ホーム > 放送年表/鑑賞ガイド > 第2シリーズ10話
第2シリーズ 10話 「白紙答案の波紋」
いよいよ期末テストが始まった。内申を決定づける最後の定期試験だ。ところが、石川祐子(吉田康子)は数学の答案を白紙で提出してしまう。祐子は悪びれる様子もなく、5問中3問に渡って引っ掛け問題を出題した乾先生(森田順平)の汚いやり方に抗議するためにボイコットしたというのだった。
乾は「どういうつもりだ」と祐子を問い詰めるが、理由を知った3Bの生徒たちから逆に猛抗議を受ける。一触即発のムードは金八(武田鉄矢)が駆けつけたことで事無きを得るが、金八に「あなたもいい加減成長してください」と忠告された乾は立腹し去っていく。金八は生徒から事情を聞いたうえで、先にケンカを吹っかけた3Bが悪いと諭すと、祐子はこれを受け入れ乾に詫びを入れようと職員室へ向かう。しかし乾は既に学校を早退してしまっていた。
その夜、金八は乾の家を訪ね「生徒に愛情を持ってくれ」と訴える。しかし逆に、具体的なデータに基づく入試心得を生徒に植えつけようと敢えて落とし穴的問題を出題したという乾の真意を知ることになり、さらに「簡単な落とし穴に引っかかる原因に生徒の国語力低下もある」と言い込められ、納得するとともに大きなショックを受ける。
悩んだ金八は「数学の国語的表現」に挑戦することに。難しい計算問題を物語になぞらえて考えさせると、俄然興味を持ちはじめる3B。金八は生徒たちに乾の真意を伝え、「応用力のない人間にはなるな」と教えるのだった。
みどころ談義
- ○ 金八「あなたの愛情は、鞭ばかりの愛情なんだよ!」
- ● 乾「あなたはママゴンの偏愛そのものじゃないですか!」
- ○ …いやぁ、この二人のやり合いはやっぱり最高だね。ニヤつきながら見ちゃった。
- ● 第1シリーズ9話の「数学を好きになる法」とよく似たお話です。とは言っても、前回は乾先生と金八先生とが最後まで相容れないままだったと思うんですが、今回は後半ちょっと違いますよね。
- ○ 違うね。一年前、金八はカンカンに対して対抗心しかなかったけれど、今度は「国語力の低下」の問題として自分に関わってきた。受験生の担任として一度受験期を経験したことも大きかったのかな。
- ● 受験対策に力を入れる乾先生の考えにも一理あると。とはいえ、「ダボハゼ」なんて口が悪いのは相変わらず良くないところですけどね。
- ○ そうそう。そこは変わっていなかった。だから今回もトラブルが起きてしまった。カンカンにしてみれば出題意図を説明する前に一方的に抗議を受けた、ということだろうけれど、はじめ松浦たちは説明を要求して立ち上がったんだよね。そこで「言うことを聞かないと授業を中止する」なんて脅迫まがいのことをつい口走ったために混乱に陥って、高圧的な態度を嫌う加藤優を刺激することにもなったという。カンカンは生徒がぶつかってくると権力を盾にして逃げちゃうんだよなぁ。
- ● そうやってクラスが混乱するんですが、当の祐子は、その中でひとり自分の席に座って様子を眺めているんですよ。乾先生に謝ろうと金八が提案するとすんなり従うし、あんな事件をしでかした割には怒りをぶつけてくるわけでもないところがちょっと不気味に感じました。
- ○ 祐子は当時としては新しいタイプの子だよね。賢く、決して先鋒にはならず、全体の流れを作って自然に周りを動かすような。これが子分を持つようになると第4シリーズの広島美香や第5シリーズの兼末健次郎になるのかもしれないね。
- ● いやぁ、しかし、学習発表会が終わった途端、受験という大きな壁がかなり意識されてきました。
- ○ 金八が最後に言った「方程式の中にもドラマがある」という言葉、意味深だよね。
- ● 乾「あなたはママゴンの偏愛そのものじゃないですか!」
その他の周辺状況・小ネタ
- 大川明子、国語のテスト中にブツブツ呟いて注意を受ける。数学のテストでは菱沼由美が同様に。
- 数学の点数が気になって金八の元へ訪ねて行くほどだった野沢純一の点数は、45点だった。
- 2問の引っ掛け問題を見破って得意そうだった平尾久之だが、実は引っ掛けは計3問あったことを知ると憤慨。
- 石川祐子はハワイのマッキンレイ・ハイスクールに進学するという。ママが「勉強勉強で子どもをいびつにする日本になんかいることはない」と言っているんだそう。
- 乾先生の自宅の表札に「S.INUI」の文字が。あれっ?名前は「友彦」のはずだが…。
- 「数学の国語的表現」の授業の中で、松浦が加藤に話を振ったりしている。