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第1シリーズ 4話 「十五歳の母 その1」

みどころ談義

● いよいよシリーズ最大のテーマの序章です。

○ 冒頭で「物事を静止した状態で捉えてはいけない」という言葉を金八が二回繰り返すところから始まるんだよね。

● 中学生の妊娠という衝撃的な設定。しかし前話の「恋愛と中学生らしさは相反するものではない」という主張を受けた格好になっているので、決して突飛なものではないことが理屈付けられています。

○ そうはいってもやっぱり生徒にとっては衝撃的な事件。

● 教室をあげての取っ組み合いはこの回が初かもしれないですね。

○ 視聴者にとっても衝撃的な内容だっただけに、一部の反発はものすごく、校長がタバコを吸うシーンについてまで抗議があったそうだよ。

● そんな…。

○ で、思うのはやはり保、雪乃の演技の上手さ。引き込まれるよ。そして、彼らは彼らなりに真面目に考えた結果あの行為があり妊娠するにいたって、事の重大さに気づいた雪乃は必死に堕ろそうとするものの、それも違うのではと思い直す。そういう子供なりの千思万考をきちんと聞いてやること、これが「金八らしさ」なんだよなぁ。

● う〜ん。

○ とはいうものの、この時点で実際に雪乃を受け止めているのは天路先生だよね。金八は明らかに動揺していて、保健室でも、二人を発見した駅でも大した言葉を掛けられなかった。

● あぁそうか。

○ 天路は実に堂々としていて当時はばかられていた「セックス」という言葉も使って雪乃と向き合う。それでいて高圧的じゃなく雪乃に優しく接し導いている。

● なるほど。家出少年をひっぱたいたり、ボクサーを気取る生徒に「かかってこい」と言ったり、下ネタで気持ちを掴むようなやり方では所詮「いい兄貴分」止まりなんだ。

○ そう。男女様々な生徒を導こうとすることの難しさに金八は気づかされたんじゃないかな。

● この長い一日、金八は天路の後にくっついていただけですもんね。

○ それが最後のシーンで道を分かれることになって、去っていく天路の後姿を見ながら一人になった金八がグッと心に持った決意。これこそが金八先生の原点のような気がしたよ。

● 金八先生にとっての現代の坂本竜馬、それが天路先生だったんですね。

○ そうかもしれない。重大な発見だよね。このことも第4回で明らかになった見逃せないポイントだよ。

● 深いですねぇ。で、ちょっと話は戻るんですけど、雪乃の家は悲惨でしたね、雪乃にとっては。

○ 受験生の気難しい秀才の兄、それ中心に回っている家。私立中学を落ちた雪乃は恥扱いだもんなぁ。保も雪乃からそれを聞いて同情することが多くあったはず。

● そうか。雪乃としては耐えられないほど酷い家庭環境だけど、逆にそれが二人の仲を密にさせる要因でもあったわけですか。切ないなぁ。

○ ホントうまいよねぇ。あと何か気づいたことはある？ 細かいことでも。

● 冒頭に出てくる「個人ノート」は、グループノートからの発展型ですよね。より一人一人が見えるように、個人を対象にしたと。まぁそれはいいんですけど、あれだけの数のノートを買うにはそれなりの金額が必要で、貧乏な金八には大きな出費かと思われたんですが、実は意外にもパチンコで獲った景品だったんですね。

○ もっとも、金八一流の照れ隠しでそう言ってるだけかもしれないけどね。

● あと、自転車に乗ってじゃれ合う保の回想シーンで、明らかに他人のはしゃぎ声が乗せられているんですよ。そこが残念といえば残念でした。

○ 細かい気配りが素敵なドラマだからね。あそこはこだわってちゃんと二人の声にしてもらいたかったね。

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