●その前に、前回(その1のおまけ)の復習
下の図が、その1のお寺の鐘つき堂です。鳴らしてみましたか?
鐘つき棒の垂直取手(グリップ)はあなたの利き腕(右利きの人は右腕)側の肩の前15cmの所にあります。
高さは肩よりも20cm高い所にあります。
さて、あなたの立ち位置から前の鐘を鳴らすには、取手(グリップ)を30cm押し出さなければいけません。
また、後ろの鐘を鳴らすには、取手(グリップ)を20cm引かなければいけません。
この前後50cmの移動中、取手(グリップ)の高さは一定です。そしていつでも取手(グリップ)は垂直です。
2つの鐘を鳴らしましょう。ゴーンと鳴ったところがポーズの位置です。前にゴーン、後ろにゴーン、・・・
はい、ポーズの位置でストップ!
前後の位置で、あなたの腕(肘から手首まで)と取手(グリップ)の角度を確認して下さい。
常に垂直な取手(グリップ)をあなたの腕で動かすには、あなたの手と手首はどのような形と角度になるかを覚えてください。
釣り場には鐘つき堂がないので、イメージとして覚えておきましょう。
●その2
①「ラインを前に飛ばす」ために、「ロッドをなるべく長く直線的に動かす」にはどうしたらいいのか?
そして、初心者にとって恐怖である、
②「自分の顔に向かってフライが飛んでくる」ことを回避するためにはどうしたらいいのか?
この2つを同時にkingfisher的に解説をしたいと思います。
下の図を見て下さい。キャステイングする人を後ろから見た図です。
Aのように垂直にロッドを立てると、飛行するラインがロッドに衝突しやすくなります。
そこで、Bのように外側に倒すのが一般的です。初心者の方もこのことはすぐに実行できます。
なぜなら、Cのように内側には怖くて倒せないからです。ロッドハンド側から風が吹いたり、キャスティングのリズムが乱れたり、
ラインにパワーが充分負荷されていないと、フライが自分の顔に向かって飛んでくるからです。
前方に飛んだラインはその重量で落下します。落下しようとするラインをバックキャストで引き戻すと、
ラインとフライは下から上に浮き上がるように戻ってきます。ターンオーバーに対して
バックキャストの始動が遅れるために起こる現象ですが、この問題があっても、Bのように外側に倒してさえいれば安全なわけです。
「安全なんだから、それでいいじゃん。どっちに倒しても同じでしょ。」となりそうですが、「いいえ、違います。」
まず、第一にBのように外側に倒しては、混んでいる管理釣り場で釣りをすることはできません。
おそらく隣の人と3m以上の間隔が必要になるでしょう。それにグリップが体から離れてロッドの回しこみの原因にもなります。
その1で解説したように、キャスティングではグリップを前後になるべく長く直線的に動かす必要があります。
しかし、人間の体の構造、つまり肘の関節の可動範囲の都合上、BとCでは大きな差が生じます。
つまり、手首が肘(図のO点)よりも外側にあるか内側にあるかで、手(首)が前後に動かせる範囲は異なるのです。
ロッドなしで、BとCの腕の位置でどれくらい前後に移動できるか確認してみましょう。
例えば握りこぶしを自分の肩よりも後ろに移動できるか試して下さい。
BとCの差に加えて、もうひとつ、あることに気が付かれたと思います。そう、肘の動きです。
Cの位置では自然と肘を上下に移動でき、簡単に手が後ろに移動できるのです。
手首の位置が少し上にシフトしますが、もともとキャスティングのストロークは前下がりなので問題ありません。
しかし、肘の動作は今回は横に置いておくことにします。
Bの腕位置ではほとんどグリップが後ろにいかないため、思わず手首が開いてロッドが後ろに倒れてしまいます。
さて、BよりもCの方が、長い直線ストロークを作れることがわかりましたが、
これではちょっとしたミスで本当にフライが顔に向かって飛んできてしまいます。対策は簡単なのです。
図Dのように手首だけ外側に倒せばいいのです。図では大きく倒していますが、ロッドは長いので実際には少し倒せば、
ラインは体の外側を飛行するようになります。
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