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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ15話 「金八も受験生の父」

都立推薦入試の合格発表が行われ、受かった者、落ちた者、3Bは明暗がくっきり。中でもガリ勉の森山慶貴(桑原朋宏)がスベリ止めの青嵐高校を落ちたのは驚きであった。幸作(佐野泰臣)や兼末健次郎(風間俊介)も青嵐を不合格となり、会場から直接帰宅した健次郎は母に優秀だった兄と比較され気を落とす。また、お互いに自粛していた3Bとケアセンターとの交流が再び解禁となり、生徒らはお年寄りと節分の豆まきを楽しみリラックス。暮れに餅を喉に詰まらせた洋造さんも元気そうだ。

教室に戻らない健次郎を心配した金八(武田鉄矢)の要請で、花子先生(小西美帆)が健次郎の様子を窺いに向かう。しかし健次郎はあくまで自宅への訪問を拒否しハンバーガー・ショップで待ち合わせることに。花子とデートするような形になり健次郎は笑顔になるが、そこへ会社帰りの父親・栄三郎(秋野太作)が通りがかりデートはあっけなく終了。帰り道、栄三郎は「開栄はどうだった」と尋ねるが、今日は青嵐の発表日。息子の受験日さえ把握していない父親に健次郎は表情を曇らす。

翌日の登校中、幸作と健次郎はちはるのことでまた口論に。強がり突っぱねる健次郎に幸作が「お前みたいなのは犬に食われて消えちまえ」と言うと、「俺もそう思ってる」との返事。幸作は健次郎の違った一面を見た気がして複雑な気持ちになる。

3Bでは進路が確定した松岡敏江(清水沙映)が経済について語りだし、デラ(香川佑太朗)は自分の名前をついに漢字で書き始める。少年が終わって青年になっていく、そういう時が来たのだと金八は感慨に耽り、「人生の最初のハードルは高校入試。合格して来い!」と幸作へ発破をかけるのだった。

00年2月3日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 森一弘

視聴率: 20.4%

DVD: 第6巻

小説本: 第17集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 「金八も受験生の父」というタイトルがついた15話です。ラストの金八先生の語りには感銘を受けてしまいましたよ。博多のおふくろさんの話。
○ 「15歳は、親の指さす方向へ走っていく時期。もう親自体を見ていちゃいけないんだ」って幸作に教えたんだよね。良いこと言うよなぁ。親とのエピソードを喋らせたら右に出るものはいないな、金八つぁんは。というか武田さんは。
● よーいドン、でスタートだと言ってましたね。前のシリーズの主題歌だった「スタートライン」もこの逸話からイメージして出来上がった曲なのかもな、なんて思いました。あの場面では、乙女がそっとヒイラギの葉っぱを忍ばせているのも温かかったです。
○ 坂本家の思いやりがとてもよく見える一方で、兼末家はヒドかったよなぁ。落っこちて帰ってきた健次郎を兄と比較しちゃう母親、息子の受験日を全く把握していない父親…。二人とも健次郎を一言も慰めない。
● 父親はバラの花束を手に持って現れましたけど、花束があんなに空虚に見えたことないですよ。
○ 同感。あのバラはそのあと兼末家の玄関に飾らていれたんだけど、徘徊から戻ってきた兄が花瓶ごと壊しちゃって、父親はそのトゲで指を切るという。あのシーンのひんやりとした感覚がそのまま健次郎の辛さなんだよなぁ。
● 「トゲ」についてはちょっと前の回、12話で金八先生が言ってましたね、「健次郎はトゲだったが、そのトゲにもまたトゲがある」ってことを。本当に何気なく繰り返しているあたり、芸が細かいです。
○ なるほどね。そういやさ、坂本家の幸作も、兼末家の健次郎も、まだ入試で一校も合格してないんだなぁ。
● そうなんですよ。その不安やストレスが土手での登校シーンに出てたんじゃないですか。いくら健次郎が相手とはいえ、優しい幸作には珍しく「犬に食われて消えちまえ」だなんて言って。
○ 幸作はそのとき「俺もそう思ってるよ」という健次郎の返事を聞いて、はじめて健次郎の闇の部分に気づいたみたいだね。これ重要。健次郎に同情する気持ちも出てきちゃって、優しい幸作はますます煩悶することになっちゃうんだけど。
● 部屋で勉強している最中も健次郎やちはるのことが気になっちゃっている幸作…。んー、可哀想! いまのところこのモヤモヤ感が入試結果にそのまま反映されているように見えますね。
○ 早く立ち直って欲しいところだけど、次回予告はまた凄くヘビーな感じで…。
● 春まではまだもうちょっと掛かりそうですねぇ。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆青嵐高校は、幸作の学力からすると「背伸び」らしい。
◆青嵐を不合格となった健次郎が仮病で帰宅するとすぐに明彦がチャイムを鳴らしたシーン、繋がり方が変。明彦は自分の発表を見に行っており、健次郎がまっすぐ帰宅することは知らないはずだが…。
◆そこで明彦、健次郎がカツアゲをチクったと勘違いし金銭を返却しようとし、また引き篭もる雄一郎の靴を目ざとく発見、部屋の物音も聞く。波乱の予感。
◆高校入試の時期だが、敏江とアスミは専門学校へ合格。何も高校だけが進路とは限らないのだ。
◆センターでの豆まきシーンで、加奈恵の「コココ好太」再び! 笑った。
◆大西さんの病室では、乙女に邪険に手を払われた金八が「払わなくてもいいじゃない!」と言うシーンが再び。今作では花子にも振り払われており金八哀れ。
◆健次郎につきっきりの幸作を3B女子が「あれはボディーガード」と言っているが、空手部の健次郎の方が強いということをお忘れの様子。
◆金八がデラに「野」という漢字を教えようとしていたが、その覚え方は「田んぼは土でできている。マア」。
◆健次郎の開栄の受験番号は「12118」。
◆金八、幸作を「モスラ顔」と表現。
 他のシリーズでは
■お百度参り
…冒頭、金八が乙女のためにお百度を踏もうとしたことがあると話していたが、第1シリーズでは桜中の事務員・川村さんが3Bで唯一進路が決まらなかった中尾友行のために本当にお百度参りしてくれていた。その甲斐あってか友行は見事二次募集に合格。
■焼きそば
…金八が夕飯に焼きそばを作るシーンがあったが、金八が作る焼きそばといえばスナックZ。第2シリーズで金八がはじめて血魅怒呂の巣窟・スナックZへ乗り込んだ時、血気はやるメンバーをなんとかなだめようと金八は突然焼きそばを作りはじめた。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【書籍】 「あの金で何が買えたか」 (村上龍著、小学館)
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