●管理釣り場で釣れる魚は、主にマスです。マス(鱒)の仲間を総称して、英語ではトラウト[Trout]と呼びます。
ちなみに、明確な区別はないですが、同じ魚でも海に降る魚は、英語ではサーモン[Salmon](サケ:鮭)と呼ばれたりします。
  分類学的には、サケ科のマス属・サケ属・イワナ属とありまして・・・そんなことは管理釣り場では関係ありませんネ。
(表中の★=釣り難度はkingfisher独断の基準です。)

 一般的(陸封型・河川残留型)名前 降海型
<降湖型>
原産地 特 徴
ニジマス(虹鱒)
[Rainbow trout]
スチールヘッド
[Steel head]
        
<ニジマス>
北米 ●ニジマス ★
魚体の側線に赤い帯(虹)があるのが特徴。
おなじみ、管理釣り場で一番多い魚です。
日本には1877年に最初に移入され、最も多く養殖されています。
(高水温に強く、養殖が容易であるため。)

●スチールヘッド
海洋生活において、一旦赤帯が消えるが、成熟すると再び赤みを帯びる。
黒点が消える固体もある。

ヤマメ(山女魚)
[Masu trout]

サクラマス
<ホンマス>
<サクラマス>
東日本 ●ヤマメ ★★
渓流の女王と呼ばれる美しい魚体。
体側にある紫色のパーマーク(幼魚斑)がトレードマーク。
パーマークは成魚になっても消えない。
自然繁殖では、サクラマスを両親として生まれた子供は、ヤマメ(河川残留型)とサクラマス(降海型)との分かれる。

●サクラマス
サクラマスをホンマスという別名で呼ぶ地方が多いようです。
降海の際、銀化したヤマメは地方によっては「ヒカリ」とも呼ばれる。


アマゴ(天女魚 )
[Redspoted masu trout]
サツキマス 西日本
●アマゴ ★★
東日本のヤマメに対応するのが、西日本のアマゴ。
生息分布は、関東以南の太平洋側と四国で、ヤマメと分布域を分け合っている。
ヤマメのパーマークに、さらに朱点(赤い斑点)があるのが特徴。

●サツキマス
降海型のサツキマスになっても、朱点は消えない。

※関東在住の私は、釣ったことがありません(^_^;)

イワナ(岩魚)
[Japanese char]
アメマス

<アメマス>
日本 ●イワナ ★★
在来鱒(日本原産)の代表。
魚体に白い斑点。胸、腹、臀のヒレの前端が白い。
地方変異型亜種として、エゾイワナ、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ・・などがいる。

●アメマス
降海型、降湖型いずれもアメマスと呼ばれる。
イワナとアメマスの外見上の区別は明確ではないが、
パーマークが薄れ、白斑点が瞳孔大のものをアメマスとするようだ。

ブラウントラウト
[Brown trout]
シートラウト ヨーロッパ ●ブラウントラウト ★★
北米でトラウトと言えば、レインボートラウトだが、
ヨーロッパでトラウトと言えば、この魚のこと。
ブラウンの名の通り、褐色がかった魚体。
黒点、朱色の点が散りばめられている。
気品を感じさせる美しい魚。

最近、管理釣り場でも多く放流されるようになりました。

●シートラウト
・・・見たことないっす(^_^;)


ブルックトラウト(カワマス:河鱒)
[Brook trout]
--- 北米 ★★
イワナ属。イワナに似ているが、体側に朱色の点がある。
1902年に移入され、日光湯川に放流されたのが始まり。

日本語で「カワ」に対応する言葉として、「河」「川」「渓流」「小川」などがあるように、
英語でも「River」「Stream」「Creek」「Brook」などがある。


イトウ
[Huhen]
--- 北日本 ★★★
イトウ属。Huhen(フッヘン)はドイツ語。
日本における最大の淡水魚。丸みのある顔。多数の小黒点。
以前は幻の魚と言われていたが、養殖に成功して、管理釣り場にも登場。

グレーリング(カワヒメマス)
[Grayling]
--- 北米 ★★
和名は紛らわしい名前になっていますが、ロシア名はハリウス。
北米大陸、アジア大陸北部、北太平洋などに分布。
冷水魚の中でも最も美しい魚と言われているみたいです。
七色に輝く鱗を持ち、帆かけ舟のような大きな背びれが特徴。
近年、日本でも養殖に成功し、管理釣り場にも供給されるようになりました。
シルバーメタリックの魚体が水中で反転した時、ビカッと光るのが印象的。

ペヘレイ
--- 南米
アルゼンチン原産(この魚はサケ科ではありません)
ボラとキスの中間的な姿。ペヘレイは現地の言葉で「魚の王様」の意味。
薄づくりはフグにも迫る美味さとか。


【 トラウト・アラカルト 】

魚種・項目 説明
管理釣り場と言えば、放流(養殖)魚・・・
3倍体(ニジマス)
           
  
人間と同じように2対の染色体を持っている生き物を2倍体と呼び、魚も通常2倍体ですが、
受精直後の卵に刺激(温度や圧力、薬品など)を与えると染色体を3対持つ魚を作ることができます。
この3対の染色体を持つ生物を3倍体といいます。
しかし、染色体の数云々ではなく、生殖機能が弱いことが重要で、生殖に使われるエネルギーを
成長に向けることにより、大きな魚体を作ることが目的ということのようです。
ですから、オスの3倍体はあまり生産メリットがなく、通常、3倍体はメスを主として生産されます。
ちなみに、3倍体を作る技術と同様、メスのみを作るバイオ技術もあります。
※バイオテクノロジーと言っても、遺伝子操作ではなく染色体操作なので食用としての安全性に問題はない。

ヤシオマス 栃木県水産試験場で生産された、ニジマスの3倍体の一種です。(全てメス)
大型になりますが、この品種改良の本来の目的は大型魚ではなく、
刺身用魚体(赤身)生産のためだったようです。
ヤシオは、栃木県の花「ヤシオツツジ」(ピンク色の花)から命名された。

クイーントラウト 新潟県(土田養鱒場)で生産している3倍体のニジマス。(全てメス)(登録商標みたいです。)
魚体に比べて、口が小さいです。

ドナルドソン ドナルドソン(という名前の)博士が、スチールヘッドとレインボーの大型選抜個体をかけあわせて、
長年にわたり品種改良して得られた系統のニジマス。
つまり、大きい魚体の親同士のかけあわせを繰り返す「系統選別育種」であり、3倍体ではありません。

3倍体もドナルドソンもニジマスですから、普通のニジマスと明確に見分ける外見的特徴はあまりなく、
サイズ以外での区別は難しいと思います。
コプラテックス ドナルドソン(アメリカの大型系統選別育種のニジマス)のヨーロッパ版
F1 交雑種(ハイブリッド)の第一世代、つまり親魚が(交雑種ではない)異種魚の交配による「ハーフ」。
「F」の頭文字の意味は、「Filial」(子)です。F1同士の子、第二世代はF2となる。
トラウトはいろいろな交雑が可能だが、一般的にハイブリッドは生殖機能が弱いため、F1で途絶えることが多い。
(イワナ類は例外的に生殖機能がある。)
交雑しても生き残れない組み合わせ(致死性交雑種)や、あまり商品価値のない組み合わせもある。
実際に生産されるF1は限定されており、一般的には、イワナ
×ブルックトラウトの交雑種を「F1」と呼ぶことが
多いようですが、本来ならば、単に「F1」ではなく、「○○と△△のF1」というような表現が必要です。

   
●イワナ
×ブルックトラウトのF1(オス)        ●イワナ×ブルックトラウトのF1(メス)
タイガートラウト イワナとブラウントラウトの交雑種。
斑紋がトラ模様になることから、この名がついた、F1の(商品価値として)成功例。

カワサバ イワナ×ヤマメの交雑種。斑紋が海の魚のサバのように見える。

ロックトラウト ニジマス×イワナのハイブリッド=ニジイワ
アルビノ
(ニジマス)
色素を持たない突然変異の魚体。色素を持たない場合、通常の魚は白いが、ニジマスの場合は黄色になる。
アルビノニジマスは、1956年長野で初めて発見された。
遺伝的に優性なので、アルビノニジマスの親からはアルビノニジマスが生まれる。
その子孫が各地で養殖されている。希少価値の他に、養殖の魚体成長のサンプル(目印)としても利用される。

ホウライマス 1965年、愛知県水産試験場鳳来養魚場で発見された、突然変異のムハン(無斑)ニジマス
(黒点のないニジマス)。
試験場の名称(地名)「鳳来(ほうらい)」から、この名前がついた。(試験場は現在は三河一宮に移転)
優性遺伝(親の形質が必ず子に反映する)により養殖が可能なため、1972年から各地で生産されている。

アルビノもホウライマスも、ルーツとなるたった1尾の突然変異の魚から、
子孫を増やしているということになります。
絹姫サーモン ホウライマスを雌親、アマゴ、イワナを雄親として交配させ、3倍体にしたもの。(全雌異質3倍体)
普通のニジマスと普通のイワナのハイブリッド=ニジイワは、ロックトラウトだが、
絹姫サーモンは、ホウライマスと偽オスのイワナを掛け合わせたもの。
愛知県淡水養殖漁業協同組合により商標登録されている。(つい最近から生産出荷されている魚です。)

ホッキョクイワナ アルプスイワナとも呼ばれる。日本でも富士養鱒場(相模漁業生産組合)で生産されている。

あまり、管理釣り場と関係ないですが、・・・
ヒメマス ベニザケの陸封型。日本では北海道の湖(阿寒湖など)に生息する魚を原産種としている。
降湖型もヒメマスと呼ばれます。

ベニザケ 英名:レッドサーモン。
肉の色はサケ鱒類ではもっとも強くサーモンピンクになり、婚姻色の出た雄は体中真っ赤になるため、
大群で遡上する様子は川が真っ赤に染まったように見えるそうです。

ホンマス サクラマス(ヤマメの降海<降湖>したもの)、またはビワマス、カラフトマスなどの俗称。
俗称なので地方によっても呼ばれる魚が異なる。

ビワマス 琵琶湖特有のサクラマス亜種。(ホンマスとも呼ばれる。)

マスノスケ キングサーモンのこと。サケ・マス類では最大の魚。

シロザケ 日本でサケ(鮭)、塩鮭、新巻きと言ったら、この魚のことです。

カラフトマス 川を遡上する頃、雄は産卵期に背が張り出すことから背張マスと呼ばれる。
「さけ缶」に使われているのが,この魚。
本州でマスと言えばサクラマス、北海道ではこの魚をマスと言う。

オショロコマ
(ドリーバーデン)
オショロコマとドリーバーデンは同一の種とのこと。
北海道中部以北、カナダロッキー山脈などに生息するイワナの一種。カラフトイワナとも呼ばれる。
北海道以外では降海性もある。降湖型はミヤベイワナと呼ばれる。

ナガレモンイワナ 斑文が流れ状の模様のニッコウイワナ。

レイクトラウト カナダから中禅寺湖に移入されたイワナ属の大型トラウトで、現在も中禅寺湖のみに生息している。
トラウトサーモン (スーパーの鮮魚コーナーに並んでいる食用の)海中養殖による大型ニジマスの商品名
養殖はほとんど海外で行われているようです。
「トラウトなのか!、サーモンなのか!はっきりしろ!」と言いたいところですが、商品名ですので(^_^;)
イワメ アマゴの突然変異、斑紋がないためムハン(無斑)アマゴとも呼ばれる。パーマーク、黒点、朱点がない。
ニジマスのムハン(無斑)はホウライマス。ヤマメ、イワナにもムハンの固体が発見されている。
イワメは遺伝的には劣性。

スモルト(銀化) 降海する魚が銀化すること。または銀化した魚を指す。
銀化とは、降海した後、海水中での浸透圧調節を可能にするための相分化(変態)をすること。
(浸透圧調節ができなければ、体内の水分がすべて体外(海水中)に出てしまう。)
この際,鱗にグアニンが蓄積され銀色になり,体側のパーマークが見えなくなり、
体色が銀白色に変化するため、「銀化」と呼ばれる。パーマークや黒点が消える。
ただし、サツキマスはスモルトしても朱点は残る。

シラメ 岐阜県長良川水系ではアマゴのスモルトを「シラメ」と呼び、一般的な呼称に広まりつつあります。

★一部、 「サケ・マス魚類のわかる本」(井田斉+奥山文弥 山と渓谷社)を参考・引用させていただきました。

なお、内容に誤りがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。

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