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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 17話 「出会いサイトの罠」

私立入試の結果が出揃い、あとは都立一般入試を残すのみとなった。木村美紀(森田このみ)は働けない父を思い、費用のかかる私立潮田高校の手続きを辞退し、都立緑山の受験を頑張りたいと決意。金八(武田鉄矢)はそんな美紀を見て「青年になる準備をしているんだなぁ」と目を細める。また、笠井美由紀(高松いく)は母親を伴って改めて想像妊娠騒動の謝罪をし、小林先生(黒川恭佑)に「さようなら」と書いた手紙をそっと渡すのだった。

カッシー(佐々木和徳)と同じ高校に合格できず破局した本田奈津美(谷口響子)は、長谷川奈美(中村友美)の誘いに乗って出会い系サイトにアクセスする。そこで知り合った男子高校生と会うことになったが、現れたのは斉田と名乗る中年男(野添義弘)。しかし二人は結局斉田と食事をともにし、翌朝の教室でそのことを自慢げに報告。はやし立てる生徒、心配する生徒、受験勉強の妨げだと迷惑がる生徒で3Bは騒然となる。

後日、一人だけ呼び出された奈津美は、豹変した斉田に連れ去られてしまう。桜中は職員総出で救助に動き、車を目撃していたノブタ(辻本祐樹)の証言が決め手となって、奈津美はパトカーに無事保護される。心配したカッシーが警察署まで迎えに来て二人は和解し、奈津美と奈美は「二度とバカな真似はしない」と反省。金八は3Bに顔が見えない出会い系サイトの危険性を訴え、「自分を隠すな、それが自分を大切にするということだ」と言うのだった。

学校から帰宅したノブタは、エリカ(中村侑希子)が階段から転落しているのを発見する。ノブタに受け入れられずナーバスになった妙子(ひがし由貴)が虐待を続けた結果の惨事だった。ノブタがぐったりしたエリカを抱きながら夢中で助けを求めると、その声を鶴本直(上戸彩)が聞きつけ、救急車を呼ぶなど全力で奔走する。

エリカは幸いにも脳震盪で済んだが、打ちどころが悪ければ大変なことになっていたと医師は言う。ノブタは「俺が一番に悪い」と責任を感じながらも、エリカに八つ当たりをした妙子になおも厳しい言葉を投げつける。するとそれまで黙って見守っていた直の右手がいきなりノブタの頬に飛ぶ。「俺もお前も、いるだけで人が気を使う。だからあの家を出ろよ」とそっけなく言う直に、ノブタは「俺たちダチだよな」と確かめるように尋ねるのだった。

02年2月14日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 加藤新

視聴率: 15.9%

DVD: 第7巻

小説本: 第21集

 みどころ談義
● このところカッシーとうまくいっていなかった奈津美が、出会い系サイトで知り合った中年男に騙されてあわや誘拐…というお話です。
○ 出会い系サイトへのちょっとした好奇心が事件に繋がってしまうというのは、最近のニュースでもよくある話題だね。
● だから「出会い系」という言葉を聞いて職員室もすぐに危機感を強めたんだと思います。小田切先生なんてバイク飛ばして探しに行きましたし、北先生も珍しく協力的で。
○ 北先生が一生懸命になっていたのは、第5シリーズ9話で援交疑惑を招いたことがあったから、そのときのことを思い出したりもしていたのかな、なんて思いながら見てた。
● あぁー、そんなことありましたねぇ。あのとき北先生は親として必死に娘を捜し歩いていましたが、今回は元カレ、カッシーが奈津美をすごく心配していたようです。最後に警察署の前で待っていてくれただけじゃなく、奈津美の母親とともにいち早く職員室に駆けつけてましたから。
○ 奈津美はカッシーへのちょっとした当てつけのつもりだったんだろうけど、パトカーが出動する事態になってからはもうずっと表情をなくして呆然となっちゃって…。
● ちょっと浅はかでしたね。奈津美の寂しい気持ちも分かるんですが、それにしても「高校生のはずがオジサンだった」という時点で怪しんでもらいたかったです。
○ そうだなぁ。奈津美や奈美の側も自分たちは高校生だと嘘をついていたから、相手の嘘に敏感になることができなかったのかな。そういう意味では、相手の顔が見えないことの恐ろしさを説いた金八先生は流石だよ。
● なるほど。この「自分を隠してはいけない」というお説教が、yesterdayでもある直の胸にも強く響いたんですね。
○ まぁ、金八先生は直がメールで賢と親しくなろうとしていることには気付いていないはずなんだけどね。
● でも結果的に直は何か思い当たるような表情になって。このことが後に、エリカを抱いてパニックに陥るノブタを見つけたとき、変装をといてサングラスもバッと投げ捨てて「顔を見せ」て、思い切って協力してやれたということに繋がった気がします。
○ 妙子さんによるエリカ虐待事件だね。信太と妙子さんの関係はギクシャクしたまま負のスパイラルといった様相で、ついに怪我人を出すところまでいってしまった。
● そういえばノブタは奈津美の事件の解決にも一役買ってましたね。さかんに「わ」ナンバーのベンツを怪しんでいたのはなぜでしょう?
○ 「わ」ナンバーはレンタカーの証しなんだよ。だからノブタはいかにも怪しいと見抜けたんだね。意外に知識を持っている子なのかもしれない(笑)。
● そうだったんですか、スッキリしました(笑)。話を妙子さんとのことに戻しますと、家庭が不和になったことやエリカを可哀想な目に遭わせてしまったことを、ノブタは一方では自分のせいだと思いながらも、もう一方には妙子さんに責任をなすりつける面がありますよね。やっぱりちょっと子どもなんでしょうか。
○ うーん。子どもではあるんだけれど、直や儀に接するときは明るいノブタが妙子さんだけにはこうもキツく当たるというのは、それだけ特別な悩みだということじゃないかな。気の毒でもあるよね。ただ、だからってこの険悪な関係を続けていっていいはずもない。
● そうですよね。現にこうして犠牲者…というか、そのために何の罪もないエリカちゃんが虐待されるという状況が出てきているわけですし。
○ だから、今回直がずっと付き添ってくれて一発バチンと引っ叩いてやったというのは大きいんじゃないかな。美紀に直美が寄り添ってやったように、悩みを吹っ切って立ち直るには友達の支えが必要だから。
● なるほど。少々人を叩きすぎる直ですが、この場面の平手打ちはある意味正解ですね。ノブタには「隠し事があるなら親友じゃない」と言ってくれた儀もいますし、こういう「ダチ」の力を借りて、大人になっていってほしいと思います。
○ さて、最後にその他の生徒の様子もみていこうかな。美紀は私立の潮田高校に受かったようなんだけれど、父親が働けないことを考えて、辞退して都立の緑山に進みたいと自分で決意。この「自分で」というのがいいよね。友達に支えてもらったら、生き方を決めるのは自分なんだと。
● それから、美由紀も母親を伴ってこの前の想像妊娠事件をお詫びにやって来ました。小林先生に「死んでもいい」ではなくなった手紙を送って、この騒動は終結ですね。なんと言うかこう、青春の一つのタームが終わっていく甘酸っぱい感じが切なかったです。
○ 美由紀は「さようなら」って書いていたけれど、あと一ヶ月もすれば卒業式なんだよなぁ。
● そして次回予告は相当激しいことになっていました。いよいよ最後の大ヤマが訪れそうです!
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ 進路決定組は、ケナフを原料とする卒業証書作りに精を出す。遠藤先生が指導役を買って出る。その遠藤先生は、北先生や金八先生に「遠藤さん」とこれ見よがしに呼ばれ、憤慨。
◆ 教室の自習シーンでは、前回開栄に合格した陽子がまだ進路の決まっていないチューに勉強を教えてやっている。すっかり前向きに積極的になった美紀も、陽子に分からない問題を聞きに行く。
◆ 勉強の追い込みに必死な繭子をかばうあまり、哲郎がしゃべった!

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