた越後湯沢駅以外では、駅のホーム上屋に古レールが利用されていることを確認しています。

 小出駅では只見線が使用している4,5番線の荷物上屋状の上屋(雪により倒壊したことがあるようだ)に外国製と思われるレールがあったことが気になりました。この刻印は肉眼では凹凸が読めませんでしたが、拓本を取れば読み取れそうです。

 越後湯沢駅は、ほとんどが八幡製鉄所製のようですが、不明瞭ながら「NO」が読めるものもありました。豪雪地帯だけあって、ホーム上屋等に使われる古レールのサイズ(重量)が、75ポンド(37kg)レールと、他の地域より1まわり大型のものになっているようです。

刻 印 (読んだまま) 備 考
(K) CARNEGIE  1【切断】E T  II 4,5番線
(V) KRUPP  1909 . XII . K. T. K 断面未計測
(V) 【埋設】??ESSEE 6040 ASCE 3 1922
(V) UNION 1906.I.R.J
(Z) 37 (丸Sマーク) 1948 IIIIIIIIIIII OH
(V) 30 (丸Sマーク) 1948  IIIIII  OH 待合室の梁
(K) 37. (丸Sマーク). 2601. IIIIIIIII OH. 2,3番線
(K) 30 A (丸Sマーク) 2601 IIIII  OH 4,5番線
(Z) 37 (丸Sマーク) 1934 IIIIIIII OH
(K) 30 (丸Sマーク) 1933  III  OH 4,5番線
(K) 37. (丸Sマーク).  1932  IIIIIIII  OH 2,3番線
(K) (丸Sマーク)  37  A  1931  IIIIIII 2,3番線
(K) (丸Sマーク)   37  A  1931  I 1番線 / 2,3番線
(V) (丸Sマーク)  60  A  1927 II

【凡例:(K) 小出 (V) 五日町 (Z) 越後湯沢】


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