■本の紹介(歴史)
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■2004.11.09 改訂平家物語の世界

歴史から平家物語を見た本を1冊あげよといわれたら、この本がまず思い浮かびます。この本と出会ったことが、わたしにとっての第2の平家ブームの始まりかもしれません。
平家物語を歴史から理解しようとした本で、平家物語に描かれる時代の背景が詳述されています。
著者の村井康彦氏の専門は、古代・中世の社会と文化史。
徳間書店から、1973年に初版が発行され、改訂版が1976年に出ました。残念ながら絶版になっていますが、来たる平家ブームにのって再刊されないかなあと期待しています。古書店でたまに見かけます。
同じシリーズで同著者による『平安貴族の世界』という本がありますが、これもまた名著です。

■2004.11.13 源義経と源平の京都

2005年の大河ドラマは『義経』です。書店にはすでに平家と義経に関する書籍がたくさん並んでいます。平家好きにとってうれしいことですが、すべての本が買えるわけではありません。良書と便乗本を選りわけることが必要になってきます。そのような中で、おもしろい本を見つけました。
源平の史跡案内の本の中で、今回紹介する『源義経と源平の京都』(取材/編集 川口正貴 わたなべのりこ、発行 ユニプラン)は、史跡を網羅していること、詳細な地図がつけられていることで、他より数歩リードしているように思いました。

■2004.12.15 増補改訂 清盛以前

前のエントリーで、高橋昌明『増補改訂 清盛以前』(文理閣 2004)が出ましたので、紹介しておきます。
高橋昌明『清盛以前』は、源平の時代を勉強するものにとって定番の必読書です。
最初に出版されたのは、いまから20年前の1984年、平凡社選書の1冊でした。絶版となって久しく、再販を切望されていました。出版社をかえ増補改訂版として復刊されました。
この20年の成果を補注という形で増補されています。定価が4600円と高いのですが、それだけの価値はあると思います。
内容は、「伊勢平氏の成立」・「伊勢平氏の展開」、「平正盛・忠盛と白河院政」・「平正盛・忠盛と鳥羽院政」となっており、平氏政権を考える上で重要な論が盛りだくさんです。また平氏の六波羅進出の契機となった「平正盛と六波羅堂」はおもしろかったです!

■2004.12.17 平清盛の闘い

幻の中世国家元木泰雄『平清盛の闘い 幻の中世国家』(角川書店 2001)を最初に読んだ時、衝撃が走りました。清盛の目指したものは何だったのか。今までと違った平清盛像がそこにありました。
読んでいて、著者は本当に清盛のことが好きなんだなあと感じました。清盛に対する愛情あふれる1冊です。同著者により、NHKブックスから『保元・平治の乱を読みなおす』が出版されたとの情報を得ました。藤原信頼に対する再評価がされているとのこと。早く読んでみたいです!

■2005.01.04 源義経 流浪の勇者

さきほどNHKで大河ドラマ「義経」関連の番組を放映していました。タッキーこと滝沢君と、暴れん坊将軍の松平健さんが、どんな演技を繰り広げてくれるのか、とっても楽しみです。
NHK大河ドラマ「義経」が始まりましたら、可能な限りその日の放送の舞台を追いかけてみたいと思っています。
まずはそのプロローグ。

最近、たくさんの義経関連本が出版されています。その中からぼんやりのおすすめ本をご紹介します。
最初に読む本として、上横手雅敬編著『源義経 流浪の勇者』(文英堂 2004)をおすすめします。義経研究の最前線を知っていただきたいからです。

この本は、2000年10月に岩手県平泉町で開催された「源義経と平泉」をテーマにしたシンポジウムを基に構成されています。
本の帯には「義経は奥州幕府の大将軍だった?」というコピーが書かれていました。これは本書の中で、入間田宣夫氏が奥州藤原氏が義経を戴いて奥州幕府を作り、鎌倉幕府に対抗しようという構想を持っていたという、大胆かつ斬新な問題提起(第五章「藤原秀衡の奥州幕府構想」)からとられたキャッチコピーです。しかし序章において、上横手雅敬氏は入間田氏の説に対し反論しています。その議論をぜひ生で聴きたかったです。

序章 源義経の生涯と色々な見方 上横手雅敬
第一章 いまなぜ義経か 上横手雅敬
第二章 義経を支えた人たち 野口 実
第三章 源平合戦後の義経 前川佳世
第四章 奥州藤原氏と奥羽 岡田清一
第五章 藤原秀衡の奥州幕府構想 入間田宣夫
付章 子どもの本と義経 千葉信胤
その他、気軽に読めるトピックス、年表、詳細な年表と参考文献がついています。

■2005.01.10 角川源義・高田実『源義経』

角川新書の1冊として角川源義・高田実『源義経』が出版されたのは、昭和41年(1966)。
ちょうどこの年は、NHK大河ドラマで尾上菊五郎主演の「義経」(原作は村上元三)が放映され、義経ブームがおこった年です。
長く幻の名著とされていましたが、講談社学術文庫の新刊として2005年1月に再刊されました!
義経の前半生と後半生の伝承に包まれた部分を、民俗学的な見地から角川源義氏が担当し、歴史に登場する部分を、歴史学の立場から高田実氏が担当して書かれています。

追記
再刊された講談社学術文庫本を購入。巻末に野口実氏による解説がついています。解説には、本書を概観しその意義を述べ、また現在の義経研究の成果などから訂正されるべき点があげられています。

*余談*
ぼんやりは、この本を読んですっかり角川源義氏のファンとなりました。氏の大作『語り物文芸の発生』(『角川源義全集』第一巻所収 角川書店 1988、古書店で単著の『語り物文芸の発生』を買うよりも、新刊で全集の1巻を買う方が安いです)もおすすめです★

■2005.03.22 義経ハンドブック


源平史跡一七七選京都新聞出版センターから『義経ハンドブック 源平史跡一七七選』という本がでました。
京都と近郊の源平史跡の紹介のガイドブックで、地図も住所もきっちりと載せられており、旅行に持ち歩ける小型なサイズです。
これで300円は、絶対に安いです。
強いてアラを探すとすれば、内容のバラつき。簡潔に史実と虚構をまとめて書かれていると思えば、伝説オンリーな部分もあって、おそらく参考にされた文献による違いだと思います。
でもガイドブックの役割としては十分です。
何しろ、300円ですもの。
系図と、義経年表が巻末にあります。QRコードで詳細データーを取得できます。

■2005.04.08 源平と神戸ゆかりの50選&源義経&鵯越の坂落とし

神戸の源平の史跡めぐりの散策のお供本を2冊紹介します。

  
まずは神戸新聞社編『源平と神戸ゆかりの50選〜歴史と観光の散策ガイド』(神戸新聞社 2004年)、300円。
神戸の源平史跡を50か所ピックアップした解説と写真、源平を楽しむ6つの散策モデルコースと地図、系図と簡単な主要人物事典がついています。持ち運びにちょうど良いハンディタイプ。

もう1冊は、野村貴郎『源義経 鵯越の坂落とし〜神戸・三木・小野・篠山・加東 神戸史跡ハンドブック』(神鉄観光事業部すずらん編集室 2004年)、315円。
こちらは神戸電鉄の路線にあたる源平史跡のガイドブックです。史跡解説のほか義経、一の谷合戦、福原遷都の概説も載っています。

■2005.04.16 義経の時代を歩く

鎌倉に二泊三日で旅行してきました。義経と頼朝をテーマに歩きました。
その際のお供本として活躍してくれた本を紹介します。
ブルーガイドブック『「義経」の時代を知る・見る・歩く』(実業之日本社 2005年)。
特に頼朝、義経、静の足跡を訪ねる鎌倉散歩のページが、役立ちました。詳しい地図がついていましたので、効率良く回る手助けとなりました。
このガイドブックのコースに自分の行きたい所をプラスして回りました。
わたしはこの本の他に、松尾剛次『中世都市鎌倉の風景』(吉川弘文館 1993)をあらかじめ読んで旅行に出ました。中世都市鎌倉を知る良書です。同じ著者の中公新書『中世都市鎌倉を歩く』もおすすめです。

■2005.04.17 『古代文化』4月号

学術雑誌『古代文化』4月号(財団法人古代学協会)が出ました。
「平家と福原」の特集号です!
読みごたえのある論文が揃っています。
大きな書店に行くと手に入ると思います。
内容は、野口実「特輯『平家と福原』に寄せて」、元木泰雄「福原遷都と平氏政権」、山田邦和「『福原京』の都市構造」、伊藤裕偉「伊勢平氏と屋敷」、野口実「平家の本拠をめぐってー立地空間の軍事的評価」、近藤安紀「『平家物語』における遷都ー延慶本『平家物語』『山門都帰奏状』の本文について」、岡田章一「図版解説 兵庫県神戸市楠・荒田町遺跡」


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