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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ19話 「生きる事・死ぬ事」

受験が一段落し、3年B組の生徒たちは体験学習に参加することになった。商店街で実際に働いてみることで、社会の仕組みを学ぼうというのだ。ラーメン屋で実習を受ける兼末健次郎(風間俊介)は、そこへ客としてやって来た入院中の兄・雄一郎(須藤公一)と鉢合わせになる。夜になり病室を訪れた健次郎は、家族の心配を知りながら食餌療法を破った兄の勝手さを叱責するが、兄はその言葉に拒否反応を示し、二人は取っ組み合いのケンカをしてしまう。

その頃、別の病院に入院している大西さん(織本順吉)は、風邪をこじらせて高熱を出していた。一旦は持ち直した大西だったがやがて容態は急変、金八(武田鉄矢)らが駆けつけた時には既に息を引き取っていた。生を全うした大西の見送りをしっかりと子供たちの心に刻んでやりたい、と、大西の葬儀はケアセンターでとり行われる。大西の遺した手紙から感謝と励ましの気持ちを受け取った生徒らは、桜中学の校歌を歌って元校長を送り出すのだった。

大西を看取った山田邦平(五十畑迅人)は、涙をこらえながら大西の最期の様子を3Bに語りはじめる。「テレビや映画とは全然違った。まるで眠るように寝息がフッと止まって…。握っていた手がどんどん冷たくなっていくんだ」。その生々しい告白に、生徒たちの目からは涙が溢れる。「あたたかい血を身体いっぱいに流しているんだから、冷たい心を持ってはダメだ」それが大西さんからのメッセージだと邦平は言うのだった。

00年3月2日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 森一弘

視聴率: 20.9%

DVD: 第7巻

小説本: 第18集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 大西さんが亡くなってしまうというショッキングな回なんですが…。次回予告の映像があまりに衝撃的すぎますよ! 健次郎が母親を刺した? パトカーに追われてる? 何があったのか気になって、正直今回の内容が吹っ飛んじゃった感も…。
○ たしかに驚いたね。今回久しぶりに健次郎が攻撃的な口調になって、兄貴もまた暴力を振るいだしたシーンがあったでしょ、ラーメン屋に行ってるのがバレた後の病室で。あれが何かの予兆だったのかなぁ。
● いずれにしても最後に度肝を抜かれちゃいました。ちょっとあの予告が頭から離れませんね。
○ まぁでも本編の大西さんのエピソードもとても印象的で、考えさせられたよ。最後を看取った邦平がそのときの様子を生々しく再現していって、命のあたたかさ、そして「冷たい心を持ってはダメだ」ということを文字通り身をもって感じ取ったというね。
● 大西さんが夕方6時を朝6時と間違ったシーンでは、人生時計の話を思い出しました。人の一生を時計の24時間に例えるというアレです。大西さんは夜明けを迎えたことが役目を終えたことと重なったのかもしれないなぁ。
○ 間違いではあったんだけど、「6時」と聞いて迷いなく「夜明けか」と思ったのにはね、大西さんの心の曇りのなさというか、清々しさというか、思い残すことはないぞというような心持ちが、そこに表れていたのかな、なんて思うなぁ。これから暗くなろうとする時間帯にじゃなく、夜が明けようという時に亡くなっていったというところが、感覚的にもパァーッと明るいイメージができて、救いが見えた気がするよ。
● そういえば、お正月に好太と一悶着あった時は「生きた教材になれば本望だ」と言ってましたよね。皆が反省して、大事なことに気づいたんで、大西さんは最後まで桜中の教師であれた。満足だったのかもしれませんねぇ。安らかで、苦しまない最期でした。
○ 教室に戻ってから友子が言った「大西さんを忘れなければ、これからもずっと話ができる」という言葉にね、そのことが伝わったのがよく表れていたと思うよ。あの事件をけしかけた健次郎も「ごめんなさい」って心からの思いを最後に黒板に書いて…。
● 「ごめんなさい」の余韻はすごく残りますね…。健次郎ももうあの頃の悪い健次郎ではない。でもそれなのに来週は… あぁ〜、どうなってしまうんだ〜。
 

 デラの送辞(大西さん最後の手紙) 全文

デラ君。いや、君はもう自分の名前を漢字で書けるようになったんだから、立派な小野寺良輔だ。では改めて、小野寺君、桜中学御卒業おめでとう。

じっちゃんはね、風邪をひいてしまったので、ひょっとすると卒業式に出られないかも分からないので、この手紙を書いておきます。

君はほんとうによく頑張ったね。そのぶんセンターにいる私たちとも特別に仲良くなれて、私は本当に楽しかった。

はじめはね、私が校長をしていた時の桜中の生徒と比べ、挨拶ができない、行儀が悪い、言葉使いがなってない、と毎日腹を立てていたのが正直なところです。でも、仲良くなるにつれ、君たちのいいところが昔の中学生と何ら変わることがないのを知って、私はとても安心しました。どの子も優しかった。どの子も親切でした。どの子も年寄りを馬鹿にしなかった。好太君とはお互いにちょっと痛い思いをしたけれど、おかげでもっと仲良くなれました。

君もいよいよ高校生です。思い切り何でもやってごらん。私の学生時代は戦争があって、ただ真っ暗な将来があっただけ。学業なかばで銃を取り戦死していった友人が何人もいた。けれど今はそんな時代ではない。自分の希望に向かって大きく羽ばたいてください。将棋の勉強も大いにやったらいい。私も退屈な入院生活でしっかり将棋の勉強をしたから、今度は負けないよ。

君たちとの半年間、本当に楽しかった。人生の終わり近くに君たちと知り合って、たくさんのエネルギーをもらいました。本当にありがとう。

大西 豊

 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆金八、幸作の笑顔を「バリ島のおみやげみたい」と表現。
◆すっかり好奇心旺盛になった慶貴、ラーメン屋の実習でやる気満々。いちいちハキハキと大きい返事をしていたら修一に注意され、それを見ていたアスミと加奈恵が普通に笑っちゃってる。
◆ラーメン屋の実習に参加していたのは、慶貴、ヒノケイ、健次郎、祥夫、サオリ、アスミ、加奈恵。引率は金八先生。ちなみに花屋組は、有里子、由佳、ちはる、美歌子、国井先生。
◆金八、乙女に好意を寄せる修一の母親である満腹亭のおかみさんに「乙女ちゃんを連れてきて」といわれ、杉山家が一家をあげて乙女に照準を合わせていることに気づき、大いに焦る。
◆今回の金八漢字講座は「呪」。兄を憎く思うことがあると悩む健次郎に、金八はクチヘンに兄と書くこの文字を紹介し、「大きな口をあけてお兄さんの悪口を言っている。この漢字を作った人もお兄さんが憎くて堪らない弟だったんじゃないのかな」と言った。「もしお兄さんのことが憎くなくなったら素晴らしいことが起きる。そんな漢字があるんだよ」とも。
◆ラストで後ろの黒板に大西さんへのメッセージを書いた3B生徒たち。その中で、デラがついに自分の名前「小野寺良輔」を漢字で書けるようになっていた。「輔」の字も。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【音楽】 桜中学校歌
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