その5  トラブルへの対応・その他

 初心者の頃は、
 まず、①ラインが前に飛ばない。
 次に、②キャスティングが継続できない。(すぐにトラブる)
 そして、③ライントラブルが多くて、釣りにならない。   という苦しい状態が続きます。

 フライキャスティングを始めた頃の主な問題点やトラブルは、

  1.ラインを長く送り出せない。
    (キャスティング開始から徐々にラインを長くしていくことができない。)

  2.テーリング、ウィンドノットによりリーダーやティペットが絡む。

  3.途中でストローク(フォワード/バック)のリズムが乱れる。

  4.送り出したいラインの長さに応じたリズムが取れない。

  5.ラインやフライがロッドに当たる。

 などいろいろです。

 これらのトラブルには、当然それぞれの原因があり、またそれぞれの対処方法があります。
 一般的な対処方法は本などに書かれていますが、(最近フライ関係の本が増えましたね)
 それを紹介したのではkingfisher独自のワンポイントにならないので、ここではそれらのアドバイスは省略します。
 そして、あまり本に書いてないようなこととして、以下のアドバイスを書きました。

 ●kingfisher的アドバイス

 ■まずキャスティング(ラインの飛行)にトラブルが起きたら、
 無理に立て直そうとせず、すぐにキャステイングを止めて、前でも後ろでも、そのままラインを落としてしまう

 のも状況によっては良い(トラブルを悪化させない)対応方法です(特にスペースのある管理釣り場では)。
 無理に立て直そうするとライントラブルは余計にひどくなります。
 キツイ言い方ですが、「立て直せるくらいのレベルならば、トラブルはほとんど起こりません。」
 例えば、故意にバックキャストの途中でキャスティングをやめて、ラインを落としてみましょう。
 当たり前ですが、ラインを回収すればいいだけだということが実感できます。
 同じキャスティングの停止、ラインの落下でもトラブルが起きて、さらに無理やり振り続けようとした結果、
 バックキャストでどこかに引っかけたのと、キャスティングを故意にやめてラインを落としたのでは、ラインの負荷が異なるため、
 意外に回収の難易に大きく違いがあります。

 ■自分のイメージするリズムよりも、
少し遅いタイミングでロッドを振る
 これはよく言われる「ゆったりと振る」こととほとんど同じ意味になるかも知れませんが、頭の中のイメージよりゆっくり、
 つまり「これでは遅い」と思うリズムで一度振ってみましょう。(これができると、少し早く振ることもできます。)
 そして、その結果ラインの飛行がどう変化する確認しましょう。

 ■
ラインの飛行直線をすこし、前下がりにしてみましょう。
 ついでに(できれば)、前上がりの練習もしてみましょう。(前上がりはシューティングの際に必要になります。)
 前下がりを意識することで、バックキャストのロッドの倒れが修正できることが多いです。

 ■
エキスパートのディテール(部分)を見学する。
 「ああ、あの人、キャスティングがうまいなあ」という人(エキスパート)を見つけたら、ラインの飛行やフォーム全体を見るのではなく、
 部分をよく観察しましょう。
 つまり、ロッドハンドだけ、ティップだけ、スタンスだけなどと1点に集中して見学すると意外な発見があるものです。

 ■
ホールのリズムは「シンコペーション」
 もし、ホールのリズムが悪くトラブルが起きるようであれば、バックキャストの始動を「スッ」と始めた後、ホールを「トーン」とします。
 そして、リリース(ラインの戻し)を「スッ」。
 ”キャスティングの神様”メル・クリーガーは「ダウンナップ!」と言っていますが、kingfisher的には
 「スッ・トーン・スッ」。
 音楽の授業で学んだ、「シンコペーション」、つまり「タ・ター・タ」です。
 ダブルホールでは、バックキャストに続いてフォワードも「スッ・トーン・スッ」、つまり「タ・ター・タ・タ・ター・タ・・・・・」という繰り返し。
 これはまず、ロッドを持たずに練習しましょう。
 シングル、ダブルいずれにしろ、ホールは試行錯誤していると、
 ある時突然ラインにパワーを付加することができたのを実感する瞬間が訪れます。それまで、いろいろ試してみましょう。

 ■
釣り場では練習はできません。
 もう実感していると思いますが、釣り場ではキャスティングの練習はできません。
 これまたキツイ言い方ですが、「釣れないから、キャスティングの練習でもするか」というセリフが言えるのは、
 「キャスティングの練習不足で、釣れない」という問題を解決した先のことです。

 ■熟練者に教えてもらうのが早道ですが、フライキャスティングの特徴として、
 
「理屈を知っている」ことが「体で覚える」ということに、とても役立つと言えますので、
 意味がわからないまま体で覚えようとする前に、少し 理屈を考えてみることも必要だと思います。
 「どういうふうにロッドを振れば、ラインが前に飛ぶのか」の前に、「なぜ、ラインは前に飛ぶのか」を考えてみるというカンジでしょうか。



 こうして考えてみると、私としてはワンポイントその1〜4に付け加えるアドバイスはあまりありませんね。
 後は反復練習あるのみです。(「結局、練習あるのみかよ〜」と怒らないで下さい)

 注:いまさらですが、この「キャスティングワンポイントメモ」で言う”初心者の方”とは、
   もちろんフライキャスティングを始めて間もない方のことですが、概ね3ケ月以内、ロッドを振るのが15日目以内
   という段階の方を想定としています。

 お詫び:今回は、(へたなので)説明に合ったイラストを書くことができませんでした。


                「キャスティング ワンポイントメモ」 第1部 終わり


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