その11
わしじゃ、”毛鉤じじい2000”じゃ。 |
なんで、”2000”なの! |
だって、みんな”2000”になってるから、わしも。 |
だから、なんで!? |
まあ、そう年寄りをいじめるな。弱い者には、優しくせにゃいかん。 |
あんたの場合、とてもそんな気になれない。 |
優しくするといえば、魚を扱う時は気をつけなければいかんぞ。 お前、いつも、どんな風にしとるんじゃ? |
もちろん、管理釣り場でも優しくリリースしてますよ。 なるべく魚を水から上げずに、魚に手を触れずに、 フライフックだけをつまんで外してます。 手で魚を持つと、魚がやけどするらしいし、 タオルなんかは使ってはいけないと聞きました。 |
ほう、なるほど。 しかし、フックを外す時、魚があばれるじゃろ。 |
ええ、だから、ゆっくり寄せてからフライを外します。 |
なぜ、ゆっくり寄せるんじゃ? |
だから、魚を少し弱らせてからでないと、あばれますからね。 |
魚を弱らせるんか。つまり、優しく、弱らせるんじゃな。 |
なんか、いやな言い方だなあ。 だって、それが良い取りこみ方でしょ。まあ、少しは魚の引きも楽しみたいですけど。 |
いや、別にイヤミを言っとるわけではない。わしもそれで良いと思う。 しかし、「なるべく早く寄せて、なるべく早くリリースするのがいい」という人もおるぞ。 |
考えが足りないってことですか? |
例えば、細いティペットで、大物がかかった時はどうじゃ? |
どうって、だから、ゆっくりやりとりして寄せるか、 ティペットが切れるかのどちらかになるでしょ。 |
ティペットが切れるというのは、自分から見て、 ティペットの先とフライがなくなるという意味じゃな。 魚から見ると、フライが口に刺さったままになるということじゃな。 |
また、いやな言い方だなあ。だから、切れないようにランディングネットを使って・・ |
お前、さっきはネットのことなんか言わなかったじゃろ。 |
言い忘れただけですよ。 |
そうじゃろ、忘れただけじゃな。 大物がかかってから、ネットを忘れたことに気がついたら、どうするんじゃ? |
なんか、ムカツクなあ。 |
簡単じゃ。ネットを誰かから借りればいいんじゃ。 しかしな、自分でかけた魚は、自分で最後まで釣りあげなければいかん。 リリースするということは、魚を持って帰るのが目的ではなく、 釣ることを楽しむのが目的だということじゃろ。 誰かにネットを借りたり、ネットですくってもらったりしたのでは、 自分で釣ったことにはならん。開高の「フィッシュ・オン」を読め。 男なら・・ |
なにも、そこまでこだわらなくても、いいじゃないですか。たかが、管理釣り場で。 |
・・・ キャ〜、ツレチャタワ〜! ワタシ、オサカナ、サワレナイノ〜! ダレカ、ハリハズシテ〜! オネガ〜イ! |
なに、それ? |
レディとお年よりには、優しくせにゃいかんということじゃ。今日はここまで。 |
イヤミなじじいだなあ! |
kingfisher注記: 魚の扱いやランディング、リリースについては、 いろいろな考え方があると思います。 ちなみに、私は今回の毛鉤じじいとは 異なる意見を持っています。 なお、最後のカタカナの一節は、 女性アングラーを蔑視する意味では ありませんので、念のため。 |