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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ17話 「ガラスの少年(2)」

山田邦平(五十畑迅人)の心臓の手術は成功し、大西さん(織本順吉)もギプスが外されることになった。二つの朗報に沸く3Bだが、開栄不合格にショックを受ける森山慶貴(桑原朋宏)の姿はそこにない。慶貴が自室に立て篭もったとの報せを受け急行した金八(武田鉄矢)は、開栄以外の高校へは進学しないと頑なになる慶貴に三部制の定時制高校の存在を教え、人生には時に諦めることも必要だと説く。

一方、見事開栄に合格したはずの兼末健次郎(風間俊介)は、一転して入学辞退の憂き目に遭っていた。兄・雄一郎(須藤公一)の嘘を隠し通すことしか頭にない母・麻美(田島令子)が、入学手続をすっかり忘れてしまったのだ。世間体を気にし転居さえ考えているという麻美を金八は怒り呆れるが、それでもなお健次郎は母を思い「ごめんなさい」と代わりに謝るのだった。

主治医の安井院長(柴俊夫)は雄一郎について、病気のために留学から帰国したことにしてやりたいという。これ以上嘘に嘘を塗るつもりか、健次郎のためにも全てをはっきりさせるべきだ、と主張する金八だが、そうしなければ今度は麻美が壊れてしまう、と言われれば納得するしかない。麻美の精神もまた病気の一歩手前なのだ。

金八は、健次郎がクラスからハブかれてからも一緒にいることの多い深川明彦(亀梨和也)を心強く思うが、幸作によると金をゆすっているフシがあるという。「どうしてお金が必要なんだ」とカマをかけると明彦はあっさり白状。立場の逆転を利用して健次郎への恨みを晴らしたのと同時に、どこか遠くへ行きたくて金が必要だと思ったと打ち明ける。金八は明彦の抱える閉塞感を感じ取り、一人旅に出してくれるよう家の人に頼んでみると言うのだった。

00年2月17日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 21.1%

DVD: 第6巻

小説本: 第17集

 みどころ&勝手な解説
● 不幸な健次郎、今度は念願だった開栄の入学手続を忘れられるという事態に見舞われて、さらに両親が離婚の危機ですよ。やっと金八先生に秘密を打ち明けられたと思ったのに、状況は良くなるどころか、まだ悪化していきますか。
○ 開栄の手続を忘れられちゃうってのは何とも象徴的だよなぁ。今まで母親はそれを健次郎の目標にさせていたはずなのに、やっぱり兄貴以外は目に入ってないんだなってのがよく分かる。
● 父親も健次郎に対して「いいかげん疲れたよ」なんて平気で言っちゃってます。健次郎は可哀想ですね。
○ 前回のラストで金八つぁん、「健気ないい子を愛してやってください!」って、泣きながらあんなに必死に訴えていたんだけどねぇ。
● この親たちには届いていなかったのか…。
○ 安井院長が言っていた、「お兄さんよりも母親の方が病気の一歩手前で心配だ」という分析はなるほどと思ったね。嘘がバレるかも、ってんで、いきなり引越しの支度をしはじめるなんてやっぱり正気とは思えないから。
● しかし健次郎は、こんな仕打ちを受けてももまだ母親をかばうんですよね。
○ うん。入学手続の日については、開栄の封筒を見ていたシーンがあったので健次郎は気づいてたように思うんだけどね。
● それでも言い出せなかったというのは母に対する度を過ぎた気遣いでしょう。母親を病気手前と言うのなら、こっちの健次郎の方もゆゆしい問題だと思いますけど。
○ んー、これからは母が立ち直っていくと同時に、健次郎も母から独立しなくちゃいけないんだぞと、そういう風な話になっていくのかな。
● そうかもしれませんね。…さて、重々しい今回の中で笑ったのは、幸作がちはるちゃんとの新婚生活を妄想したシーン! 幸作ったら、なんだかニヤニヤしているなと思ったら、一緒にお風呂に入りたいだなんて…いけませんねぇ(笑)。
○ あはは。ちはるちゃんのことを考えると、まだ青嵐の一般入試が残ってるとはとても思えないほど明るくなるよね、幸作は。
● そうだ! 幸作はまだ進路が決まってないんじゃないですか。なんて大らかな…。
○ でもそれで救われてるよ、金八つぁんは。これで家もどんよりしてちゃやっていけないもんね。
● それには納得です。幸作に感謝ですね!
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆鈴木サオリは看護士志望。
◆今回の金八漢字講座は「諦」。ゴンベンに帝と書く。あきらめるというのは王様にしかできない決断である。またこの漢字はもともと「明らかにする」という意味ももっており、あきらめることで明らかにしよう、と金八は慶貴に言った。
◆雄一郎は過食症であり、糖尿病になる危険性もはらんでいる模様。
◆邦平と関恵美がいつのまにかいい感じに。
◆安井院長は麻美の兄と高校の同級生で、そのよしみで兼末家とも懇意にしている模様。
 他のシリーズでは
■ガリ勉と女子生徒
…慶貴が真規子の心配を色恋事に勘違いするシーンがあった。普段勉強漬けの生徒がふとしたきっかけで女子生徒に好意を持ってしまう例として印象深いのは、第4シリーズの日下信二と伊丸岡ルミの「心の母」。
■電車に
跨線橋から電車に身を投げようとしていた健次郎だが、第1シリーズ21話で東大受験に失敗した浅井雪乃の兄が同じように考え、こちらは実行に移してしまった。
■思春期心身症
…金八が安井病院で話していた「思春期心身症になった教え子」とは、第2シリーズの1話2話に登場する斉村高男のこと。
■どこか遠くへ
…明彦と同様に、閉塞感からどこか遠くへ行ってしまいたいと考えた生徒といえば、第1シリーズ19話の屋島みゆきと中尾友行が思い出される。この二人は持ち合わせが少なかったため、環状線の電車に乗って何時間もグルグルと回った末に桜中へと戻った。

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