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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第7シリーズ 22話 「25年目の贈る言葉」

辞職の決意を変えない金八(武田鉄矢)。職員室では全教師が引き止めに動き、北先生(金田明夫)までもが「地域教育のパイオニアが辞めちゃダメだ」と熱く説得する。丸山しゅう(八乙女光)が保護観察処分となれば全員で卒業式ができると知った3Bは、嘆願書に署名を集めて裁判所へ提出することに決め、「しゅうが卒業式に出席できたら、辞表を破ってくれ」と金八に勝負を持ちかける。

街頭で署名活動をする3Bだが、道行く人々に思いはなかなか伝わらない。時に涙し、時に苛立ちながらも、気丈に励まし合い、必死に活動を続ける生徒たち。その姿を目撃した金八は、まだ見ぬ養護学校の児童との約束を果たすため東京に残るという乙女(星野真里)からも教師としての背中を押され、翌朝、署名活動を続ける3Bに「辛いことが一杯あるが、頑張ろう」と声を掛ける。

しゅうの第一回審判。しゅうは支えてくれる多くの人のために立ち直るという決意をしっかりと表明。金八は卒業式に出ることが更生への第一歩になると裁判長(平田満)へ訴え、判決が下りる第二回審判の期日は卒業式の日の朝へと早められる。

3Bの署名集めは1000件を超えた。見事目標件数を突破した生徒たちに、金八は「私を金八先生にしてくれたのは、3Bの先輩たちと、君たち3Bです」と言う。嘆願書を提出した3Bは、しゅうとの再会を信じて、ともにもう一度ソーラン節を踊ろうと卒業式までの僅かな日々をその練習に精を出す。

いよいよ卒業式当日。しかし、しゅうが現れないまま式は始まる。証書授与、答辞… そして、ついに式は終了。しゅうの不在を受け入れ難い3Bは退場を拒否。…と、そこへしゅうの母・光代(萩尾みどり)が到着し、審判の結果、しゅうは初等少年院送致に決まったと告げる。

友のために行動し、友のために肩を落とす3Bに、金八は「皆さん方の優しさに支えられて私は私に戻ることができました。私が負けたのです。辞表は破きます」と言う。しゅうが光代に託し、金八へ、3Bへと届けられた手紙には、しゅうが覚醒剤の禁断症状と戦うために少年院に向かう覚悟が出来ていたこと、そして、もうじき移送車両が荒川の土手を通過するだろうことが記されていた。「どうする?」と問う金八。生徒たちは次々と立ち上がり土手に向かう。

しゅうに届け、と精一杯にソーラン節を踊る3B。降車が許されないしゅうも、イメージの中で一体となって踊る。そして、見事にバク転を決める。「卒業証書は先生が預かってるから。桜中学のあの教室で、先生ずっと待ってるからな。」と伝える金八に、しゅうは「はい」と頷き、「みんな、ありがとう。さようなら。」と言うのだった。

走り去るしゅうの車の後姿を、金八と3Bは、目をそらさずに見送った。

05年3月25日放送

脚本: 清水有生

演出: 福澤克雄

視聴率: 19.2%

DVD: 第9巻

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 終わりましたね…。
○ 終わったねぇ。
● …。
○ 最終回だし、あれこれ講釈するようなことはもう必要なくて、ただただ堪能したいばかりなんだけど、それにしても、しゅうが少年院送致になって、卒業式に出席することはおろか、卒業証書さえ受け取ることができないラストだったというのに、こんなにあたたかな気持ちになれるのはどうしてなんだろうね。
● …そうですね。覚醒剤の救いのなさと相手を思いやる気持ちとが両立できて、決して甘くなく、かつ前向きに描ききれたというのは本当、スゴイです。
○ うん、スゴイ。特にこの最終回は司法側の描き方なんて相当難しかったと思うよ。「厳しいけれど正当な判決」を出すにあたって、裁判官が少しでも悪者に見えたら台無しになったワケだし、ラストで土手に停車するという大英断をしてくれた鑑別所の担当教官も、舞子からしゅうに届いた手紙を検閲したときにその優しさをとても大事に思ってくれたという要素があったから「あり得なさ」が薄らいだんだと思う。
● 平田裁判長や、僧侶を思わせるような(笑)教官、よかったですよね。絶妙のバランス!
○ 物語全体の構図もモノスゴイんだよ。文化祭の時の「勝負だ!」が、伸太郎が金八を信頼するゆえに、今回同じ言葉で立場が逆転することになったり、序盤のひどいタメ口が「もっと上手く気持ちを言葉に出来たらしゅうを傷つけなくて済んだ」「先生、言葉って大事だな」に繋がったり。他にも、土となり根っことなる里美との約束があった。「私を金八先生にしてくれたのは、あなた方です」があった。今までの出来事に意味があって繋がっていたことが感じられて、すごく納得がいく最終回だったなぁ。
● しゅうに判決が言い渡される場面や金八が辞表を破る場面が敢えて映像化されなかったところが、僕は非常に納得でした。全体を通して非常に考えさせられることの多いドラマだったじゃないですか。その大詰めの大事な場面を、映像のインパクトではなく想像に委ねたところに、イメージしてくださいよ、考えてくださいよという作り手さんのメッセージを感じたんですよ。
○ それから、今作では鶴本直にしか抜けなかった金八の「伝家の宝刀」、漢字の解釈による説教を、本来の姿を取り戻した最後の最後にドドーンと持ってきたじゃない。これが本当によかった。思えば、生徒たちが辛い中を自分らの努力で1000人を超える署名を集めて、それを受けた金八が「人」という字を黒板に書いた。そのときに、金八の腹はだいぶ「教師続行」に傾いていたんだね。
● 伸太郎の宝刀、「アッチャ〜」も久しぶりに聞けましたね。溜めに溜めました。本当に演技が素晴らしくて、あの直前に見せた一瞬の男前な表情も、すごく印象深かったです。いろんな要素がたくさん詰まった、表情の変化だったような気がして。
○ 伸太郎ってさ、はじめは「それ、話し合いじゃなくて説教だろ」なんて的確なツッコミが視聴者を代弁しているような面白さがあったんだけれど、それが今や「あんた金八先生じゃないのか!辞めるなよ!」というところで代弁者になっているんだよね。
● こちらもすっかり引き込まれたということですね。…本当、この半年間は楽しかったです。
○ 伸太郎の答辞や金八先生の贈る言葉、しゅうの手紙…。感想はまだまだ山ほどあるんだけど、もうこれらのことについてあれこれ言うのは野暮だから、あとはそれぞれ心に留めとこうよ。
(このページの下の方に文字起こししておいたので、もし耳が追いつかなくて聞き逃した部分があったら参考にしてね。)
● …そうですね。なにはともあれ、充実の最終回はじっくりと堪能するのが一番だと。
○ そう。終盤のセリフに隠された歴代主題歌のタイトルなんてのも探しながら見ると、一段と感慨深く楽しめるかもしれないよ。
 
● では、また近いうちに。
○ そして、役者の皆さんや作り手さんたちに、
●○ ありがとうございました!
 
 小ネタ拾い読み
◆金八が大好きで、誕生日、好物、好きなシャツのメーカー、出身地を知っている遠藤先生。
◆金八がしゅうだけの先生になろうとしていることを見抜いた本田先生。
◆校長室の歴代校長写真の一番右に千田校長の姿が。
◆はじめ板橋校長が答辞役に指名した生徒会長・A組の三城真一君は番組Dと同名。
◆シマケンが3バカトリオから蹴られ放題なのはどうしたものか。
◆シマケンの「土手をみんなで走ろうよ!」が、智美の笑いのツボにストライクだった模様。
◆署名活動駅前班の前を、元PTA会長(かな?)が電話しながら通り過ぎている。
◆孝太郎、ビラを投げ返した「行列のできる〜」北村弁護士風の男に仕返ししようとし、金八ヒヤヒヤ。
◆しゅうは鑑別所で、食事を普通にとれるようになっていた。
◆しゅうが裁判所への行き帰りに桜中の側を通ったのは、ひょっとすると教官の配慮?
◆毎度お馴染み遠藤先生の卒業式小ネタ。今回は式次第の毛筆清書を残り一行の時点で失敗し、式本番ではマイクのスイッチが入らなくなるハプニング。しゅうのための遅延行為と取れなくもないが?
◆哲史、家裁前でのソーラン節の構えがなぜか内股。練習後、土手での本番はしっかり。
◆しゅうが独房でソーラン節の練習をしていたのは、舞子の手紙に書かれていたからか。
◆しゅうが車で家裁へ向かうバックに映っているのは、千寿桜堤中?
◆麻子が港南高校の二次試験に合格していたことが、校長の言葉で明らかに。
◆デジカメで伸太郎を撮影していた母は、答辞の途中から撮影を止めた。
◆伸太郎の答辞に心打たれた遠藤先生がマジ泣き。
◆卒業式へ光代の到着が遅れたのは、しゅうが一生懸命手紙を書いていたからだと推測できる。
 
 卒業生へ 漢字一文字の「贈る言葉」
麻田玲子(福田沙紀)
「玲」: 玲子の玲は玲瓏の玲。美しく澄み切った宝石のことです。美しい青空の澄み切った色のことです。どうぞ大人になっても、心の中に美しい宝石と、青空を持っていてください。
安生有希(五十嵐奈生)
「安」: 安心の安。安らぎとも読みます。ウ冠のおっきな屋根の下に、女の人が威張って立っています。屋根の下で女の人が威張って立っていると、とても安らげるんです。大人になったら、この屋根の下に素敵な男性を入れてあげてください。
飯島弥生(岩田さゆり)
「歩」: 少し止まると書きます。急がなくていいから、少し止まりながら、ゆっくりゆっくり歩いていってください。あなたの無邪気さに、私は何度も救われました。
稲葉舞子(黒川智花)
「愛」: 人と別れ難く、その場に立ち尽くし、まだ懸命に、去っていく人の後姿を見ている字です。あなたによく似合う字です。どうかしゅうを愛してあげてください。あなたは、私の初恋の人によく似ていました。おかげで私の心も少年に戻れました。
江口哲史(竹下恭平)
「私」: この禾偏は、目印をつけた木のこと。横にあるムは、田んぼを耕す道具、鍬のこと。どうか、私をしっかり耕して、豊かな人になってください。お前いつも、頑張ってたな。先生ちゃんと見てたからな。
大胡あすか(清浦夏実)
「悟」: 自分らしく陽気で元気な人。そんな人を、悟った人というんです。私は、君の「はい」という元気な声がとても好きでした。
小川比呂(末広ゆい)
「貴」: これはね、とっても大事なものを両手でしっかり捧げ持つ人の姿が字になったのです。大事なものは、片手でなく両手でしっかり持ってください。いつもオデコのことをからかってごめんなさい。先生は、君の広いオデコが大好きでした。
小野孝太郎(竹内友哉)
「孝」: 孝太郎の孝は親孝行の孝。父ちゃんに親孝行しろよ。お前は、態度でかいが気の優しいやつだ。なぁ。
笠井淳(上森寛元)
「拓」: 原野に石がゴロゴロ転がっている。その小石を丁寧に手で一つ一つ取り除き、平野を広げた人が、この字を作ったのでしょう。心の中に広い野原を作ってください。崇史の面倒いつもありがとな。
金丸博明(府金重哉)
「帆」: 帆船の帆、帆柱の帆。船の後ろのことを艫といいます。その艫の方角から風がビューッと吹いてくると、まっすぐ前に進むことが出来ます。だから、まっすぐの人になってください。車掌は、教え子の中でも一番変わってる子でした。君らしいお別れの言葉でお別れしましょう。出発進行と叫んでください、車掌。
狩野伸太郎(濱田岳)
「新」: 立っている木を斧で切ること。そうすると、樹木のいい香りがします。どうか、香りのある男になってください。初めて会った時、私は君が嫌いでした。でも今は、相当好きです。
倉田直明(今福俊介)
「駆」: 仲間を残してたった一人で、道の安全を確かめに行くリーダーの姿が、この字になったのです。君は3B'sのリーダーで、3Bのリーダーでした。いろいろ手伝ってくれてありがとうな。君にはいつも友情を感じてました。
小塚崇史(鮎川太陽)
「友」: 友達のしゅうを、しっかり支えてやってくださいね。しゅうを宜しくお願いします。仲良くしてやってなぁ。
小村飛鳥(杉林沙織)
「紅」: 白っぽい赤のこと。咲きはじめたばっかりの桃の花の色です。桃の花はね、日が暮れても、くれないくれない。君によく似合う字です。
島健一郎(筒井万央)
「仁」: お互いに相手のことを慈しみあうという意味です。シマケン、仁義の人になってください。学級委員、ありがとうな。君のおかげで、3年B組はとっても明るいクラスになりました。
清水信子(寺島咲)
「信」: 信子の信は信用の信。箱の中に誓いの言葉を入れて、石の蓋の上に針を置いた形が、この言葉になったんです。誓いを破ったら、私はこの針で身体を刺しますよ、という意味です。あなたは静かですが、とても強い人です。
杉田祥恵(渡辺有菜)
「祥」: いいことがこれから一杯ありますよ、という予言の一文字です。辛く苦しい思いをしている人がいたら、あなたが横にいるだけで励ましになります。ヤヨの面倒、いつも見てくれてありがとな。感謝してます。
鈴木康二郎(藪康太)
「康」: 健康で元気な働き者になってください。君には愛嬌がある。愛嬌ってのは、スゴイ才能なんだぞ!
園上征幸(平慶翔)
「侍」: とても大事な人や大事なものを守るという仕事に就いた人の字なんです。耳の不自由な弟さん、しっかり守ってやれ。それでこそ侍だぞ。
高木隼人(結城洋平)
「正」: 一に止まると書きます。もし何かに迷ったら、はじめの一に戻って止まって、そこからもう一度考え直してください。どうか、正義の味方の忍者になってください。
田中奈穂佳(石田未来)
「聖」: 神様からの言葉を、一生懸命耳で聞いているという、その姿がこの字になったんです。ですから、これからも耳をそばだてて、一生懸命小さな声を聞いてください。ヤヨの小さな声をいつも聞いてくれて、ありがとう。ヤヨとはずっと友達でいてくださいね。
坪井典子(上脇結友)
「典」: 典子の典は事典の典。素晴らしい本とか素晴らしい教科書がズラッと並んだ本棚のことです。本のページをめくる指先が、とても美しい女性になってください。
富山量太(千代将太)
「勇」: 優しいことがすすんで出来る人。その人を「勇気がある」といいます。量太、君にはいつも応援団長を頼んで、ありがとうな。最後は先生が君にエールを送ります。頑張れ頑張れ、量太。
中木原智美(白石知世)
「花」: 科学者の人が調べた結果、花にはね、その色と形で人を励ましたり、慰めたりする不思議な力があるんだ。どうか、花のような人になってください。
中村真佐人(冨浦智嗣)
「真」: 真佐人の真は真実の真。しっかり夢を抱く、立派な男になってください。真佐人、無理してヒゲ剃らなくていいから。そのうち立派なヒゲ生えてくるから。ゆっくり男になりなさい。
中澤雄子(笹山都築)
「雄」: この字はねぇ、鶏のオンドリの姿なんだって。でも雄子、早起きで、元気で、街中の人に「おはよう、おはよう」って声を掛けながら働く女性になってください。
長坂和晃(村上雄太)
「遊」: 旗を持って道で遊んでいる子供の姿が「遊ぶ」というこの字になったんです。旗を持って、風が吹く外の道で、元気に遊んでください。孝太郎と、これからもずっと一緒に遊んでくれな。時々道間違える奴だから。
西尾浩美(郡司あやの)
「紺」: 深い海の青のこと。その青にうっすら赤みが走っている、その色のことを紺といいます。君に一番似合う色だと思います。浩美は紺色の人。辛いことあったけど、おめぇよく頑張ったなぁ。先生知ってっから。な。
姫野麻子(加藤みずき)
「想」: 相手の心と書きます。受験の日、病気のお婆さんの面倒を一生懸命みたんだよなぁ。麻子は相手の心が分かる人です。もう一回じっとこの字を見てください。木を見る心と書きます。緑いっぱいの木を目でしっかり見ていると、心がどんどん優しくなります。緑いっぱいの人になってください。
丸山しゅう(八乙女光)
「命」: 人の内側に激しく叩く者がいる、と書きます。29人の同級生が、君の心の扉をドンドン叩きながら、頑張れ、頑張れ、って。卒業証書は、先生が預かってるから。桜中学のあの教室で、先生ずっと待ってるからな。元気で。
 
 狩野伸太郎 答辞全文
「本当は、ここで喋んのは俺じゃねぇと思う。本当にここに立って喋るべきなのは、しゅうだと思う。あいつはみんなにスゲェ迷惑かけたから、まず、ここに来てみんなに謝って、んで、感謝の気持ちを言うべきだと思う。…けど、けどあのバカまだ来てねぇからさ、…しょうがねぇから、俺が話すわ。
俺は、あの…学校でマジで二回泣いたことがあって、…一回目は、文化祭ん時、ソーラン節踊った時で、もうそれまでバラバラでもう、テメェのことしか考えてねぇようなクラスだったんだけど、それで初めてまとまって。で、みんながその、一番前のど真ん中、一番重要なとこを俺に踊れって言ってくれて。…踊りきった時はなんつうか、涙が止まんなかった。変な話、あん時初めて、みんなが仲間だって思えた。
で、二回目は、しゅうが覚醒剤やっておかしくなった時。しゅうおかしくなってさ、床、ベロベロ舐めてたんだよ。それ見てたらなんか、怒りっつうか、悔しさっつうか悲しさっつうか、もう、もうとにかくあいつの目、覚ましてやりたくてさ。あいつに掴みかかったんだよ。
俺は、あん時のあいつの顔、一生忘れねぇ。
でも、あん時の気持ちは、しゅうに対してじゃなくて、俺自身に、自分自身にスゲェむかついてたから、ああいう風に思ったんだと思う。…だって、なんでもっと早く気づいてやれなかったのか、毎日顔見てんのに、なんでもっと早く気づいてやれなかったのかと思うと、なんか、情けなくてさ。
けど、それは他の3B全員そう思ってたと思う。だから、あの…なんつうか、俺いま、…スゲェ俺の気持ち分かって貰いてぇんだけど、…伝えてぇんだけど、言葉が見つかんねぇや。もっと上手く、自分の気持ちを言葉に出来たら、大事な仲間を傷つけたり、失ったりしないで済んだと思う。もっと、自分の気持ちを上手く伝えられたら、しゅうはあんなことになってなかった。
先生、言葉って大事だな。俺、いま少しだけ分かった気がするよ。
口の聞き方知らない俺に、何度も何度も注意してくれて、ありがとうございました。…また泣いちった。
先生、ウチのバカな両親が給食費滞納して、本当にご迷惑をお掛けしました。でもあん時、先生が来て、両親に説教してくれた時、嬉しかったです。ありがとうございました。
3Bのみんな、ウチの会社に立てこもった時、みんな来てくれて、ありがとな。…本当に、ありがとうございました。
在校生のみんな、俺らは決して胸を張って卒業できるような卒業生じゃねぇから、あんま偉そうなこと言えねぇけど、一つだけ、一つだけお願いがある。どうか、命だけは大事にしてくれ。自分の命、友達の命、家族の命、それと、周りにある命。こん中で、失っても構わねぇ命なんて一つもねぇからな!
でも、もし、もしな、もし死にてぇとか思ったら、職員室行け。そこにはな、お前らのこと、命賭けて守ってくれる先生たちがいるからさ。どこの学校にも負けねぇ、最高の先生たちがいるからさ。
卒業生起立! 先生たちに、ありがとうございました。デイケアセンターの皆さん、お父さん、お母さんたち、ありがとうございました。」
卒業生代表! 3B! 狩野伸太郎!
 
 丸山しゅう 手紙全文
「先生、3Bのみんな、僕は初等少年院に行くことになりました。みんなが嘆願書で1000人もの署名を集めてくれたのに、期待に応えることが出来なくて本当にごめんなさい。
3Bのみんなが先生と勝負をしていることは、舞子からの手紙で知っていました。僕もみんなと同じ思いです。先生には絶対、教師を辞めて欲しくないです。だから、僕が卒業式に出られることで先生が教師を続けてくれるならと、家裁の審判で、卒業式に出たいと裁判官にお願いしたのです。
でも、あの時、僕の本当の気持ちは、自分は少年院に行った方がいいと思いました。僕の身体から覚醒剤を抜くには時間が必要であり、覚悟が必要だからです。そして、それだけのことをしてしまった罰を受ける必要があったからです。
ドラッグは、街の至るところで簡単に手に入ります。僕が言うのも変な話だけど、このままだと、第2、第3の僕が必ず生まれてしまいます。それを食い止められるのは、金八先生だけです。僕が大好きな金八先生なら、第2、第3の僕が現れても、きっと先生の話を聞き、先生のことを好きになるからです。
先生、僕は先生の生徒でよかったです。もし先生と出会わなければ、僕はずっと覚醒剤を打ち続け、死んでいたでしょう。僕のために身体を張った授業をしてくれて、ありがとうございました。そしてみんな、恐いのに、あの授業にずっと付き合ってくれて、ありがとう。
もっともっと、先生とみんなに僕の気持ちを書きたいけれど、そろそろ行かないといけません。たぶんこの手紙をみんなが読んでいる時、僕はあの毎日通った荒川の土手を、少年院に向かって走っているでしょう。
僕は少年院から戻った時、真っ先に荒川の土手を通って、桜中学へ行きます。3年B組の教室に行きます。先生から卒業証書を受け取るために行きます。だから先生、絶対に辞めないでください。お願いです。先生、辞めないで。」
丸山しゅう
 
 みなさんからの印象的なお便り
◆少年院送致というのは、ごく表面的には悲劇的な結末ということになるのかもしれませんが、しゅうのドラッグと手を切ろうという決意と、未来への希望を感じさせるということでいえば、これ以上ないくらいの、真の救いが見える結末だと思います。今になってみれば第7シリーズの結末はこれしかないだろうというくらい、すばらしい終わり方でした。私個人としては100%納得できました。 (第零世代さん)
◆個人的には、しゅうは保護観察になって卒業式に間に合うとばかり思っていました。ドラマって普通そうでしょ?? でも、そこは単なるドラマでは終わらせなかった。少年院行きが分かった時、思わず号泣してしまった私だけれども、あとから冷静に考え息子とも話し合い、これが世の中から覚せい剤が追放されるひとつのきっかけになってくれればこれも良い流れなんだと考えることができました。 (ありすさん)
◆金八先生の言葉を引用させてもらいます。「この第7シリーズ、最初は嫌いでした。でも今は、相当好きです。」 (ひでさん)
◆番組最後に出てきた卒業写真。ちゃんと3Bが30人そろっているんですね。ちょっとうれしかったです。 (狛江さん)
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◆21日で「3年B組金八先生」の撮影がクランクアップしました。ちなみに最後は土手でのシーンでした。撮影が終わってジャイさん(福澤D)が生徒一人一人に花束を渡して、ロケバスに乗って帰る時に坪井典子が窓から手を振って「ありがとうございました〜! ありがとう土手〜」と叫んでいました。ちょっとファンとしては感動モノでしたね。 (鉄さん)

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