仕事人Ｖ・橋掛人ともTVサイズは１コーラス目を使用。
　必殺ソングにしては珍しく３コーラス構成になっています。
　坂の町での別れは、他人に振り向くなと言う者が振り返ってしまうくらい名残り惜しいものだったのでしょう。
　山茶花の咲く坂の町の出来事は、振り向くなと言う人、忘れなよと言う人、もう泣くなと言う人、そしてそう言われた主人公達にとって、重大な人との別れだったようです。こんな人々のいる坂の町からの旅立ちを、その人は嬉しく思うに違いありません。だって自分がそれほど多くの人たちに愛されていたことを確認させてくれたのだから。
　ちなみに『さよならさざんか』を歌う藤田絵美子は、言わずと知れた藤田まことの実娘。仕事人Ｖ当時中学２年生でした。若くして、サビの「ああああー」を完璧に歌いこなしてしまった絵美子嬢に脱帽。
　なおこの歌は、スペシャル「主水、第七騎兵隊と闘う」、映画「必殺！ブラウン館の怪物たち」にも使用されています。
　2001年10月24日、バップから北野都の歌唱による『さよならさざんか』のカバーバージョンが発売されました。アレンジはオリジナル同様、竜崎孝路さんが担当しています。一度聴いてみなくては！

　必殺ソングの中でも数少ない、二人揃って不幸者パターンの歌です。
　無い物ねだりをする子の様に幸せを探していた彼女に、心に傷を隠し持ってるのを見透かされた上に、「あなたには愛が足りません。」と言われてしまう彼って一体…。
　そんな二人が一時の快楽(抱き合って求め合う安らぎ)に浸るわけです。類は友を呼ぶといったところでしょうか。その時だけのぬくもりを享受できるため、このカップルのアンラッキー度は低いです。
　ところで『哀しみ色の…』の作詞・作曲・歌唱を担当する京本政樹は、この歌を作るにあたってそれまでの必殺シリーズの全主題歌を10回以上聴き込んだそうです。また挿入歌として本編に使用されるTVサイズについても、京本政樹本人直々から注文があり、必殺仕事人Ｖをご覧になった方ならお分かりいただけるようにあのような編集になったそうです。京本さんの熱意を感じるエピソードですね。

　まず、この歌が何なのかを説明しましょう。
　この『闇の道』という歌、『哀しみ色の…』のカップリング曲(当時の言い方をすればＢ面曲)なのです。
　実は『闇の道』と『哀しみ色の…』はＡＢ面逆に発売される予定でした。
　ということは、必殺仕事人Ｖの挿入歌は当初『闇の道』になる予定だったのかと思われる方もいらっしゃるかも知れません。
　ブー！残念でした。初めから挿入歌は『哀しみ色の…』に決まっていました。
　それでは、Ｂ面に挿入歌の『哀しみ色の…』を従えたＡ面曲『闇の道』は必殺仕事人Ｖにおいてどのようなポジションに置かれるでしょうか？答え：主題歌。そうなんです。この『闇の道』は、当初必殺仕事人Ｖの主題歌として作られたのです。
　皆さん御存じのとおり必殺仕事人Ｖの主題歌は『さよならさざんか』。『闇の道』は『さよならさざんか』に主題歌の座を明け渡したボツ主題歌ということになります。『ウルトラセブンの歌part.II』や『戦え！ウルトラマン』の同類と言うわけです。
　さて、この歌が主題歌としての採用を見送られた理由ですが、京本政樹がサビの最後でおもいっきりコブシを利かせてしまったためだとか。以上この歌にまつわるエピソードは、1986年の秋に京本政樹ファンだった女性から「京本政樹を囲むお茶会の席上で、京本さん本人から聞いた話」として聞き込んだ情報をお送りしました。
　この歌は、恋人と別れる切れるという次元ではなく、それ以前に愛する事すらも儘ならない可哀相な人が主人公になっています。

　TVサイズは基本的に１コーラス目を使用。ただしアジト〜出陣のシーンの長さに応じて１コーラス目の後最後のサビへと続くバージョンになったりしていました。
　この歌の主人公は、歌っているのが西崎みどりという共通点も含めて「さざなみ」と同一人物と考えられます。
　『さざなみ』で薄もやのその奥を歩いていくと、それは朝もやに閉ざされたもどり道だったのです。結局さざなみ女さんは、彼の元へ戻っていくのでした。