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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ16話 「ガラスの少年(1)」

私立一般入試の合格発表。市村篤(内田祐介)と兼末健次郎(風間俊介)は難関の開栄に見事合格するが、森山慶貴(桑原朋宏)は青嵐に続いてまさかの不合格に。興奮した慶貴は母親とともに職員室へ押しかけ、内申書のせいだと文句をつけた挙句、レベルの低い高校に進学するくらいなら大検で十分だと言い放ち帰宅してしまう。金八(武田鉄矢)は不合格の続く生徒を自宅に集めて激励会を開催するが、そこに慶貴は現れない。また、山田邦平(五十畑迅人)は心臓の手術をするために大西さん(織本順吉)と同じ病院に入院することになる。

その晩、巡回中の大森巡査(鈴木正幸)はまたも怪物を発見。自転車で追跡するが、スーパーさくらのトラックにはねられそうになった拍子に二人は激突し互いに怪我を負ってしまう。病院へ搬送されることになった怪物の正体は、アメリカへ留学しているはずの健次郎の兄・雄一郎(須藤公一)であった。母親は息子の容態よりも留学の嘘が公になることの方が気掛かりで世間体を気にするばかり。健次郎は不安に押し潰されそうになりながら、家に一人残される。

やがて電話のベルが鳴り、受話器を取った健次郎は金八の声に救われた思いになる。窓の外に金八の姿が見えるのに気づくと一目散に駆け出し、門の前に立っていた金八の胸に飛び込み泣きじゃくる。明子(大川明子)から状況を聞いた金八は、健次郎がひた隠しにしていた事情を理解し、すぐに兼末家へと駆けつけたのだった。健次郎は雄一郎の部屋を見せ、悲惨な出来事の全てを告白。しかし家族を恨む言葉は一つもなく、逆に姉をスキー事故に遭わせたのは自分のせいだと責めるのだった。

両親が帰宅すると、金八は健次郎への哀れみと親への怒りが爆発。見栄などにこだわり15歳の少年を押し潰したことを容赦のない口調で激しく断罪する。そして「泥の中でもがく健気ないい子を、どうぞ愛してやってください」と涙ながらに訴えるのだった。

00年2月10日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 19.8%

DVD: 第6巻

小説本: 第17集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
○ いやいや凄いシーンを見たよ。健次郎が金八の電話を受ける場面なんだけどさ、あれは凄かった。
● 今回はいきなり語ってますね、熱い回だったから無理もないですが。健次郎はいろいろありましたけどようやく金八先生に素直になれました。よかった、と言っていいですね。
○ あのシーンについて、ちょっと説明していい?
● お兄ちゃんの事故の後ですね。どうぞどうぞ。
○ 両親が病院に行っちゃって家に一人残された健次郎は不安で堪らなくてね、親には絶対に出るなと言われていたけど、躊躇なく電話をとるわけ。兄貴の容態の連絡だと思ったのかもしれないし、誰かの救いが欲しかったのかもしれない。そしたら電話の向こうは金八で、健次郎は心細さを打ち明けたい気分になって。そのときちょうど救急車のサイレンが鳴ったじゃない。あれがたぶん、健次郎の家の外からも、そして受話器の向こうからも、同じように聞こえてきたんだよ。同じサイレンの音がするけどまさか、って、そのことに気づいた健次郎は、金八が家のすぐ側まで来てくれているんだと確信したんだね。はやる気持ちで窓の外を見たら金八の姿がやっぱりあったんで、もう嬉しくて心強くて、泣きたい気分になって、無我夢中で抱きつきに行ったと、そういうことなんだよ。見せ方がとてもドラマチックで素晴らしかった。あのシーンが今回のハイライトだなぁ。
● うわぁ…こうやって文字にまとめてみると、すごく丁寧に描かれた、印象的な場面だったことがよく分かりますね。僕も感動しちゃいました。
○ ちはるにようやく言えた「あんがとな」とか、金八が今までしてくれたことを思い出す回想シーンとか、心の変化をちょっとずつ重ねて見せられたたあとでのあの電話でしょ。すごく効いた。ズルイよなぁ。やられたなぁ。何回もリピートして見ちゃうよ。
● それで最後、健次郎の心を受け止めた金八先生の、熱い主張に繋がっていくわけなんですけども、まず兼末家が隠し続けていた事の真相が健次郎から語られて。
○ あのさ、今までずっと、引き篭もりの雄一郎兄貴の描き方がリアルじゃないような気がしてしょうがなかったのね。どうして夜中走っているのか、部屋では物音を立てずに息を潜めるものなんじゃないか、部屋やブリーフの汚さはやりすぎじゃないか、疑問だった。でもそれに納得いく説明がなされたんでスッキリしたよ。
● 内省的になっていったというよりは自暴自棄になっていった、もっと言えば家庭内暴力的な要素もあったようで、それが汚さや物音で表されていたわけですね。
○ そう。でも一方ではその状態から脱したい、このままじゃいけないという気持ちもあって、それが夜中に外に出て走るということだったと。
● そして金八先生の熱い訴え。「愛してやってください」って2回繰り返しですよ。泣きツボですね。
○ ホント、今回は凄い回だよ。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆金八が残念組に振る舞ったメニューにはちゃんと意味があった。コロッケ:揚げる(成績を上げる)、餅ピザ:粘る、オクラ:張り付く、剥かないサトイモ:滑らない、そして縁起ものの桜茶:サクラサク。
◆自分も落ちてるのに慶貴をわざわざ呼び出してまで励ます真規子はいい人だ。
◆健次郎、開栄に合格したその日に母親から平手打ちを浴びる…。
 他のシリーズでは
■内申書に文句
…内申というものは昔から受験の重要な部分で、金八シリーズでも幾度となくその内容について親の抗議を受けている。第1シリーズ19話では屋島みゆきの母が、第2シリーズ22話では池内先生の生徒の母が職員室に乗り込んできた。もはや風物詩か。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【音楽】 アメージング・グレイス (白鳥英美子)
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