レールの断面形状、規格、寸法
1st wrote at 2001.05.03 / Last Edit at 2006.04.19


 ここでは、「JIS E 1101:2001,普通レール及び分岐器類用特殊レール」で定められている普通レールの断面形状(過去に廃止された断面形状規格も合せて解説)を、より詳しく見てみたいと思います。
 解説の右側の図は、クリックで大きくして見ることができます。

| 60kgレール | 各種50kgレール | 40kgN & 37kgレール | 30kgレール | 諸元表 | 見分け方 |


50kgレールの断面形状

 現在、日本で最も一般的なレールは「50kg Nレール」と呼ばれるもののようです。最近は幹線からローカル線まで幅広く使われています。50kg Nレールは1961年に制定されたもので、1m 当たりの重さが 50kg あるレールです。断面の形は図の赤線のようになっています。
 これとは別に「50kg レール」と呼ばれているものも一部区間・路線に残っているようです。50kg レールは、もともと「50kg PS レール」(PSはペンシルバニア鉄道規格で Pennsylvania System の略,緑線)として古くから使われていました。
 「50kg T レール」(図の青線)は、1961年に制定されたもので、当初、東海道新幹線で使用されていたようですが、「若返り工事」の際に 60kg レールにとって代られたようです。
50kg rails
図 各種 50  kg レール
 50kg レールと50kg T レールは、現在は製造されておらず、日本工業規格(JIS E 1101:2001,普通レール及び分岐器類用特殊レール)からも削除されています。

60kgレールの断面形状

 次にこれより一回り大きいレールで「60kg レール」と呼ばれるものがあります。その名の通り、1m 当たりの重さは 60Kg です。新幹線用に1961年に制定されたもので、新幹線のレールとして使われているほか、最近開業(高架になった区間なども含む)したJRや民鉄の在来線でも、ロングレール用のレールとして、軌間に関係無く採用される例が増えているようです。断面の形は図の青線のようになっています。
 ちなみに 60kg レールは日本最大のレールの規格ですが、世界に目を転じれば、67.37 kg/m というレール(136RE,アメリカ鉄道技術協会規格)(ロシアも大きそうだが詳細不明)もあるようです。
60kg rail (新幹線用)
図 60 kg レールと 30kg レールの比較

40kgNレールと37kgレールの断面形状

 「40kg Nレール」(図の赤線)や「37kgレール」(図の緑線)と呼ばれているものです。数字は、それぞれ1m当たりの重さです。
 40kg Nレールは最初に紹介した 50 kg Nレールと同系列のもので、1961年制定です。
 37kgレールは、もともとアメリカ土木学会(略号:ASCE)が定めた断面規格で、日本では古くより使われていました。37kgレールは、国鉄末期頃までは各地の亜幹線に敷設されていたようですが、路線自体の廃止のほか、徐々に40kgNレールや50kgNレールに取って代られていったようです。

 これらのレールは、駅のあまり使わないホームのレールや一部のローカル線区でまだ見ることができます(製造もされている)。

40kg N rail & 37kg rail
図 40 kgN レールと 37kg レール

30kgレールの断面形状

 最後は、「30kgレール」(図の緑線,「60 lbs 第3種」とされるものと同一)です。1m 当たりの重さは 30Kg です。*1)

 このレールは、37kgレール,40kgNレールと同様に、国鉄末期頃までは各地の支線区に敷設されていたようですが、路線自体の廃止のほか、徐々に50kgNレールなどに取って代られていったようです。やはり、駅のあまり使わないホームのレールや一部のローカル線区でまだ見ることができます(製造はもう行なわれていない)が、姿を見かけるのは希になってきました。
 30kgレールは、現在は製造されていませんが、レールの交換が困難な多数の現行路線で現役使用されている事を理由に、規格を残してあるようです。

30kg rails
図 各種 30kg レール
*1) 古くは「ポンド/ヤード」という単位で表されました。30kg/m≒60ポンド(lbs)/ヤードです。

各レールの規格・寸法・諸元表

 レールの大きさについては、1m当たりの重さで??kgレールなどと呼んでいるのですが、厳密には同じ50kgレールでも、どう見ても断面積の違うレールの規格があったりと、微妙に数字の違いがあるようです。そこで、これらの比較も含めて、レールの諸元を表に整理してみました。
 
表 各種レールの諸元
   記

寸法 (mm)  高さ
/底部
重さ
(kg/m)
高さ 底部最大幅 頭部最大幅
60kg レール 60 174.00 145.00 65.00 1.200 60.8
50kg T レール 50T 160.00 136.00 65.00 1.176 53.3
50kg N レール 50N 153.00 127.00 65.00 1.205 50.4
50kg レール 50PS 144.46 127.00 67.87 1.137 50.4
40kg N レール 40N 140.00 122.00 64.00 1.148 40.9
37kg レール 37A 122.24 122.24 62.71 1.000 37.2
30kg レール 30A 107.95 107.95 60.33 1.000 30.1
 

各種レールの見分け方

 これらのレールを見分けるには、レール同士を繋いでいる「継ぎ目板」の形状をチェックすることにより可能です(マンガンクロッシングには、ずばり書いてあるが...)。

 ASCE 系列のレールは、レールの継ぎ目がズレるを防止を目的に犬釘を打つための切れ込みが付いているのが特徴です。このうち、30kgレールはレールを止めるボルト(4つ)が同方向から、37kgレールはボルト(数はやはり4つ)を交互の向きに止めているのが区別の要点になります。
 N系列以降のレールは、継ぎ目板に犬釘の切れ込みが無くなります。デザイン的には各サイズの区別は困難で、大きさで見分けるしかなさそうです。ただし、60kgレールだけは継ぎ目板のボルト穴が6つ(他はやはり4つ)になるので区別は容易です。

 これらは、いずれも標準タイプについてです。例外も多いようなので、見分けの際に気を付けて下さい。

60kgレールの継ぎ目板 50kgNレールの継ぎ目板
60kgレールの継ぎ目板の例 50kgNレールの継ぎ目板の例
50kgレールの継ぎ目板 40kgNレールの継ぎ目板
50kgレールの継ぎ目板の例 40kgNレールの継ぎ目板の例
37kgレールの継ぎ目板 30kgレールの継ぎ目板
37kgレールの継ぎ目板の例 30kgレールの継ぎ目板の例
写真 各種レールの継ぎ目板(撮影向きはいずれも線路の内側から)

「古レールのページ」の Title Page へ 「現役の鉄道用レールを見る」へ戻る