■平治物語
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■2005.01.11 源義朝の最期

NHK大河ドラマ「義経」第1回、楽しまれましたか?
平治の乱が簡潔にまとめられてしまいました。
加藤雅也演じる源義朝、もっと見たかったです。

平治の乱に敗れた源義朝は、東国を目指して落ち延びる途中、尾張国野間(愛知県知多郡美浜町)で、相伝の家人長田忠致父子の奸計によって湯殿で命を落とします。


大御堂寺にある源義朝の墓


湯殿跡

■2005.02.13 頼朝登場

今夜のNHK大河ドラマではいよいよ頼朝と政子の登場です。
下の写真は、伊豆の「史跡 蛭ケ小島」に立つ頼朝と政子の像です。ふたりの目線の先には、でっかい富士山(のはず。わたしがこの写真を撮った日は曇っていて見えません)。


平治の乱の後、源頼朝は伊豆国韮山(静岡県田方郡韮山町)の蛭ガ島へ流されます。
伊豆の中部は、東西を低い山に囲まれ、南北に長い盆地となっており、その中を流れる狩野川にそって集落がひらけています。蛭ガ島は、その盆地の北条の集落の近くにありました。おそらく狩野川の中州にあったものと推定されますが、確実な位置はわかっていません。現在「史跡 蛭ケ小島」として保存整備されている場所は、江戸時代に推定されたもので、正しい位置かどうかは不明です。昭和59年に発掘調査が行われましたが、頼朝の時代の遺物や遺構は見つかりませんでした。

伊豆の北条は、北条氏の根拠地。韮山町と長岡町には北条氏にゆかりのお寺や史跡が残されています。

北条政子の産湯の井戸と伝承されている井戸。


北条氏の館跡発掘中。


韮山町のホームページ
http://www.nirayama.kyogikai.mishima.shizuoka.jp/

伊豆長岡町観光協会のホームページ
http://izunotabi.com/

■2005.04.29 金王丸伝説 1

東京都渋谷区渋谷にある金王八幡宮を訪ねました。
繁華街の喧騒を離れ、ホッと一息つける場所だと感じました。

『平治物語』に源義朝の従者として登場する金王丸は、坂東平氏の渋谷氏の出身だとされています。
『平治物語』によると、金王丸は幼いころから源義朝に仕え、その最期までつき従い、常磐御前にその最期の様子を伝えた後に出家し、諸国を行脚して義朝の菩提を弔ったとされています。
渋谷区にある金王八幡宮には金王丸御影堂があり、金王丸の木像が祀られています。
江戸時代になって、金王丸を題材にした文芸作品が流行ります。
金王丸の旧蹟である金王八幡宮は、江戸庶民の遊興地として賑わいました。

金王丸御影堂

渋谷氏は、坂東八平氏のひとつ秩父氏より出ています。渋谷氏に関する系図は数多く存在し、その系譜は必ずしも一致しませんが、秩父重綱の弟基家が荏原郡河崎(川崎市)を領して河崎氏をなのり、重家、重国と続き、重国が渋谷庄司と号しました。
金王丸は、金王八幡宮の社記によると重家の子とされています。しかし、「渋谷氏系図」によると金王丸を重家とするもの、重国とするもの、重国の弟とするもの、重国の次男高重とするものなどがあり、実在する人物であったのかどうかもはっきりとはわかっていません。
また『平家物語』の八坂・如白・南都本では、頼朝が差し向けた義経暗殺の刺客となった土佐坊昌俊の前身を金王丸であるとしていますが、別人と考えた方が良さそうです。

【参考文献】
『図説渋谷区史』
『新修渋谷区史』上、中
金王八幡宮参拝の栞
「保元物語・平治物語 人物一覧」『保元物語・平治物語』新日本古典文学大系

■2005.04.30 金王丸伝説2

金王八幡宮は、『金王八幡神社社記』によると寛治6年(1092)渋谷氏の祖河崎土佐守基家の創始と伝えています。
金王八幡宮のある高台一帯は、渋谷氏の居館跡でもあります。境内には砦の石と称する石も残されています。
金王八幡宮の金王桜は、江戸時代には三銘木のひとつに数えられる有名な桜の木でした。

金王桜

この桜の木に関する由来はさまざまです。
金王丸自身の手植えの桜であるとする説、頼朝の時に清水寺の桜を移したという説、義朝が金王丸に鎌倉亀ケ谷の桜を与えたという説、頼朝が金王丸をしのんで鎌倉亀ケ谷の桜を移し植えたという説。
『金王八幡神社社記』は最後の説で、頼朝が奥州より下向のとき、渋谷家重の家に宿し、金王丸をしのび、その忠義を賞して、鎌倉亀ケ谷の桜を移し植えたと伝えています。
現在の金王桜は何代目かの若木で、拝殿の横にあります。もとは大鳥居の傍らにあった池のほとりにあったようです。また氷川町の氷川神社にも金王桜とよばれる桜がありました。

川合康先生の日記ブログ「日本中世史を歩く」では、金王桜の開花している様子を見る事ができます。
http://blogs.yahoo.co.jp/kibamusya2005

金王桜の横には芭蕉の句碑が建っています。
しばらくは花の上なる月夜かな

【参考文献】
『図説渋谷区史』
『新修渋谷区史』上、中
金王八幡宮参拝の栞


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