6.1  古レールの刻印を解読する(欧州製)

6.1.1  古レールの刻印を解読する(英国製)

first wrote in 1999.10.09 / Last Edited in 2006.09.14

 古レールのメーカーごとの解説です。ここでは、英国製のレールを集めてみました。メーカー名のカタカナ表記、その国名(および生産地名)などの情報は、『レールの趣味的研究序説』,『レールの旅路』やインターネットのウェブページなどを参考にしました。なおカタカナ表記に関しては、筆者の好みで一部修正した読み方があります。

 日本の鉄道で初期に使われたのは、英国製(+ドイツ製)のレールで、英国御三家とも言える、BARROWBV&CoCAMMELL を中心に現在も多数がホーム上屋の支柱などとして余生を送っています。

 かつてのレールメーカーの多くは、英国では国営企業(のちに民営化)の "British Steel" に合流したようです。British Steel は、その後の企業合併により、現在は "Corus Group" となっています(参考:Workington)。

 以下の順番は、製造元名のABC順としています。

| BARROW | BLAENAVON | BV | CAMMELL ( 〜1890 , 1891〜 ) | CFI |
| DARLINGTON | DLC | DOWLAIS | MOSSBAY | WILSON | WORKINGTON |
 

バーロウ赤鉄鉱製鋼株式会社(BARROW HEMATITE STEEL)

刻 印 の 例
(長谷野),(桜川),(五箇荘),(豊郷),
(彦根-鳥居本)
BARROW  STEEL. 1899. SEC380 O.M.I.
(王子) BARROW STEEL SEC166 1899 N T K
(国府津) BARROW STEEL SEC166 1897 K R C
(千里丘),(能登川),(水口),(朝日野),(桜川),
(愛知川),(平田),(太郎坊宮前),(多賀大社前)
BARROW STEEL 1897 O.T.K.
(田端) ??RROW ??????? 166 1898  N  T  K
(代々木八幡) BARROW STEEL SEC166 1896 N.T.K.
(彦根口)  【不明瞭】EL S??1?6 1896   I  R  J
(西大路) BARROW STEEL SEC166  【山マーク】  1894
(大宮工場),(国立),(武蔵小金井), と↓ BARROW  STEEL  SEC166 1894.  N. T. K.
(南千住),(両国),(下仁田),(上州一宮),(馬庭),(椎名町),(豊島園)
(御茶ノ水),(五百羅漢),(椎名町) BARROW STEEL SEC166. 1894. N.T.K.
(富山5) BARROW  STEEL  SEC166 1894   I. R. J.
(門司機関区) BARROW S T EEL SEC 166. 1894. K.R.【切断】
(浦和),(東十条),(王子),(武蔵小金井),
(品川),(椎名町),(豊島園)
BARROW STEEL SEC166  1893.K.R.C.
(若狭高浜),(敦賀),(木ノ本),(飛騨古川),
(伊那上郷),(横浜),(両国),(下仁田)
BARROW  STEEL  SEC166  1893. I. R. J
製造年不明 → (二宮)
刻 印 の 例 同形月違い
(国立) 【不明瞭】 8/1892   SEC166  I R J  
(両国) BARROW STEEL 11MO 1890. 166. I R J  
(笠岡),(五百羅漢) BARROW STEEL 9/1890 SEC166 S T K  
(関ヶ原) BARROW  STEEL . XIMO 18【金具】 166 I.R.J  
(宇部),(笠岡) BARROW STEEL XMo 1889  166 S T K (東淀川),(米原)
(五百羅漢) ??RROW STEEL 9 Mo 1889   166  S T K  
(鶯谷) BARROW STEEL XII 1??? S....  
(宇部) BARROW STEEL 9 Mo 1888 166 S T K ?(宇部)
(木ノ本),(東十条),
(国立),(十条)
BARROW  STEEL 2MO 1888  166 I.  R.  J (塩山),(佐原),
(御茶ノ水)
(武蔵境) BARROW STEEL 3MO 1888 I R J 166  
(笠岡) BARROW STEEL 9MO 1887 166  S. T. K.  
(沼津) BARROW STEEL 3MO 1882  166  ?  ?  J (南浦和)
(飛騨古川),(熱田) ?????W STEEL XMo 1881 166 I R J  
会社名: Barrow Hematite Steel Co. Ltd.(バーロウ赤鉄鋼製鋼株式会社)
所在国: England(イングランド)
所在地: Barrow-in-Furness, Cumbria (カンブリア州 バーロウ=イン=ファーネス)
略沿革:
  • 1963年に閉鎖,小さな製鉄工場も1984年までに閉鎖とのこと。
  • 最終的に "British Steel"(参考:Workington)の母体の一つとなった ?
  • 1917年に "North Lonsdale Iron" とともに "Millon and Askam Mining Co." に合併 ?
  • 1864年に会社登録。
  •  パーロウ・ヘマタイト・スチール社製レールは、『レールの趣味的研究序説〔中〕』によれば、「1880年代から1900年代にかけて、大量に輸入され」ているとのこと。なお、ヘマタイトとは赤鉄鉱(要するに酸化鉄)の意味です。
     SEC166というのは60ポンド第1種レールのようです。また、発注者名が刻印されている例が多く、それぞれ、官鉄(I.J.R)のほか、近江鉄道(OMI)日本鉄道(N.T.K)甲武鉄道?(K.R.C)大阪鉄道(OTK〉山陽鉄道(【山マーク】,STK)発注品のようです。
     会社は現役で、現在もレールを生産していると『レールの旅路』にありましたが、インターネットの検索エンジンで調べた限りでは、断片的な情報はいくつか得られました が(これらから略沿革などを構成)、これぞという情報は見つけることはできませんでした (BARROW というのは、手押し車のことで、その関連のページは多数見つかる) 。それらによると、製鉄工場自体も閉鎖されてしまっているようです。

    BARROW STEEL 2Mo 1888 166 I  R  J
    赤羽線(埼京線)十条駅(10度回転)

    ブレナボン鉄鋼所(BLAENAVON)

    (中央西線某) BLAENAVON.1875.
    会社名: Blaenavon Iron Works(ブレナボン鉄鋼所)
    所在国: Wales(ウェールズ)
    所在地: Blaenavon(ブレナボン)
    略沿革:
  • 1904年廃業。
  • 1797年工場完成。
  •  ブレナボンは、南ウェールズにあったとされています。 
     中央西線某駅近傍のレール(貴重なレールなので、これだけは駅名を非公表にしています)は、1875年製で、日本の平底レール(非双頭レール)の中では最古参級です。錬鉄製レールの可能性が高いと考えています。断面的には、30ポンドレール程度であることから、非営業鉄道で使用されたレールと考えられます。その出自としては、森林鉄道用で再利用するため輸入された中古レールあたりが無難と考えます。
     また、全長が残っているレールが多数あることも、このレールの価値を高めるでしょう。

     ちなみに『レールの旅路』では、北海道最初の鉄道である幌内鉄道(手宮〜幌内)のうち手宮〜札幌(1880.11.28開業)間で使われたレールは、アメリカ経由でイギリスから輸入された30ポンド錬鉄製レール(レール長は 24 feet)であったとの追跡調査の成果が紹介されています。しかし、このレールのその後の消息は不明としています。
     中央西線某駅近傍のレールは大きさと製造年から見て、その可能性を感じさせるレールで興味深いです。レールの全長を簡単に計測すると約8.4m(27.5 feet,約1m長い)でしたので、幌内鉄道の初代レールの値とはやや異なっています。資料の間違いや、私の計測ミスがある(次の機会には巻尺を持参しよう)とすれば、「当り」かもしれません。

     "The Heritage Trail Home Page" というウェブサイトの中に、すっかり産業遺産と化した Blaenavon の鉄工場の紹介があります。

    BLAENAVON.1875.
    中央西線某駅近傍(90度回転)

    ボルコウ・ボーン株式会社(Bolckow, Vaughan & Co.)

    [浅間神社] B.V W S.T. 1930. T.【穴】T. 100 lbs
    (大久保) BV&CO LD 1904
    (幌延),(留萌) BV&CO LD 1903  IV H T R
    (富山2),(清水) BV&CO LD 1903 ? ? ?
    (下関),(新疋田),(蘇原),(関ヶ原),(熱田), BV&CO LD 1902 I J R
    ↑と (掛川),(菊川),(松本),(篠ノ井),(酒折),(山梨市),(塩山),(鶯谷),(上野),(武蔵小金井),
          (武蔵境),(平田),(武州原谷),(羽生),(椎名町)
    不完全なもの →  (東十条),(北上)
    (石神井公園) BV&CO ? ? 1902 I J R
    (東十条) BV&CO LD 1897 ? T K
    (笠岡),(金光),(米原) BV&COLD 1897 CTK
    (金光) BV&COLD 1896 CTK
    (若狭高浜) BV&C??? 1896 H Y T
    (飛騨古川) BV&COLD 1896.I.R.J.
    (小田原) 【遮蔽】CO LD 1896 K T K
    (近江八幡) BV&COLD1896 NARITA
    (千里丘),(浦和) BV&CO LD 1895 N.T.K
    (木ノ本) BV&CO LD ??95.I.J.R
    不完全なもの →  (品川),(十条),(南千住)
    (東淀川) KR BV&COLD1894
    (長沼) BV&COLD 1893
    (西小坂井) BV&COLD1893 N T K
    (塩山),(武蔵境),(御茶ノ水) BV&Co 1888 I R J
    会社名: Bolckow, Vaughan & Co. Ld.(ボルコウ・ホーン株式会社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Middlesbrough, East Riding of Yorkshire
    (イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー州 ミドルスブラ)
    略沿革:
  • 1930年に "Dorman Long Co." に吸収される。
  • ????年に "Darlington Iron Co. Limtd." を併合。
  • 1875年に Bessemer 転炉を導入(1875年設立は、これを誤ったか?)
  • 1851年設立(設立は1875年という情報もある)。
  •  断面形状は刻印内容には未表示ですが、私が見たレールについては、1890年代の "CO LD" と下付きのレールが60ポンド第1種,1900〜1910年頃の "COLD" が上付きのレールが60ポンド第2種となっているようです。
     1880年代の刻印は、"LD"(limited ?)の略号が入っていないようです。この時期は株式会社ではなかったということでしょうか。なお、官鉄の略号はこの時期は「IRJ」の順のようです。

     刻印の末尾に見られる発注社名のうち N.T.K. については、関東以北の古レールは日本鉄道で間違いなさそうですが、京阪神の鉄道会社はNで始まる鉄道会社が多かったことから判然としないようです。その他、中国鉄道(C.T.K)北海道鉄道(H.T.R),北越鉄道(H.Y.T)関西鉄道 ?(KR, K.T.K)成田鉄道 (NARITA)官鉄(I.J.R, I.R.J)の発注品見られます。

     浅間神社(東京江東区)に屋外展示されているレールは溝付きレールです。1930年というのは、普通レールの輸入が終わってからの年代なのですが、特殊なレールのため輸入が続けられていたようです。このレールの製造期はドローマン・ロング社との合併前後であるためか、刻印の内容が他の BV 製と異なっています。

     "Bolckow, Vaughan & Co. Ld." に関する若干の情報は、"North East England History Pages" というウェブサイトの Middlesbrough の歴史を紹介したページにありました。Vaughan 氏は、Middlesbrough の市長でもあったようです。

    BV & CO LD 1903  IV  H T R
    ↑ 宗谷本線 幌延駅(90度回転)
    B.V W S.T. 1930. T.【穴】T. 100 lbs
    ↑ 東京都江東区浅間神社(手前柵を写真合成により消去,"JV"は、"W"の誤り)

    チャーリーズ=キャンメル社(CAMMELL)その2 (1891〜)

    (影森) CAMMELLSSTEEL.W.1907.SEC461
    (三峰口) CAMMELLSSTEELW1907 SEC491
    (新橋) CAMMELLS STEELL? 1907 SEC461
    (東十条).(鶯谷),(十条) 【先頭読めず】EEL W  1902 N.T.K. SEC.?66
    (留萌) CAMMELL S STEEL.W.1??2 【埋没】
    (館山)            【不明瞭】1?00 NARITA ??????
    (近江八幡),(大垣@近鉄) CAMMELLS STEEL.I.1897.SEC.550 KIWA
    (守山),(幸田),(西小坂井) CAMMELL・S STEEL.W.1897.SEC131.
    (近江八幡@近江),(五箇荘),
    (多賀大社前)
    CAMMELL・S STEEL.W.1896.SEC351
    (新橋) 【遮蔽】LLS STEEL ? 1897 S T K SEC461
    (館山) CAMMELLS STEEL ? 1897 N T K  SEC131
    (江古田),(椎名町) CAMMELLS STEEL W4 1896.S.T.K. SEC461
    (近江八幡-武佐),(武佐),(平田), と↓ CAMMELL・S.STEEL.W.1896 SEC351
    (太郎坊宮前),(多賀大社前),(水口),(桜川),(五箇荘),(愛知川),(豊郷),(彦根口)
    (新宿) ??M????? S ST??L W 1896 N T K SEC131
    (稚内) CAMMELL S STEEL.W.1896 H.R. SEC537
    (宇部) CAMMELLS STEEL W 1895 S. T. K. SEC 131
    (王子) CA?MELLS STEEL ? 1895 【穴】T K  SEC131
    (大久保) CAMM???? STEEL W 1894 SEC131
    (三峰口) CAMMELL・S STEEL  W  9 1893 SEC4?1
    (十条) CAMMELL・S STEEL W 1891  ?  T  K【以下不明瞭】
    (椎名町) CAMMELLS STEEL     1883 S??? 461
    不完全なもの → (木ノ本),(東十条),(武蔵境),(新橋)
    会社名: Charles Cammell & Co.
    (チャーリーズ・キャンメル〔 / キャメル / カンメル / カムメル〕社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Sheffield, South Yorkshire(南ヨークシャー州 シェフィールド)
    略沿革:
  • 1891年頃以降は"TOUGHENED STEEL"の"TOUGHENED"が省略される(省略前)。
  • 会社の沿革はよくわからない。設立は1837年 ?。
  •  ここでは、刻印がシンプルとなる 1891年以降のレールをまとめました。
     CAMMELL STEEL の刻印は、不明瞭であることが多く、全体が読めるような美品は希です。加えて、刻印の内容についても年代によって変化が激しいことから、不明な点が多いです。その変遷については、のちの「古レールの刻印の研究」において、「刻印の変遷 CAMMELL」で検討していますので、参考にしていただければと思います。それによると、上記のリストについても読み間違いが少なくなくあるように思います。

     発注者名が刻印されている例が多く、それぞれ、日本鉄道(N.T.K)成田鉄道(NARITA)紀和鉄道(KIWA)総武鉄道(S.T.K)北海道官設鉄道(H.R.)山陽鉄道(S.T.K),発注品のようです。

     東十条,鶯谷と十条の1902年製のレールは、いずれも刻印の先頭部分が薄いため、製造者が不明です。ただし、"STEEL W" となんとなく読めるレールがあることや、字体の雰囲気から、とりあえず CAMMELL と推定しています。

     会社の沿革は、インターネットの検索エンジンを利用しても、これぞと言う情報は情報は見つけることはできませんでした。Sheffield は、British Steel(現:Corus Group,参考:Workington)の中心地の一つとなっているそうなので、Cammell Steel は、British Steel に吸収された可能性が高そうです。

    CAMMELL・S STEEL.W.1896. SEC 351
    近江鉄道八日市線 近江八幡駅近傍(90度回転)

    チャーリーズ=キャンメル社(CAMMELL)その1 (〜1890)

    刻 印 の 例 (SHEFFIELD を S に省略)
    (大久保) CAMMELL・S TOUGH?????TEELW. 1890 S.T.K.SEC461
    (有田),(大久保) C??MELLS TOUGH【穴】ED STEEL.W.1890.K.T.K.SEC351
    (下関) CA?M??LS TOUGHENEDST??L V 188? K. T. K. SEC361
    (有田),(小田原) CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL.W.1889.K.T.K. SEC351
    (用宗) 【不明瞭】S TOUGHE??? ?TEEL ? 1889 ? ? ? SEC131
    (東淀川),(千里丘),(飛騨古川),と↓ CAMMELL・S TOUGHENED STEEL.W.1888 K.T.K. SEC351
    (熱田),(幸田),(由比),(大久保)
    (笠岡),(東淀川),(西小坂井) CAMMELL・S TOUGHENED STEEL.W.1888.O.T.K.SEC350
    (有田),(笠岡),(東淀川),(西大路) CAMMELL・S TOUGHENED STEEL.W.1889.SEC350.O.T.K
    (大久保) ?A?MELL・S TOUGHENED?TEEL.W.1888 SEC350.O.T.K.
    (多賀大社前) CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL.W.1888 SEC351 K.T.K
    (長沼) CAMMELLS.TOUGHENEDSTEEL.W.1888.   SEC351
    (大久保) CAMMELLS TOUGHENEDSTEELW 1888 SEC461.K.T.K.
    (上総中野) CAMMELLS TOUGHENED STEEL 1888 【以下読めず】
    (有田),(笠岡),(飛騨古川), と↓ CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL.W.1888.SEC131.I.R.J
    (熱田),(由比),(北上),(佐原),(松本),(伊東),(二宮),(武蔵小金井),(両国)
    (北上),(上州一宮) CAMMELL・S TOUGHENEDSTEEL.W.1887 SEC131.I.R.J
    刻 印 の 例 (地名 SHEFFIELD を表示)
    (木ノ本) 【不明瞭】HEFFIELD TOUGHENED STEEL ? 1888 ??? SEC131
    (敦賀),(松本),
    (武蔵境),(横浜)
    CAMMELL SHEFFIELDTOUGHENEDSTEEL.W.1888 SEC131 I.R.J
    (有田),(幸田),(鷲津), CAMMELL SHEFFIELDTOUGHENEDSTEEL.W.1887.SEC131.I.R.J
    ↑と (新居町),(用宗),(由比),(来宮),(松本),(岡谷),(両国)
    (門司機関区) CAMMELL SHEFFIELDTOUGHENED STEEL.W.1885.【切断】
    (関ヶ原),(飛騨古川), CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL W.1884.SEC.131.I.R.J.
    ↑と (塩山),(佐原),(大宮工場),(十条),(大井工場),(馬庭)
    (小浜),(若狭高浜),
    (近江長岡)
    CAMMELL SHEFIELD T【遮蔽】ENED STEEL W 1883.SEC131.I.R.J
    不完全 →  (熱田),(西小坂井),(伊那上郷),(佐野),(品川),(王子),(田端)
    (三河三谷),(横浜) CAMMELL? TOUGHENED STEEL  1888P     I R J
    (木ノ本),(飛騨古川), CAMMELL  SHEFFIELD  TOUGHENED  STEEL  1887 P  I R J
    ↑と (熱田),(鷲津),(新居町),(岡谷),(酒折)
    (新居町),(武蔵小金井) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL 1886  P  IRJ
    (下関),(若狭高浜), CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL 1885 P IRJ
    ↑と (木ノ本),(新居町),(国府津),(岡谷),(国立),(新大久保),(両国)
    (長沼) CAMMELL SHEF?IELD TOUGHENED STEEL 1884  P I R J
    (御茶ノ水) CAMMELL SHEFFIELD TOUGHE?EDSTEEL  1884  P
    (王子)     【不明瞭】D TOUG?????????? 1881   P   I R J
    (南浦和) CAMMELL   S???????? ??UGHEN? ST???  C   1882【不明瞭】
    (国立),(南浦和),
    (長沼)
    CAMMELL SHEFFIELD TOUGHENED STEEL  C  1881  I R J SEC 131
    (木ノ本),(飛騨古川), CAMMELL ???????LD TOUGHENED STEEL  C  1880  SEC 131  I R J
    ↑と (枇わ島),(清水),(来宮),(国立),[旧長浜駅]
    会社名: Charles Cammell & Co.
    (チャーリーズ・キャンメル〔 / キャメル / カンメル / カムメル〕社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Sheffield, South Yorkshire(南ヨークシャー州 シェフィールド)
    略沿革:
  • 1891年頃以降は"TOUGHENED STEEL"の"TOUGHENED"が省略される(省略後)。
  • 1888年を境に、所在地の "SHAFFIELD" が "S." に省略される。
  • 会社の沿革はよくわからない。設立は1837年 ?。
  •  キャンメル社製のうち、1890年以前のレール。この時代の刻印は非常に長いのが特徴的で、全長1.5m程度ある刻印もあります。また 1880〜82年頃の刻印は、前後がベタに繋がってどこが先頭か解らないようなレールもあります。

     年代の古いレールの刻印には、商品名の "TOUGHENED STEEL" 「強化鉄」が入っているようです(『レールの趣味的研究序説〔中〕』)。また、地名の SHEFFIELD については、古い年代のレールの刻印は SHEFFIELD が完全形で、その後は省略されて頭文字の表示となるようです。

     発注者名が刻印されている例が多く、それぞれ、官鉄(I.J.R)のほか、総武鉄道(S.T.K)関西鉄道(K.T.K)大阪鉄道(O.T.K)発注品のようです。

     なお "WILSON & CAMMELL" という、よく似た刻印のレールも有ります(ただし、絶対数は少ない)ので、この "CAMMELL" と区別して見る必要が有ります。 

    CAMMELL ?HEFIELD TOUGHEND STEEL W 188? SEC131 I.R.J
    伊東線 来宮駅(90度回転)

    カーゴ・フリート株式会社(Cargo Fleet & Iron Co.)

    (中の庄),(錦),(島ノ関),(近江神宮前) C.F.I CO MBRO  VI/09  K.D.T.K.K. 60LBS
    会社名: Cargo Fleet Iron Co. Ltd.(貨物海運鉄鋼株式会社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Middlesbrough, East Riding of Yorkshire
    (イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー州 ミドルスブラ)
    略沿革:
  • 最終的に "British Steel"(参考:Workington)の母体の一つとなったようだが、1960年代までは少なくとも単独の会社であった。
  • 1883年1月29日に溶鉱炉等を設置し、製鋼事業を開始
  •  元々は造船会社であったという。C.F.& I.(Colorad Fuel & Iron Co.)と類似の略称となるため、注意が必要。
     "K.D.T.K.K." は発注者、京阪電気鉄道株式会社の略。
     会社の沿革は、インターネットの検索エンジンを利用しても、これぞと言う情報は情報は見つけることはできませんでした。

    C.F.I CO MBRO  VI/09  K.D.T.K.K. 60LBS
    京阪石山坂本線 中ノ庄駅(170度回転)

    ダーリントン鉄鋼株式会社(DARLINGTON IRON)

    (下呂),(竜ヶ崎) + DARLI??TON IRON CO LIMD .74 IRJ 平底レール
    (下呂),(小淵沢),(来宮),
    (竜ヶ崎)
    + DARLINGTON.IRON.CO LIMD. 73 IRJ 平底レール
    (笠岡),(京都-山科) + DARLING?ON IRON CO LIMTD 73 IJR 双頭レール
    [新橋ステーション] ? DARLINGTON ??ON CO LIMD 73 IRJ 双頭レール
    (笠岡),(摂津富田) + DARLINGTON IRON CO70 IGJR 双頭レール 
    [ポッポランド] ★ DARLINGTON I?ON C? 70 IGJR 双頭レール
    [鳥取鉄道公園]                   【遮蔽】???? IGJR 双頭レール
    会社名: Darington Iron Co. Limtd.(ダーリントン鉄鋼株式会社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Darlington, Durham(ダラム州 ダーリントン)
    略沿革:
  • ????年に "Bolckow, Vaughan & Co." に併合される。
  • 1872年に、組合企業から株式会社化。
  • 1825年以降には存在(世界最古のレール製造会社)。
  •  ダーリントン・アイアンは、1872年に株式会社となったとのことで、以降は刻印にも「LIMTD」の文字が入るようになるのだそうです。
     来宮のレールは1873年製で、双頭レールであっても不思議ではない年代ですが、残念ながら平底レールです。ただし、錬鉄製であることは間違いないでしょう。笠岡や摂津富田のレールは双頭レールで1870年製です。

     1970年代のダーリントン製レールとキャンメル製レールについては、『レールの趣味的研究序説〔再補・上〕』の「錬鉄製レールと双頭レール」の項に詳しく述べられています。これらのメーカーの平底レールは、伊東線来宮・網代のホーム等の他で見られるとのことで、上記リストのレールは、まさにそれにあたります。また、その文章では、これらの平底レールが1877年に全通した大阪−京都間で使用されたレールに対応すると指摘しています。一方、笠岡や摂津富田の双頭レールは、日本最初の営業鉄道である新橋−横浜間で使用された錬鉄製双頭レールのようです。
     なお双頭レールに関しては、『新潟県内でも敷設されていた双頭レール』に、多数の実例を上げて、日本における古レール使用の沿革や既往資料での双頭レールに関する情報の整理が行なわれており、参考になることを紹介しておきます。

    + DARLINGTON.IRON. CO. LIMD. 73 IRJ
    ↑中央東線 小淵沢駅(15度回転) ↓東海道本線 摂津富田駅(仰角90度,合成)
    [遮蔽] RLINGTON IRO [穴]  Co 70 IGJR

    ドーマンロング社(Dorman Long Company)

    (馬庭) DLC. 1907. J.S.W
    会社名: Dorman Long Co.(ドーマンロング社)
    所在国: ? England
    所在地: 現在は、Darlington, Durham(ダラム州 ダーリントン)
    略沿革:
  • 1996年および2000年に社名を改称し "Cleaveland Bridge" となる。これにより、 "Cleaveland Bridge Groupe of Company" の一員となる。
  • 1962年に "Trafalgar House" により買収される。
  • 1930年に "Bolckow, Vaughan & Co." を吸収する。
  •  『レールの趣味的研究序説〔再補・下〕』にもありますが、室蘭の日本製鋼所が構内鉄道用に発注したレールが上信電鉄の架線柱に利用されており、馬庭で確認しています。同製鋼所発注の1908年製のレールを、室蘭本線岩見沢駅第2ホームで見つけたことが『レールの旅路』でも、報告されています。
     "Cleaveland Bridge" 社のウェブサイトで、いくつかの信頼できる情報が得られました。現在この会社は、その名の通り鋼橋(鉄橋)を得意とする会社となっているようです。

    DLC. 1907. J.S.W
    上州電鉄 馬庭駅(90度回転)

    ダウレイス製鋼(DOWLAIS)

    (有田),(小倉),(膳所),(大磯) DOWLAISSTEEL 1900 IRJ
    会社名: Dowlais Steel(ダウレイス製鋼) 
    所在国: Wales(ウェールズ)
    所在地: Merthyr Tydfil(マーサー・テイドヴィル)
    略沿革: ?

     ダウレイス・スチールは南ウェールズの Merther Tydfil(Cardif の北約40km)近郊にあった製鉄所だそうです。1850年頃はイギリス最大(=世界最大)の製鉄所で隆盛を誇っていたようですが、他の情報は不明で、その後の経歴もよくわかりません。
     刻印は細めの自体で隙間なく続いているのが特徴です。一見、DARLINGTON に似た雰囲気です。

     関連情報が記載されたウェブページ(所在地等は、ウェブ検索結果の断片的な情報から構成)を見つけることができておらず、不明な点の多いレール・メーカーとなっています。

    DOWLAISSTEEL 1900 IRJ
    鹿児島本線 小倉駅  (90度回転)

    モスベイ製鋼(MOSS BAY)

    (下関),(幸田),(鷲津),(小田原),(大磯),(大久保),(長沼) MOSS BAY STEEL 1894 SEC 316
    会社名: Moss Bay Steel(モス・ベイ製鋼)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Moss Bay, Cumbria(カンブリア州 モスベイ)
    略沿革: ?

     モスベイ社はカンバーランド(現:カンブリア州)にあったとされています。 
     『レールの趣味的研究序説〔中〕』によれば、鷲津ほかの例と同じ内容の刻印(SEC番号も含めて)しか確認できないようです。
     また、同記事によれば、「表記の字体は大ぶりだが彫りが浅いのであまり目立たない」とのことですが、鷲津のレールの刻印は明瞭で、保存状態良好でした。

     関連情報が記載されたウェブページ(所在地等は、ウェブ検索結果の幾つかから記述)を見つけることができておらず、不明な点の多いレール・メーカーとなっています。

    MOSS BAY STEEL 1894 SEC 316
    東海道本線 鷲津駅  (90度回転)

    ウィルソン&キャンメル製鋼会社(WILSON & CAMMELL)

    (豊橋) ???S?? & ??M?ELL. DRONFIEL?. STEEL 1883 ?I C?
    (近江今津@江若) WILSON & CAMMELL.DRONFIELD STEEL.1882.C.P.R
    会社名: Willson & Cammell Steel Co.(ウィルソン・キャンメル製鋼会社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Dronfield, South Yorkshire(南ヨークシャー州 ドロンフィールド,Sheffield の中心から南へ5マイル (=8km))
    略沿革:
  • 1883年に生産設備が Workington の Derwent 工場に移転し、廃業。
  • 1873年からレールの生産が開始される。
  •  社名に入っている Cammell は、Dronfield のウェブサイトによると、Sheffield の Cammell 社 の社名の元ともなった Charles Cammell 氏のことで、Willson & Cammell 社は、Sheffield の Cammell 社の Dronfield 工場といった位置付けであったようです。ちなみに、Wilson も George Wilson 氏の人名が元になっています。

     近江今津のレールの刻印の発注者名は「C.P.R」となっていますが、"Canadian Pacific Railways" もしくは "Central Pacific Railways" の略ではないかと考えられます。
     豊橋と類似の刻印のレールは、『レールの趣味的研究序説』によると近鉄橿原神宮駅や尾小屋鉄道で見つかっているそうです。それらの例からすると、正確な標記は、

    WILSON & CAMMELL. DRONFIELD. STEEL 1883 P・I・CO
    となるようです。豊橋の例のように不明瞭だと、同じ単語として "CAMMELL" が、よく似た単語の部分として "FIELD" が含まれており、お馴染みの CAMMELL との区別が難しいです(今まで CAMMELL としていた中にも、このメーカーが混じっているかも)。
    WILSON & CAMMELL.DRONFIELD.STEEL.1882.C. P. R
    江若鉄道 近江今津駅(90度回転,廃止線の駅舎が現存,拓本:大津在住O氏)

    ワーキングトン工場(WORKINGTON@British Steel Co.)

    (向ヶ丘遊園正面) BS113A   BSC WORKINGTON-85-0
    会社名: British Steel Company(ブリティン製鉄会社)
    所在国: England(イングランド)
    所在地: Workington, Cumbria [Cumberland](カンブリア州 ワーキングトン)
    略沿革:
  • 1999年10月6日、"Koninklijke Hoogovens" と合併し、"Corus Group" となる。これにより Workington は、"Corus Group" の工場の一つとなる。
  • 1988年12月5日、"British Steel Co." 民営化。
  • 1967年7月28日、"British Steel Co." (国が株の大半を保有する株式会社) 形成。
  • 1883年、"Wilson & Cammell Steel" から生産設備が移転 ?。
  • 1856年11月6日、"Workington Haematite Iron Company Ltd." 社として創立。
  •  Workington は、Cumbria と南西 Scotland との境界を成す Solway 湾の海岸沿いに位置しているそうです。また、"The Birth of a Rail" というウェブページによると、Workington は歴史のある製鉄所で、製鋼法の一つである酸性ベッセマー転炉もここで開発・実用化されたそうです。現在は鉄鋼の生産は行なわれていないようですが、鉄道用レールの圧延が引き続き行なわれているようです。
     Wilson & Cammell Steel の経緯などから見て、Workington にあった製鉄会社が "Workington Haematite Iron Company Ltd." 社を源とする1社のみであったかどうかは、怪しい部分もありそうです。

     向ヶ丘遊園正面駅で見たレールは、小田急向ヶ丘遊園モノレール線のロッキード式モノレールの頂部レールとして使用されていたレールで、イギリスの British Steel 社(ブリティッシュ・スチール社,BSC)傘下のワーキングトン工場製のようです。
     鉄道フォーラム専門館 鉄道歴史談話室(→ その他の古レール情報リンク集)で教えていただいた情報によると、当初は 50kg Tレールを用いていたものの、その製造中止により、断面形状の良く似ているイギリスの BS113A という断面規格のレールに白羽の矢が立ち採用となったようです。
     『京阪電気鉄道の初代レール』に最新のイギリスからの輸入レールとして紹介されています。1985年に輸入されたとのことですから、現状では日本最後の輸入レールのようです。

    BS113A  BSC WORKINGTON-85-0
    小田急 向ヶ丘遊園正面駅

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