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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 15話 「お腹の子供が動く」

都立推薦入試の合格発表が行われた。3Bでは不合格の生徒が続出。開栄を目指す風見陽子(中分舞)は滑り止めの青嵐を落ち、内申書に手抜かりがあったのではと金八(武田鉄矢)に抗議して早退していく。二人で緑山を受験したカッシー(佐々木和徳)と本田奈津美(谷口響子)のカップルは合格と不合格に分かれてしまい、別れ話に発展する。

その放課後、ノブタ(辻本祐樹)は家を出て行った母・町代(金久美子)が恋しくなり、年賀状の住所を頼りに町代を探し当てる。ひどく歓迎され、小さなアパートながら自分の居場所を見つけたように寛ぐノブタ。しかし、洗面所で髭剃りをみつけ男性の影を感じ取ると打ちひしがれた気分になる。

一方、鶴本直(上戸彩)は自分に光をくれたシゲルにもう一度会いたいとメンタル・クリニックへ向かうが、足取りを掴めない。直の家を訪ねた金八は母・成美(りりィ)から直のオランダ行きの話を聞くと、この日本で生きていけるよう協力したいと進言。ちょうど帰宅した直に「美紀がクラスで孤立したら力になって欲しい」と頼む。たびたび衝突していた木村美紀(森田このみ)をなぜ、と表情を固くする直だったが、「頼りになるのは直しかいなくて」という金八の言葉に気持ちが揺れる。

翌朝、父親が一般病棟へ移ったのを機に、美紀が再び登校してくる。3Bは久しぶりに30人の生徒が顔を揃えるが、笠井美由紀(高松いく)が突然「お腹の中に赤ちゃんがいる」と発言したことで学校中が大騒ぎに。陰険な言葉を投げつけるミッチー(川嶋義一)を見かねた美紀が注意するも、既に力関係は逆転しており反対に罵声を浴びてしまう。するとそこに直が立ちはだかり、「汚い奴は相手にするな」と言って美紀に助け舟を出す。

やがて美由紀は想像妊娠と判明。親や金八は毎日が忙しいため話を聞いてくれず、唯一自分を褒めてくれた小林先生(黒川恭佑)にも避けられるようになると、その寂しさが幻の赤ちゃんを生み出したのだという。金八は事件にならずホッとした反面、悩みを抱える生徒を見過ごしていた責任を感じるのだった。

02年1月31日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 15.3%

DVD: 第6巻

小説本: 第21集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 今回もいろいろ盛りだくさんの回でしたね。全体的にみると、今後に向けた「フリ」が多かったという印象です。
○ そうだね。まずは都立推薦の結果が出て、美保、賢、平八郎といったデキる生徒たちが軒並み不合格。3Bはちょっとビックリの大苦戦だよ。
● 中でも特に、陽子が「ガリ勉スランプ」に陥った様子です。第1シリーズの岡村一男にはじまって、前作でも森山慶貴が同様に滑り止めの青嵐を落ちたり、結構このドラマ恒例のイベントですよね。陽子もこれは一般入試の日までに何事か起りますね。
○ 早退した陽子を主任が追いかけていったじゃない! 意外な組み合わせだよねぇ?
● 土手で「俺らの本番はこれからだ」と励ました主任、なんだか男前に見えるんですよ。ガリ勉の生徒同士に、予想だにしなかった恋の展開?
○ かと思えば、カッシーと奈津美という3B公認カップルの方には不穏な空気が。カッシーが緑山を合格、奈津美は不合格になって。
● お揃いのマフラーを外しちゃって、こちらは逆に危機ですよね。受験に絡んだ2つの恋の行方、どうなっていくんでしょう?
○ さて、ノブタはお母さんの苗字が変わってたね。旧姓に戻ったのかな。
● 町代さんはかなり雑然とした部屋に住んでました。ノブタには出前を振舞ってましたし、料理とか一切できないようなんですけど、ノブタはそれでも母親がいいんですねぇ。
○ 男がいるんだと気づいて、ここにも俺の居場所はないのかとガッカリするノブタなんだけれど、合鍵を捨てようとしても捨てられないという気持ちがね、うーん。辛いよね。もし川に投げちゃえばそれで終わりだったんだろうけど、そうできなかったということで、ここも次に続くと。
● 直がメンタル・クリニックに出掛けたシーンでは、性同一性障害の説明を丁寧にしていました。シゲルは見つかりませんでしたね。
○ 見つからなかったけれど、シゲルはもう十分直にいい影響を与えたと思うなぁ。直はシゲルの出現で本当に助けられて、協力してくれる人のありがたみを痛感した。だから金八先生に「頼れるのは直しかいない」と言われると、反目していた美紀にも一役買おうと思うんだよね。
● もともと直美にFAXを送ってやっていたということがありますから、優しさがなかったわけではないと思うんですが。
○ でも今まではそれを陰でコッソリと活動していたんだよね。今回はクラスメイトの前で堂々と美紀の肩を持った。はじめて皆の前で人に協力してみせた。これはかなりの進歩だと思わない?
● なるほど!
○ まだ孤高を気取っている風はあるけれど、直や美紀は3Bの仲間たちの輪の中に入っていけそうな気配が見えてきた。ただその一方で、かつて美紀がボスだった意地悪グループをミッチーが率いるようになって、強烈な対抗姿勢を燃やしだしている。ここは今後も目が離せないね。
● …と、ここまでは今後に繋がりそうなポイントを見てきたわけですが、そんな中で一つ、これでおそらく終結であろうというビッグ・サプライズがありました。美由紀の件です。
○ いやぁ、あれはビックリしたね。
● 15歳の母、再来か! なんてちょっと思ってしまいましたよ。でもすぐに想像妊娠だと分かって。
○ 何話も前から謎めかしながらずっと引っ張ってきた割には、あっさりと扱われた感じがしないではないけれど…。しかしストーキングや想像妊娠にあんな不幸な理由があったというのはショックだったなぁ。
● 思い返せば、今回は転校生が2人もやってきたり、幸作の大病もあったりで、金八先生が全ての生徒をカバーするのは難しい状況だったんです。それによくよく考えると、美由紀が他の生徒と楽しそうにしているシーンも確かになかったような…。
○ 誰からも相手にされず、先生にも気付いてもらえず、孤独だった美由紀。クラスメイトからトラブルメーカー扱いされて金八を心配させた直よりも、ある意味ではずっと不幸だったのかもしれないなぁ…。
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ 港南高校の推薦入試が不合格となった雪絵ちゃん、「せっかくダイエットに成功したのに落としやがって」と、何の因果関係もない部分で恨み節。
◆ ノブタの母・町代は柳原に住み、千住の焼き鳥屋で働き口を見つけた模様。家を出て行ったのに意外と近場だ。
◆ 町代の家でノブタは店屋物の親子丼を振舞われる。「親子」丼。
◆ 淫行教師の疑いが晴れた小林先生、美由紀が高校を卒業したらデートをしよう、と言って美由紀を慰める。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 Can You Celebrate? (安室奈美恵)
◇ 【音楽】 Je n'aime pas moi (城之内ミサ)
◇ 【書籍】 性同一性障害—性転換の朝 (吉永みち子著、集英社)
◇ 【書籍】 ある性転換者の記録 (虎井まさ衛、宇佐美恵子著、青弓社)
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