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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ22話 「特別授業は大混乱」

留置所を出た兼末健次郎(風間俊介)だが、家庭裁判所の審判が下るまでは学校に行くことができない。何人かの同級生から励ましのメールが送られてくる中、健次郎は金八(武田鉄矢)を伴って中野先生(ラサール石井)の家へ出向き、今までの愚行を心から謝罪する。健次郎と会うのは暴行事件以来となる中野もそれを素直に受け入れ、自分がしてきたことへの反省を口にする。お互いが自分を取り戻す様子を見届けた金八は、卒業式の前に中野に3年B組を返したいとその場で申し出る。

健次郎のいない桜中では、卒業を控えた三年生に特別授業が贈られていた。「手と目と声で勉強しよう」を合言葉に各教科の担当教諭が趣向を凝らした授業は、若い花子先生(小西美帆)の家庭科でハプニングがあったものの概ね好評。特に社会科の「環境とエネルギー」の講義では清掃工場の見学もあり、生徒たちはリサイクルの精神を知ることになる。金八はそれを踏まえ、皆の心の中にも「燃やす思い出」「燃やしてはいけない思い出」「捨ててはいけない思い出」があるはずだと説き、その言葉は生徒らの心に重く響く。

ついに中野が桜中にやってきた。担任に復帰することを一度は承諾した中野だったが、クラスをここまでまとめ上げた金八が3Bを送り出すべきだと考え直し、先日の金八の提案を辞退したいというのだ。一方、生徒たちは今が心のゴミをきれいにする最後のチャンスだと心を決め、中野に教室へ来てもらいたいと願い出る。暴行事件以来、久しぶりに顔を合わせた中野に対し、生徒一人一人が謝罪すると、中野も生徒らを傷つけたことを謝罪。互いに心から謝りあい、許しあうのだった。

00年3月23日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 鈴木早苗

視聴率: 20.0%

DVD: 第8巻

小説本: 第18集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
○ 「手と目と声で、勉強しよ〜う!」な二時間スペシャルでした。
● ははは。途中から特別授業が教育番組のノリで盛り上がっていくので番外編のような回になってしまうのかな、とも心配しましたけど、その終わりできっちり物語と繋がってくれました。
○ 中野先生と3Bとがついに直接謝り合い、許し合うというラストが待っていたね。中野先生は教え子からの暴力を一切責めなかったけど、それをプライドの問題として押し留めるんじゃなくて、逆に教え子に振るった暴力をしっかり反省するということに結びつけたのが、金八さんの言う通り立派だったね。最終的に双方に意義のある出来事になったわけだから。
● 初回で起きた事件がここでようやく終結ですね。長かったぁ〜。
○ 前回を見た感じだと、刑事さんが中野暴行事件の捜査に乗り出す可能性も考えられたから、もしかしたら生徒がまた何人か逮捕されかけたりっていう更なる山場があるのかとも思ったけど、さすがにそれはなかった(笑)。心から謝り合えたことでこの問題はケジメがついたということかな。
● 登校した中野先生の勇気! ただ、まだ健次郎は登校できてないんですよ。家裁の審判が下りるまでは。
○ 健次郎、冒頭でちはるや幸作からメールが来て、一人じゃないのが嬉しいって金八に電話する姿が嬉しかったな。これ、20話との対比でみるととても感慨深い。あの時は「ママ、僕も取ってよ」「お姉ちゃん、ママを助けて」「幸作、一緒にお兄ちゃんを探して」って、ホントに誰かに助けて欲しい気持ちで爆発寸前だったから。友達の存在を感じられるようになってよかったなぁ。涙が出るよ。
● そうですねぇ。でも、良い子になった健次郎がなんとなく幼稚化したように見えちゃうところもあって不安です。これは自信のなさが表れているということなんでしょうか。
○ あぁ、悪かった時の方が大人に見えたというのは確かに感じるね。なんでだろな。気を張っていたものが消えて、強さまで失っちゃったのか…まぁ、あの事件の後だしね。
● 幸作が料理を作ってやったシーンでも、どうも子どもっぽく見えたんですよ。身長差のせいかもしれませんけど。あの場面は健次郎が料理を食べる前に中野先生の家へ行っちゃうんで、幸作が可哀想なんです(笑)。
○ あはは本当だ、食べてない。でも制服買ったあと坂本家で健次郎も一緒に食事するシーンがあったからよかったじゃない。今まではだいたい一人だったり会話のない食事だったりしたわけだから。しかもメニューは奮発して鯛の尾頭付きだよ!
● 両家の食事を比較する画じゃなく、幸せそうな坂本家と一緒の画に入れたということで、健次郎の未来は明るそう…なんて思っちゃうのはちょっと短絡的な楽観ですかね(笑)。あと今回気になったのは、細かいことになるんですが、ジェット機の音がやたら大きくなかったですか? 麻美さんのシーンで。
○ あれは心のざわめきのようなものを表現したんだろうね。健次郎が素直になって、父親は家庭を省みるようになって、兄も自立を考えだして、中野先生は3Bに謝って、3Bも中野先生に謝って…って、みんなの意識が変わった中、まだ葛藤しているのはジェット機の音がガンガン鳴ってた麻美だけ。あれだけの溺愛ぶりだったわけだから、それを変えろと言われてもやっぱり苦しいよねぇ。
● そうですね。麻美さんの問題と、あとは健次郎の家裁の審判が卒業式までに間に合うかという問題。この二つが次回に委ねられると。
○ 次回はもう最終回だよ。あっという間だったなぁ…。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆片手でも簡単に卵を割る幸作、両手でも割れない健次郎。
◆家庭科の特別授業中、イタズラしてアダルト画像を表示させてしまったのは、ヒルマン、ヒノケイ、幹洋の悪ガキ三人組。
◆友子の声が枯れ気味。風邪でもひいたのだろうか。
◆北先生は左利きなのね。
 他のシリーズでは
■地面の下に
…特別授業の準備に忙しい職員室で、金八が「地面の下で眠っている人たちからも、たくさん学ぶことがあると思うんです」と言っているシーンがある。第7シリーズ13話では、妻・里美を例に挙げて、亡くなった人が今なお心の中で生き続けていることに言及している。
■特別授業
…卒業前の生徒たちに贈る特別授業は第4シリーズ21話でも企画された。内容は、野村教頭が教職を選んだ時の体験談、乾先生の「ゼロ」について、国井先生の「水」について、北先生のインドカレーの授業。
■ケナフ
…遠藤先生の理科の特別授業はケナフを使った紙すき実習だが、第6シリーズ6話でもケナフを刈り取る実習授業が行われた。このときは作業中にチューが誤って指を切ってしまい、血のついたナタを見た成迫政則が取り乱すという出来事があった。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ 【書籍】 あなた自身の社会 (アーネ・リンドクウィスト、ヤン・ウェステル著、川上邦夫訳)
◇ 【教科書】 国語3 (光村図書出版) ※新川和江「わたしを束ねないで」収録
◇ 【資料】 ジュ・パンス (高文研)
※ この他、金八と慶貴の母親が「一寸法師」のうたを歌うシーンもあり。
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