ver6.4
定型句・慣用句編

あ行  か行  さ行  た行  な行

は行  ま行  や行  ら行  わ行

評価 意味・解説・用例
     
  あ行 (10語)
★★ あかな だめだ(「あかん」は、予めある価値基準に
そぐわず「だめ」な場合に使う。キレよく発音する。
「あかな」は「だめだなあ、やっぱり」という
「一応考えたけど、やっぱりだめだ」という
多少は丁寧な否定の意が含まれることがある。
少しゆっくり目に言うとニュアンスが深まる。
「あっかっなー」といった感じ。)
★★ あっかよー だめだよ、良いわけがないよ、
=「あく(否定語“あかん”の肯定形)・か・よ」
この「あく」は否定形のみが使われる形容動詞。
例「んなもん、あっかよー
=「そんなこと(もの)だめだよ」
あわてへな
あわてへんよ
急がないよ、慌てていないよ、ゆっくりどうぞ
※相手に気を使っているニュアンスがポイント。
例「わりけど、にさんちまっとおくれよ」
 「かめへな、あわてへんよ
=「悪いけど、2,3日待ってくれるかな」
 「構わないよ、急いでないから」
★★★ いきちゃーったか 生きてたか(=元気だったかい)
(久しぶりに会った相手に対して使う。おおかた
真剣に生死を確認しているわけではない)
例「どうよおまん、いきちゃーったかー!?」
=「どうしてたのキミ、元気だったかい」
うーわーよー うわあ!、なんてことだ!、あ〜あ知らないよっ!
音階で言うと・・・♪ソ〜ド〜レ〜が多い。
主に幼児・学童が使う。
義務教育を終えた世代に聞くと
「昔、使った事がある」水準の句。
ええあんばかった
ええあんばかっと
いい湯加減(塩梅)だった
「塩梅」はもともと梅を漬ける際の塩加減からきているが
これが「あんばかった」と形容動詞化されている。
例「湯加減どやった?」「ええあんばかっと〜」
=「湯加減どうだった?」「よい湯加減でしたよ」
★★★ おいな
おいなあ
おいで、いらっしゃい
例「こっちゃおいなあ」=「こっちへおいで」
例「きかえておいなあ」=「着替えてらっしゃい」
おこってきた
おこってきと
怒り出す、怒った、怒っている
「怒って」「きた」と、怒りが増大してゆく様と
怒られる側へのベクトルが加味されている。
例「うわ!おこってきた!」=「うわ!怒り出した!」
例「あの子にたいじゅうきいたらおこってくるで」
=「あの人に体重を聞くと、怒り出すよ」
おくれ
おくれよ
ちょうだい、ちょうだいよ
例「水割りおくれ」=「水割りをちょうだい」
おたのもうします お願いします、おじゃまします
※お店に入ってきた時の第一声などでも使用
     
  か行 (8語)
かまん 構わない、“no problem”、相手にしない
例「かいしゃからでんわやで」「かまん!」
=「会社から電話だよ」「放っとけ!」
※カモン(come on)!との違いに注意。
★★ ぐあいわり ①不都合だ
例「明日いけるかー」「ちょっとぐあいわりの」
=「明日行ける?」「ちょっと都合が悪いな」
②調子が悪い、病気だ
例「おまん、ぐあいわるしてたらしわいてよ」
=「君、体調くずしてたそうじゃないか」
★★ ぐっち
ぐーち
ぐっちー
ぐーちー
二人以上を二組に分けるために行う。
複数で「ぐーっち」と一斉に声を掛けながら
じゃんけんの「グー」か「チョキ」を出し
人数に偏りが無ければ
「グー」組と「チョキ」組に分かれる。
また、グーを出す際には「ぐーっ、ぐっ」という
掛け声になる事もある。
数種類のパターンが存在する。
くらっそー 殴ってやるぞ=「くらわすぞ」
・・・の勢い短縮形。
吉本新喜劇・やなぎ浩二の「チャッソー!」と
同類の「怒り心頭」の感情を表わす。
けああるかよ とんでもない事だ、いいわけがないだろう
下の「けあないわ」の強調形、かなり語威が強い。
例「あ、ビールこうてへな」「けぁあるかよー!」
=「あ、ビール買ってないぞ」「なんてこった!」
けあないわ だめだコリャ
形容詞編「けあない」も参照のこと
吐き捨てるように言うのがプロフェッショナル。
若い人はほとんど使わないが、オイヤン御用達。
例「阪神また負けと」「けあないわ!」
=「阪神また負けたよ」「ダメだなぁ!」
ごあんぜんに 住金の関係者が、構内などで挨拶として使う。
ところが普段でもこの挨拶をしてしまう人もいる。
別れ際などでいきなり「ご安全に」と声を掛けて
すかさず「ご安全に」と帰ってくれば、
その相手は間違い無く何らかの形で
住金に関係している仕事をしているはずだ。
つまり「住金チェック」として利用可能。
ごっそさん
ごっつぉさん
ごっそさま
ご馳走様
     
  さ行 (2語)
さるのけつまっかっか 和歌山人の多くが、小学生の頃
ピアニカやオルガンで弾いた曲(?)。
♪ねこふんじゃった・・・の親戚。
「さーるのけーつ、まっかっかー」と歌うが、
♪「ドーレドレード、 レッレッレー」が基本で
このあと一音階づつ上がっていく。
「おまえのかあさん、でべそ」的に
他人に対する敵意・蔑視を表わす使い方もある。
すっとこなんきんかーぼーちゃ 和歌山幼年トリプルアクセルに使われる。
その第二段に使われる事が多い。
     
  た行 (11語)
だぁもっちゃある デキモノやニキビができて硬くなっている様子。
「だぁ」は「座」、「だい」は「台」の事であるようだ。
いずれもできもの皮膚内にある基部の、硬い部分の事。
ちなみに「だい、もってきと」と進行形になる事がある。
だいもっちゃある →だぁもっちゃある
★★ たすからん ダメだ、救いようがない
例「あ!宿題忘れてもた」「たすからん!」
=「あ!宿題忘れてしまった」「ダメだこりゃ!」
★★★ たのんどか
たのんどきます
頼んだよ、お願いします、うまくやってよ
※相手に何かを押し付けるニュアンスを含む場合も。
例「ほな、たのんどか」=「じゃ、頼んだよ」
ちょっといかな
ちょっといかんよ
うまくいかないだろう
例「あの子ひとりで、ようするかの?」
「そらちょっといかな
=「あの人ひとりで、うまくやれるかな?」
「それはちょっと無理だな」
★★★ ちんちんぶらぶら
ぶらくりちょう
相手をからかう幼年表現。
「あーほ、ばーか、まーぬーけ
(orさーるのけーつ、まっかっか)、
おまえのかーさんでーべーそ、
ちんちんぶらぶらぶらくりちょう」
この3段攻撃が和歌山市内学童の多勢において
トリプルアクセル的攻撃オプションとなっている。
その「締め」に当たる三段目に配置される。
つれもてしよら
しーとべると
「いっしょにやろう、シートベルト」
和歌山県警の交通安全標語だが
「つれもて」などはすでに若年世代は使わない。
「交通標語」と「方言の復活」の二つの側面を持っており
非常に高度かつ意義ある標語と認識すべき。
★★ てがえやん
てがえやな
てがう=相手にする(手合う)の否定形
①相手にしていられない
例「あんてきゃ、てがえやなー
=「あんなやつ、相手にできない」
②あきれた、だめだこりゃ
例「てがえやん!」=「だめだこりゃ!」
★★ どうよ ①(落胆・困惑・憤り)どういうことだ?何てことだ
例「どうよそらあ、もうしまいかえ」
=「何てことだそれは、もう終わりなのか」
②(挨拶・会えて嬉しい)どうしてた?元気?
例「どうよおまん、ごぶさたやなあ」
=「どうしてたの君、ご無沙汰してたね」
どちらへか(よ) お礼を言われたり、謝られたりした際の返答。
「どういたしまして」「お互い様です」
例「こないだすまなんだの」「いやいや
どちらへ=「この間は悪かったね」「いえ、どういたしまして」
どないよ どういう事なの、なんだそれ
例「おいやんとしくたのう」「どないよ!」
=「おじさん年とったね」「何てことを!」
※本気で怒っている時には使わない。
「ええかげんにせい!」のようなツッコミ的に使うと
スムーズな和歌山会話が成立する。
ザダラ変換が適用され「ろないよ」と言う人も。
     
  な行 (4語)
★★★ なっちん 私のものにする、予約した、私のものだ
※主に子どもが使う。欲しいものがあって、
それを他の誰かも狙っている可能性がある
(競合する可能性がある)際に、
私はこれが欲しいという意思を表すために使う。
例「これ、なっちん!」=「これ取った!」
★★ なにやってんのよ
なんやってんのよ
なにをしているんだい
これは訳そのままの意味よりも、
意外なところで知人に出会った場合のあいさつ、
「こんなところで会うなんて」のニュアンスが強い。
対象者が何をしているのかはあまり問題でなく、
会えて嬉しい、驚いた、という気持ちの現れ。
無論言葉そのままの意味で使われることも。
語調や表情、その場の空気などによっては
「なにしとんねん!!」と怒りの表現にも。
★★ なんてよ なんじゃそりゃ、なんのこっちゃ。
「なんってよ〜!」と言うと感情がこもる。
なかなか
なーかなか
なんのなんの、どういたしまして
(何かをしてあげて「おおきによ」等と言われた際に
謙遜して答える言い方。)
例「わりよー、おおきにやで」「いやいや、なーかなか
=「悪いね、ありがとう」「いやいや、なんのなんの」
     
  は行 (1語)
★★ へいたいさんがとおる 和歌山版「だるまさんがころんだ」
「ぼんさんがへをこいた」
「い○どじんのくろんぼ」。
要するにテンカウントワーズ。
     
  ま行 (4語)
まちがいないよ
まちがいないわ
賢明だ、大丈夫だ、それがいい
英語では「no problem」=「問題ナシ」
例「行く前に電話しといたら、まちがいないわ
=「行く前に電話しておけば、大丈夫だ」
★★★ みずつく 冠水する
例「紀ノ川決壊して、うっとこ、みずついたして」
=「紀ノ川が決壊して、ウチの家、水に浸かったよ」
例「きのもたぁようみずづかなぁ」
=「木ノ本はよく冠水するよなあ」
★★★ もうなんじ? 今何時?
※「いま何時?」ではなく、「もう」という時間の経過を
感じさせる言葉を使うのが和歌山流。
★★ もかってるかい?
もかっとるかい?
儲かっていますか?
※上方での「もかっとる?」また河内・和泉での
「もかっとる?」との差異に注意。
     
  や行 (7語)

やー
あげるよ、差し上げます
例「やー」「けー」
=「どうぞ」「ちょうだい」
★★★ ゆうてるまに
ゆーてるまに
いうてるまに
もう少しで(「言うてる間」=「そうこう言っている間」)
例「あの子、けえへんわしょ」「ゆうてるまに、くら」
=「あの人、来ないなあ」「もうじき来るだろう」
例「どこまで行きゃ着くねん」「いうてるまよ」
=「どこまで行けば(目的地に)着くの」「もうすぐだよ」
よう(〜)する する事ができる
例「おまん、一人でようすんのかい」
=「きみ、ひとりでやれるかい」
「よく行く」等の「頻度」をあらわすものと
混同しないよう文脈で判断すること。
よううつる 似合っている(よく映る)
例「あんたそのふく、よううつってらいて」
=「あなたのその服、良く似合っているじゃないか」
例「おなごのこぁきもんきたら、よううつらなあ」
=「女の子は着物を着たら、見違えるよなあ」
★★★ ようわいてら (風呂の湯などが)少し熱めに沸いている
※風呂水ならばおおむね41〜42℃あたり、
少し肌を刺す、熱めの湯加減。
入浴できないほど熱い場合にはあまり使わない。
そんな場合は「熱い熱い」「熱すぎら」等になる。
例「この温泉、ようわいてらよぅ」
=「この温泉、良い加減の熱さだなあ」
★★★ よろしゅうおあがり 食事の際「ごちそうさま」に対する返答。
標準語で該当する言葉は特に見当たらない。
強いて挙げるなら「はい、どうも」「お粗末でした」
といったところか。
食事を作った側、振る舞った側が言う。京ことば。
★★ (よろしゅう)
おたのもうします
①(よろしく)お願い致します
「たのんどか」「たのんます」の丁寧な形。
②(お店などに入った時に)こんにちは
例「おたのもうしますー
=「こんにちは(どなたかいらっしゃいますか)」
     
  ら行 (0語)
(未登録)  
     
  わ行 (1語)
わりよ(ー) 悪いね、ごめんよ
例「まにあわなんで、わりよー」=「間に合わなくてごめん」
     
    (48語)
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