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◆ 第6シリーズ 20話 「直と政則 III」
三月になり、生徒たちの進路はほぼ決定。真相を告白し出版社を名誉毀損で訴えることになった成迫政則(東新良和)は、仲間の励ましを受け都立の二次試験に挑む。一方鶴本直(上戸彩)は乱闘事件以来、学校に出てくる気配がない。金八(武田鉄矢)は性同一性障害について調べるうち、「セクシャルマイノリティ教職員ネットワーク」に旧知の三上先生(樫山文枝)が参加していることを知る。定時制高校の養護教諭である三上先生は、金八に快く協力を約束する。
3Bは授業参観でディベートを行うことになり、テーマを「報道と人権」に決める。国語の授業では発声練習も兼ねて、「声に出して読みたい日本語」という本の朗読に力を入れる。直もディベートに参加して欲しいと願う木村美紀(森田このみ)と江藤直美(鈴田林沙)はその本を直のマンションに届けるが、母親は既に金八から受け取ったという。部屋に篭ったまま顔を見せない直に二人は落胆するが、そこに直が意思を込めて本を朗読する声が聞こえてくるのだった。
授業参観当日、保護者や地域の人々が見守る中ディベートがスタートする。時に脱線し、時に感情的になりながらも3Bらしい活発な意見交換がなされ、報道被害への理解が深まる有意義なものとなると、参観していた和田教育長(長谷川哲夫)も感動した様子だ。政則も「真実を話してよかった」と言い、3Bは拍手に包まれる。だが授業が終わろうとしたとき、美紀が立ち上がり「ここには29人しかいません」と訴える。直はこのディベートに最後まで姿を見せなかったのだ。
放課後、金八は直のマンションを訪ね、三上先生がいるひかり高校定時制の三次試験を受けないかと持ちかける。孤独に苛まれ、オランダへ行くことしか考えていなかった直だが、三上先生がセクシャルマイノリティの問題に取り組んでいることを知ると表情が変わる。「直を一人ぼっちにさせない場所が、いくつもすぐ近くにある。信じてくれ」。その言葉に背中を押され、直はひかり高校へ学校訪問に向かうのだった。
- みどころ談義
- ● 政則のことをクラス全体の問題と捉えるようになって、ディベートのテーマに発展していくという第20話です。でもその前、オープニングからタイトルバックまでの間にいろんな新情報が明らかになってませんでした?
- ○ そうなんだよ。さらっと駆け足で流したわりには結構重要な情報がたくさん! まず都立の合格発表がいつの間にか終わっているようなんだよね。賢やあかねや平八郎、そして美保が青嵐に合格したと言っている。
- ● 賢はスランプになったと思ったんですが、特にドラマが起こるわけでもなく合格していてちょっと肩透かし。まぁ合格したのは何よりなんですが。
- ○ 政則は裁判の手続きをスタートさせた一方で、高校の二次募集に挑戦することに決めたようだよね。いままでなんとなく寂しさが漂っていた池内先生の家に繭子や哲郎が応援に来ていて前向きな雰囲気。
- ● マスコミの攻勢がありませんでしたけど、これはガイドラインが効いて少し落ち着いたということでしょうかね。そしてまたまた物語に大きな影響を与えそうな、三上先生の登場というのがありました。
- ○ 第3シリーズで、松ヶ崎中の保健の先生だったんだよね。朝食を抜いてくる生徒でもきちんと栄養を摂れるようにと保健室に牛乳を常備していたり、
- ● 加藤敏治がそうでしたね!
- ○ 分数を理解できない生徒にリンゴを切って説明してあげたり、
- ● それは三浦泰久! 保健室で、水野君恵と一緒に勉強したんですよ。
- ○ 詳しいなぁ(笑)。生徒思いのいい先生だったんだよね。かつて金八先生と同士だった三上先生が現在性同一性障害の問題に取り組んでいるというんだから、これは直に追い風だ。…とまぁ、こういった状況がまずオープニングで示されたと。
- ● 3Bの方は、あれだけの出来事があった後で暗い気持ちを引きずる部分もあったと思うんですが、「声に出して読みたい日本語」の朗読でショックを振り払った感じですね。
- ○ これよかったなぁ。みんな楽しそうで、明るい3Bが戻ってきたという印象がすごくした。11話あたりでも一度言ったと思うんだけれど、黙って内に溜め込むんじゃなく「声に出す」ということが大事なんだよね。
- ● そうですね。それと本を読むことの大切さも感じました。本に勇気づけられることってありますよね。
- ○ そうそう。タブロイド系の雑誌なんか読むよりも、よっぽど意味があるんだよ(笑)。
- ● さぁ、そしていよいよ3Bではディベートがスタートします。「報道と人権」という難しいテーマを敢えて選んだ3Bですが、政則の覚悟の告白を本気で理解したことで見事な討論になりました。
- ○ ところどころ感情的になったり脱線したりもしたけれど、むしろそこが白熱した証拠にも見えて、よかったね。大成功と言えるんじゃないかな。これから長い裁判を闘っていく政則も、きっと心強く感じたんじゃないかな。
- ● でも、ここに直の姿がないんです。金八先生や美紀や直美がマンションを訪ねて誘ったにも関わらず、結局出てこなかった。直にこそ参加してもらいたかったディベートだったと思うんですが。
- ○ 金八先生が「30/30=1」と黒板に書いたよね。これがちょっとグッとくる言い回しというか。「直にこそ」ではなく「直もいて」はじめて一つの仲間だということだよね。これにはヤラレたなぁ。
- ● そして「一人ぼっちにさせない場所がすぐ近くにある。信じてくれ」と直に伝えるわけですね。それが、冒頭で出てきた三上先生が現在勤務している都立ひかり高校定時制だと。
- ○ 賢の父親に続いてまた救世主が出現、ともみえるけれど、ここは「前向きに動いたら光は案外近くに見つかるんだ」と取りたいな。
- ● まさに「ひかり」高校なんですね! 直はそろそろ殻を破ってほしいところです。「第二のシゲル」とも言える嵯峨健太郎さんという人が現れて、今度こそ機会を逃がしちゃいけないぞ、直!
- ○ そうなんだよ。さらっと駆け足で流したわりには結構重要な情報がたくさん! まず都立の合格発表がいつの間にか終わっているようなんだよね。賢やあかねや平八郎、そして美保が青嵐に合格したと言っている。
- その他の小ネタ/周辺状況
- ◆ 金八や池内先生、明子がお稲荷さんにお参りをしていたシーンで「おシカさん…」という言葉があったが、これは第1、第2シリーズに出ていた池内シカのこと。
- ◆ 健富のおばあさんは歌舞伎が好きらしい。
- ◆ 主任、びっくりの美声で「平家物語」を朗々と謡う。
- ◆ 主任は科学技術高校に合格した模様。
- ◆ 幸作は近々退院できそうだとのこと! 金八は「お母ちゃんありがとう」と手を合わせる。
- ◆ 政則問題に非協力的な千田校長は、ディベートの参観を風邪を理由に断った。
- ◆ 健富のおばあさんは歌舞伎が好きらしい。
- 参考文献/挿入歌/BGM
- ◇ 【書籍】 季刊セクシャリティ (エイデル研究所)
- ◇ 【資料】 STN21 (セクシャルマイノリティ教職員ネットワーク)
- ◇ 【書籍】 声に出して読みたい日本語 (齋藤孝著、草思社)
- ◇ 【音楽】 波乗りジョニー (サザンオールスターズ)
- ◇ 【書籍】 トランスジェンダーの時代 (虎井まさ衛著、十月舎)
- ◇ 【書籍】 ある性転換者の記録 (虎井まさ衛著、青弓社)
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- ◇ 【資料】 STN21 (セクシャルマイノリティ教職員ネットワーク)