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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 16話 「人生で一番輝く日」

3年B組は受験一色、もうじき私立一般入試だ。とはいえ受験をしない生徒も少数ながらいる。総菜屋を継ぐ意志を固めた今井儀(斉藤祥太)は金八(武田鉄矢)も交えた話し合いで両親の許可を得、ノブタ(辻本祐樹)は再会した母親のもとを時折訪ねるようになっていた。また、オランダの高校へ進もうとしている鶴本直(上戸彩)はノブタに外国行きを考え直せと言われ、自分を友達として見てくれていたことに気づく。

入試当日。生徒たちはそれぞれの高校で受験に挑み、3Bへと戻ってくる。ICU高校を受けたものの手応えが悪かった赤嶺繭子(佐藤めぐみ)は、倍率の高い晴海総合を残すのみとなりすっかり余裕をなくし、「哲ちゃん(太田佑一)のことまで面倒みきれない」と切羽詰った表情で成迫政則(東新良和)に切り出す。政則が「僕に任せて」と優しく受け止めると、繭子は政則の胸で泣く。

迎えた合格発表。入学手続きの書類を持った生徒が次々と帰ってくる中、繭子やチュー(中尾明慶)、そして長谷川賢(加藤成亮)は不合格となってしまう。桜中から名門・開栄の合格者が一人も出ていないと千田校長(木場克己)が苛立つ頃、綺麗にメイクをほどこし別人のようになった風見陽子(中分舞)が現れ、開栄合格を報告。自分をクラスの嫌われ者だと思い込んでいた陽子は、3Bから思いがけない祝福を受け、大きな喜びを感じる。

金八は、くじけずに志望校への合格を勝ち取った陽子を褒め、同時に「いま晴れやかな顔をできない者も、陽子と同じように怠けず頑張ってきた。この事実は決して無駄にならない」と生徒たちに語る。合格組はすがすがしい気分で、不合格組も気持ちを新たに、荒川の土手を下校していくのだった。

02年2月7日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 三城真一

視聴率: 16.5%

DVD: 第7巻

小説本: 第21集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 私立一般入試でドラマが起きましたね。今回の主役は風見陽子でした。そしてこれまでどおり、ノブタや儀や直、政則といった生徒の進行も少しずつ挟んでいくような流れで。
○ 入試の前に進路が決まったのが今井儀。評判の総菜屋になるために修行に出たいという決意を親に伝えて、高校に行かなくていい了解を得たと。
● これでまた一人進路決定ですね。儀は火事の一件以来本当に逞しく、しっかり者になったと思います。
○ その一件で儀と親友になったノブタは、母親の家の合鍵を捨て切れず、やっぱり会いたくなって母の勤務先のお店を覗きに行った。男と鉢合わせになる不安もあったからお店の方に行ったのかな。千住の焼き鳥屋というからもしかしたら小料理屋「ぼたん」かと思ったんだけど。
● どこかで聞いたような… あぁ! 第3シリーズで山田裕子が世話になっていたお店ですね。
○ そうそう。でも違った(笑)。
● 面倒見がいいあのおかみさんが出てきたら面白かったんですけどね。そういう方向へは広がらないみたいです。
○ あくまでもノブタとお母さん二人だけの小さなユートピアという感じだもんね。「これで靴でも買いな」と言って2000円。生活はそう楽ではなさそうだ。
● その2000円を持って安売りの靴を眺めていたところ、直が通り掛かるんですよ。外国行きを止められると、直は嬉しそうな様子なんです。
○ 自分のことを気に掛けてくれる人がいたのか、と意外に思ったんだろうね。いつも孤独を抱えている直にとって、ノブタの「ダチだと思ってたのによ」という言葉はすごく意味があると思うよ。
● …と、中心生徒の状況報告が一通りあった後は、いよいよ今回のメイン、私立一般入試にまつわるあれこれです。まず繭子が勉強の追い込みに必死になるあまり哲郎を少し邪険にするようなところがあって。結果受験も失敗したことで、どうしたらいいか分からなってしまうという状況に。
○ そこに政則が「僕に任せて」と力強く宣言。これにはビックリしたなぁ。政則は池内先生や金八先生に温かく守られているという部分はあるけれど、あとは自分の力で徐々に立ち直っていって、今回こういう頼りがいのあるセリフを口にできるほどに成長したんだよね。
● そうなんです。哲郎や繭子と仲良くなったり、儀やノブタと友情関係を築けたりできたのは、誰かに道を作ってもらってそこに乗っかったというものではないんですよ。自分の力で自信をつけてきた。大したもんです。
○ それから、繭子の他に賢も不合格になってしまったね。賢はまさかの連敗だよ。
● 賢と平八郎が二人で勉強会をしていて、そこにあかねが差し入れを持って激励にやってくる、なんてシーンがあったじゃないですか。健次郎−ちはる−幸作の三角関係にもちょっと似ていて、微笑ましくて順調そうにも思えたんですが。
○ 本当に賢がこうなるのは予想外だったな。前回が終わった時点では、てっきり風見陽子が恒例の「ガリ勉スランプ」になる生徒かと思ったんだけれど、賢だったとはなぁ…。賢にはyesterdayとの絡みもあるし、どうなっていくんだろうね。
● そして今回のハイライトが、風見陽子の開栄合格! 滑り止めの青嵐は落ちたんですが、それを見事に乗り越えました。ばっちりメイクして、おメメもパッチリ。すごく奇麗に変身してましたよね。陽子にも人並みにオシャレとか遊びに興味があったんだろうけど、その気持ちを抑えて目標を達成した、そういうことでしょう。
○ 陽子は自分の気持ちを素直に語っていたけれど、自分のことを嫌われ者だと思い込んでいたから、3Bの皆からこんなに祝福されるなんて思いもしなかったと言っていたじゃない。これってさっきの、ノブタにダチだと言われて嬉しくなった直と似てるよね。
● あっ、そうですね。
○ 素直になってみないと分からないこと、というのが、世の中にはたくさんあるということだよね。自分が気づかないだけで、仲間っていうものはすぐ近くにいるのかもしれない。直もそれを感じてくれたかな。
● なるほど…。最後の土手のシーンでは、未だ合格なし組のチューや繭子や賢が率先して元気よく叫んでいて、だいぶ前向きな方向へ進んでいきそうな終わり方でした。30人全員が笑顔になる日はそう遠くないと期待しましょう!
○ そうだね。でも、いかにも嵐の前の静けさという気も…。
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ ノブタの母親が働いているのは、千住の「永見」という焼き鳥屋さん。
◆ ノブタにオランダ行きを止められた直、「わてにも事情がおましてな」となぜかノブタ口調の関西弁で返答。
◆ 笠井美由紀がどこかよそよそしくなり、小林先生は逆に気になる様子。
◆ 今回金八がとりあげた四字熟語は… 順風満帆、心機一転、初志貫徹、(馬耳東風)、臍下丹田。
◆ あかねが賢と平八郎に持っていった差し入れはアップルパイ。幸運が訪れるようにとフェーブを入れていた。
◆ すっかり元気になった幸作は、健次郎やちはる、正子ちゃんと病院の屋上へ出て、久しぶりの外の空気をおいしそうに吸う。屋外の開放感と、受験生たちの圧迫された感じが対照的。健次郎はすっかりクサイ台詞が似合うようになった。
◆ 青葉高校の入試にて、チューのおっちょこちょいがきっかけでスガッチが他校の生徒とケンカ寸前。青葉の入試では毎シリーズ何かしらの問題が起きる気がする。
◆ かあさんこと馬場恭子の話では、以前金八が教室で語った(ハンガーマップを使った7話)「衣服足りて礼節を知る」が入試問題で出たらしい。
◆ 木村美紀も受験した模様。
◆ 母親のところに泊まったノブタは、家には内緒にしている模様。妙子さんに気を使ってのことか。
◆ 総菜屋になることを決めた儀だが、現在の料理の実力はキャベツの千切りさえまともにできないレベル。
◆ 査定が気になる千田校長は、桜中から開栄合格者を出すことができて大喜び。心なしか声も高い。
◆ 志望校へ合格を果たし3Bの輪に入ることができた陽子は、まだ第一志望の受験が残っている主任に協力を申し出る。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 君は薔薇より美しい (布施明)
◇ 【書籍】 個人旅行27 オランダ・ベルギー ルクセンブルク (昭文社)
◇ 【書籍】 エクスプレス オランダ語 (桜井隆著、白水社)
◇ 【書籍】 トランスジェンダーの時代—性同一性障害の現在 (虎井まさ衛著、十月舎)
◇ 【書籍】 トランスジェンダーの仲間たち (虎井まさ衛著、青弓社)
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