ボイジーには、市街を東西に貫くユニオン・パシフィック鉄道の線路が通っていて、中心街に近い丘の上にディーポ(停車場)の白い建物が建っています。
しかし、アムトラック(Amtrak)による旅客列車のサービスは1997年にボイジーから撤退し、現在はこの線路を走る旅客列車はありません。
この線路を利用して、ボイジーに通勤列車を走らせようという試みが、1997年10月に行われました。
通勤列車"The Sprinter"のデモンストレーション運転は、1997年10月13日から26日までの2週間、ボイジー市をはじめとする地元自治体の出資で行われました。
使用された車両は、ドイツのSiemens社製の"The RegioSprinter"という3両編成の軽量ディーゼル車で、定員は174人。
この列車が、ボイジーのディーポと、およそ20マイル西のナンパ・アイダホセンターとの間を、およそ40分で走りました。
デモンストレーション運転の列車は、平日は主に学校などの団体見学者、休日は一般の見学者に開放されました。
さらに、平日にはディーポとボイジー市街南東部のマイクロン・テクノロジー社との間で、通勤輸送の実験も行われました。
Sprinterのデモンストレーション運転はたいへん好評で、休日には多くの沿線住民が試乗に訪れました。
車内では、試乗記念の乗車券と、さらに子供向けにSprinterのペーパークラフトが配られました。
中間のメリディアンの駅では、町の歴史を記したリーフレットが乗客に配られたほか、鉄道の歴史に関する展示も行われていました。
それでは、近い将来、ボイジーとナンパの間に本格的な通勤列車は走り出すのでしょうか?
残念ながら、その兆しはありません。
The Insiders' Guide to Boise & Sun Valley (P. Rose and J. G. Anderson, Insiders' Publishing)には、Sprinterについて、下記の通り、「2003年までに走り出すことはあり得ないだろう」という見通しが述べられていますが、実際、その後、通勤列車実現への具体的な動きはありません。
Although the Sprinter was well-received, it would be overly optimistic to expect it to be in place before 2003, if at all. A regional public transportation authority must first be formed; its earliest obligations would include the purchase of the Union Pacific track corridor and the undertaking of a thorough cost and feasibility study.
アイダホ州南部を通る鉄道は、ユニオンパシフィック鉄道の子会社であるオレゴンショートライン鉄道によって、1883年に開通しました。
しかし、当初は州都ボイジーを経由せず、マウンテンホームとナンパをまっすぐ結ぶルートで本線が敷設されたため、ナンパから分岐してボイジーに至る支線が建設され、ボイジーの町が鉄道で結ばれました。
当初の停車場は、中心市街地の5th & Broad付近にありました。
現在の5th & Broadには、当時の停車場の様子を描いた壁画があり、この地の鉄道の歴史を物語っています。
後に、2代目の停車場が10th & Frontに設けられました。
その後、本線自体をボイジー経由に改める工事がなされ、1925年にボイジー経由の本線と、現存する3代目のディーポ(停車場)が開業しました。
都市内交通の鉄道としては、20世紀初頭に中心市街地とWarm Spring Avenueの高級住宅地を結ぶトロリー(路面電車)が運行されていました。