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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第6シリーズ 18話 「直と政則 I」

今日は都立一般入試日。合格発表はまだ先だが、試験を終えて桜中に戻ってくる生徒たちは一様にホッとした表情だ。そんな中、美容院へ立ち寄ったミッチー(川嶋義一)とシンバ(住吉玲奈)は、偶然手にした週刊誌に「成迫」という教師が教え子を殺害したという記事を発見。格好のゴシップネタを手に教室に戻り、さっそく成迫政則(東新良和)をからかうと、その記事を見た政則は血相を変えて飛び出していく。

被害者を貶め加害者を擁護する事実無根の内容を目の当たりにした政則は怒りに震え、必死に慰める山田哲郎(太田佑一)を振り切り「行くところがある」と言って姿を消す。金八(武田鉄矢)は政則の抱える大きな秘密を3Bに隠し通そうとするが、長谷川賢(加藤成亮)に「本当のことが分からなければ上っ面だけの3Bの気がする」と言われ動揺。鶴本直(上戸彩)にも「これ以上聞けば先生は嘘をつく」と鋭く見抜かれ、やりきれなさを痛感する。

金八や親友たちが政則を探し回っている頃、政則は週刊誌の編集部に単身乗り込んでいた。出鱈目な記事に抗議し、都合のいい証言をしたS岡なる加害者に会わせて欲しいと詰め寄ると、その様子をシャッターに収められてしまう。

編集部を出た政則は表で張り込みを続け、ついに記事中の写真の男・安岡(三戸部貴彦)がやってくるのを発見する。安岡は逃走を図るが追い詰められると逆上。すると政則は自ら安岡の構えるナイフ目掛けて突進していく。刃は身体を外れたが、自分の命と引き換えに安岡をもう一度刑務所送りにしようとしたのだ。駆けつけた金八は軽々しく命を捨てようとした政則の頬を張り、「お前は一人じゃない。必ず守ってやるから信じてくれ」と言って肩を強く抱くのだった。

数日後、週刊誌にまたも捏造記事が掲載される。しかも今度は政則の顔写真入りだ。職員室では我関せずの千田校長(木場勝己)を除く諸先生が政則を心配するが、その頃3Bでは早くもミッチーが鬼の首をとったように狂喜していた。他の生徒が注意すればするほどつけ上がるミッチーに直の拳が炸裂、二人はそのまま凄まじい大喧嘩になる。椅子を振りかざしたミッチーが直を殴りつけた瞬間、直をかばった木村美紀(森田このみ)の頭部から鮮血が。3Bは悲鳴に包まれる。

02年2月21日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 16.6%

DVD: 第7巻

小説本: 第21集

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● オープニングで懐かしい顔が出てきましたね! 第1シリーズの「顔はやばいよ、ボディやんな」山田麗子と、第4シリーズの蓑田紀美です。でも本編は非常に重い内容でした…。
○ このところ鳴りを潜めていた政則の大きな秘密が、受験が終わったこのタイミングで満を持して登場というところかな。タンポポ演出も再び。
● 政則は家族の過去が事実上バレてしまって。哲ちゃんが寄り添うんですがそれが全く効かずに突き放されたあたり、やっぱり政則にとって重く重くのしかかる問題なんだと再認識しました。
○ この問題が3Bにどういう形で発覚するのかが今シリーズの焦点の一つだったと思うんだけれど、週刊誌の記事をクラスメイトが発見するというものだった。政則は加害者だけじゃなく、センセーショナルな偏向報道というもう一つの敵にも立ち向かっていかなければならないんだなぁ。
● そうですね。父や姉が実名報道されているのに対して、安岡はS岡と名前を伏せられている、というところからはじまって、記事の内容は嘘のオンパレード。被害者感情というか、政則はもう目つきが変わっていましたもんね。
○ 政則の眼光は本当に鋭くて、ドキッとさせられたよ。それだけ憎悪に満ちているということだよね。表現の自由は憲法で保障されているけれど、発言や記事には必ず責任が発生するということも忘れちゃいけない。…なんだか社会問題を色濃く反映しているみたい。
● そこで政則は編集部に抗議に行くわけなんですが、格好の餌となるばかりで。
○ 政則は、いい加減な証言をした安岡を許すことができないという一心でここまでやって来たと思うんだよ。でも雑誌社の対応を見て、悪いのは安岡一人じゃなく、雑誌の側も正確な報道をする気などさらさらないんだと初めて知る。これは余程ショックだったと思うよ。
● なるほど…。それで絶望した政則は、安岡に直接仇討ちする決意をしたんだ。腕力ではとても敵わないから、殺されるという形での仇討ちを…。
○ 安岡を追い詰めて父の刺殺シーンと同じような状況になったのには、ヤラレたなぁ。殺人犯とその家族がその後どんな目に遭うのかよく分かる政則だから、それと同じ苦しみを安岡にも、と思ったんだろうね。そこに金八先生が駆けつけるものの、二人のぶつかり合いは終わった後で。
● 金八先生は少しずつ遅れをとっているような気がします。政則をナイフに突進する前に止めることができなかったし、3Bで大乱闘が発生したのも政則のことをはっきりと説明しなかったからでしょう?
○ うーん。「待ち」の姿勢をとっている以上仕方ない面もあると思うけど…。しかしこうなってしまってはもう3Bにも黙り通せない。秘密を話さなければいけない展開になってきたね。
● 本当のことを知って3Bは果たしてどんな対応を取るのか、非常に気になります!
○ それから「最後まで責任を取っていただきますよ」と冷たく言う校長と金八の対立という構図もはっきりと出てきた。桜中全体の行方も俄然興味深くなってきたよ。
● そうですね。政則だけじゃなく、金八先生は千田校長と敵対、直はミッチーと敵対…。勝負だらけの終盤戦になりそうです。
 その他の小ネタ/周辺状況
◆ 麗子と紀美は同じ美容院で働いている模様。麗子が経営している?
◆ 事件についてあることないことでっち上げた三流雑誌の名前は「週刊ジャーナル」。
◆ 幸作の病室で金八たちが「腕のいい弁護士がいないかなぁ」と相談するシーンがあった。ちなみに長谷川賢の父親は弁護士。
◆ 今回はエンドロールなし。そのぶんオープニングに回されて、主題歌は若干長めのバージョンが使われた。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【音楽】 Mitt Hjerte Alltid Vanker —さまよえる心 (SISSEL)
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