ギリシャ語には、固有のアクセントを持たず、後ろに続く言葉にくっつけて、後ろの言葉の一部であるかのように発音される単音節語があります。こうした言葉を後接辞(procliticum)といいます。
後接辞は次に挙げる10語です。
次の場合には、後接辞でもアクセント(鋭アクセント)がつきます。
前接辞(encliticum)というのは、もともとは固有のアクセントを持っているにも拘わらず、直前にある言葉に「寄り掛かって()」発音され、前の言葉にアクセントを奪われてアクセントを失う言葉のことです。
前接辞には次のような言葉があります。
前接辞の前の言葉が、最後尾の音節に鋭アクセントのある語(oxytone:鋭調語)である場合、前接辞はアクセントを失って無アクセントとなります。
先行するoxytoneのほうは、後ろに別の言葉が続いた場合には鋭アクセントを重アクセントに変えるのが原則であるにも拘わらず(参考→重アクセント)、前接辞が後に続く場合は鋭アクセントを保ち、重アクセントに変わりません。
前接辞の前の言葉が、最後尾の音節に曲アクセントのある語(perispomenon)である場合、前接辞はアクセントを失って無アクセントとなります。
前にくる語のアクセントは変わりません(最後尾の音節に曲アクセント、のまま)。
前接辞の前の言葉が、最後から三番目の音節に鋭アクセントのある語(proparoxytone)か、最後から二番目の音節に曲アクセントのある語(properispomenon)である場合は、前接辞はアクセントを失って無アクセントとなります。
前にくる語はもともと持っていた自分のアクセントをそのまま保ち、加えて、最後の音節に鋭アクセント(前接辞からもらったアクセント)をとります。つまりproparoxytoneやproperispomenonは、前接辞が続く場合は二つアクセントを持つことになります。
前接辞の前にある言葉が、最後から二番目の音節に鋭アクセントのある語(paroxytone)である場合は、前にある言葉はアクセントをそのままに保ちます。
他方、前接辞のほうは、音節の数によって次のようにアクセントが変わります。
前にくる語が省音されている場合は、前接辞はアクセントを保ちます。
後接辞は固有のアクセントを持たず、後ろに続く言葉にくっつけて発音される言葉ですが、前接辞の前にきた時には前接辞からアクセントをもらって、最後の音節(ultima)に鋭アクセントをとります。
また、前接辞が連続する場合は、後ろから前へと順にアクセントを送って、一番後ろの前接辞だけが無アクセントになります。
上の例では、のアクセントはγεからもらったもので、本来のアクセントは、前の語のultimaについています(参照→proparoxytone+前接辞)。
前接辞が自分のアクセントを保つのは、次の場合です。