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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第3シリーズ 11話 「進路決定・三者面談(2)」

金八(武田鉄矢)が山田裕子(浦明子)の家に着くと、太吉(前田吟)は安らかに寝かされていた。朝から様子がおかしいので医者を呼びに行ったが、戻ったときには既に息がなかったという。父の最期を看取ることが出来なかったと後悔する裕子を、金八は「自分を責めちゃいかん」と慰め、太吉の娘である裕子と友達である先生と、二人で頑張って葬式を出してやろうと言って励ます。

学校をないがしろにできない金八を、大森巡査(鈴木正幸)や水野君恵(岸雅)、寺の息子である鶴田竜一(平良健)らが手助けし、通夜の準備が整った。夜になって駆けつけた金八は、参列した生徒たちに「人間死んだらゴミになるなんてのは嘘だ。心の中にずっと生きている。」と話し、太吉の遺影に向かい「お父さんのおかげで裕子の本当の姿を知ることができた、裕子の心に開いた穴は親友たちが埋めてくれるだろう」と涙ながらに語りかけるのだった。

翌日は葬儀。しかし金八は3Bの三者面談を続けている。畔柳吉人(金杉太朗)の母親は本人の適性を無視してあくまでも医者になることを希望するが、金八は自分で決断させることが大事だと反論。すると吉人はよく言ってくれたとばかりに金八に握手を求める。目先のテストにとらわれるだけだった吉人も将来を見据えはじめているのだ。

面談が終了し教室を出た金八を、離婚した裕子の母親が待っていた。身寄りがなくなった裕子をぜひ引き取らせて欲しいという。それを聞いた金八は、裕子が少し落ち着くのを待ってから伝えることに決める。

翌朝、金八が学校へ向かっていると、吉人が元気よく駆けてきて「母親と話し合った結果、医者にならずに済んだ」とすがすがしい表情で報告する。また、裕子は依然とげとげしい様子ながら、君恵と一緒に登校してくるのだった。

88年12月19日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤浩丈

視聴率: 22.8%

DVD: なし

小説本: 第10集

 みどころ談義
● 前回から引き続いての後編です。金八先生が裕子の家へ駆けつけるところから始まりました。
○ 大森さんや学級委員の他に、君恵や啓太郎といった他人の痛みが分かる生徒も手伝いにきてくれた。
● 竜一がお寺の息子だという設定も、ここで生きましたね。
○ そして今回一番心に残ったのは、やっぱり金八先生。太吉の死に接したということで、口調、言葉がすごく優しくて、印象的だったなぁ。
● てるてる坊主のくだりなんて、もう堪らんですよ。泣けました。
第2シリーズの22話でも佐々木博子の父親が死んでしまうということがあって、その前の第1シリーズ21話では浅井雪乃の兄が亡くなった。この時期に人の死に触れるということが、義務教育を終えて巣立とうとする若者に物事をしっかり考えさせる契機になるというか、そういう部分があるのかもしれない。
● 「冬と向かい合わなきゃ春が来ない」という言葉を金八先生は裕子に掛けてましたけど、これはこのあと受験を控える生徒たちにも当てはまる言葉ですよね。
○ そうそう。何事にも通ずるんだと思うよ。苦しさ、辛さに耐えて、先にある目標を見つけて、頑張って欲しいと金八先生は願う。「頼む、頑張れ。頑張ってくれ」って。
● なるほど…。主題歌の内容を象徴するような出来事が起こって、いよいよ大詰めという感じですね。次回がひとまずシリーズとしての最終回ということになります。
 小ネタ/周辺状況
◆ 太吉の着替えや綿詰めをした裕子、ヒゲだけは親友だった金八に剃って欲しいといって頭を下げる。
◆ いつも裕子を気に掛ける親代わりの「ぼたん」のおばさんは、バス旅行のため不在だった。
◆ 君恵は自ら希望して受け付け係を務めた。
◆ 太吉は酒を飲んだ後、よく柿を欲しがったという。
 他のシリーズでは
■ずっと生きている
…お通夜の席で「人間死んだらゴミになるなんてのは嘘だ。心の中にずっと生きている」と言った金八。第7シリーズ13話の「命の授業」では、妻の里美先生とのことを例に挙げ、故人の思いを継いで忘れずに思い置くことが生きる支えとなる、と説いている。

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