■巻4
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■2005.04.03 頼政地蔵(伝説)


浄慶寺は、戦国時代に愛知から近江を経て京都へ移ってきたお寺です。近江に寺があったころ浅井家の庇護を受けた由緒ある寺院です。
なぜ頼政ゆかりの石地蔵があるについてですが、同寺の場所が、源頼政の邸宅跡と伝えられているからです。
頼政の邸宅について調べて見ました。
まず京内については、『京都古図』(仁和寺蔵)の左京二条四坊十五町に頼政邸が書き込まれています。大炊御門大路と東京極大路の交差する点の北西にあたります。現在の通名で言うと、大炊御門大路は竹屋町通、と東京極大路は現在の寺町通と御幸町通のちょうど中間あたりになります(東京極大路は、現在の寺町通に該当しますが、完全に重なるのは、三条以南です。三条以北では少しずれています)。
源頼政邸宅跡は御幸町通竹屋町上ルになり、浄慶寺とは少し場所がずれてしまいます(同寺は御幸町通竹屋町下ル)。
ただ、近世の地誌『都名所図会』などが、頼政の邸宅跡を「大炊御門(いまの竹屋町をいふ)京極の西にあり。」としているのを読むと、正確に何坊何町であることよりも、この辺りにあったという感覚で伝えられて伝説が生まれたのではないかと思います。
次に源頼政の京外の邸宅ですが、『山槐記』の治承4年5月22日条に「頼政入道家 近衛南 河原東」とあります。これが「近衛河原亭」で、以仁王の挙兵に際し、彼はこの邸宅に自ら火を放ち、出陣しました。
他にもこの邸宅よりさほど離れていない吉田山の麓に、「菩提寿院堂(『吾妻鏡』では「中山堂」としているが、菩提寿院堂との混同か)」を建立し、「山庄」がありました。
この京外の邸宅については、さらに考察してみる必要がありそうなので、いずれまとめたいと思っています。
※浄慶寺さんは、観光寺院ではありません。勝手に境内に入ることはできません。
【参考文献】
『平安京提要』『平安時代史事典』
『吾妻鏡』治承4年5月19日条・24日条
『山槐記』治承4年5月22日条・24日条

■2005.04.03 以仁王の御所

治承4年(1180)、後白河院の第2皇子以仁王(1151〜1180)は源頼政とともに挙兵します。挙兵は失敗に終わりますが、以仁王が発した諸国への令旨は、反平氏勢力の結集をうながし、諸国の源氏を蜂起させます。源頼朝の東国政権もこの令旨が拠り所であるとされています。

以仁王の御所は平安京の高倉小路西、三条大路北、東洞院大路東、姉小路南にあり「高倉宮」と呼ばれていました。現在の京都文化博物館、中京郵便局、京都市教育相談総合センターにあたります。
京都市東洞院通姉小路下ル東側の京都市教育相談総合センター(こども相談センターパトナ)には、「高倉宮跡」の石碑が建っています。

■2005.04.07 頼政の鵺退治

『平家物語』(巻4)によると、源三位頼政は2度鵺(ぬえ)退治を行っています。
一度は仁平年間(1151〜1154)、近衛天皇を夜な夜な悩ませた、頭は猿、胴体は狸、尾は蛇、足手は虎という妖怪を退治しました。
二度目は応保年(1161〜62)、二条天皇をおびえさせた怪鳥を退治しました。いずれの妖怪・怪鳥とも「東三条の森」から暗雲とともに御所へとやってきました。そして頼政によって射殺されます。
二条城の北側、二条児童公園には、鵺退治に関わる伝説地「鵺池跡」があります。
頼政が鵺を射た血のついた鏃を洗った池の跡だと伝承されています。公園に隣接して鵺大明神を祀る祠があり、鵺池の由来を記した「鵺池碑」が建っています。公園の池の中には、古い「鵺池碑」があります。
二条公園は2003年から整備工事が始まり、2005年4月にやっとリニューアルオープンしました。
下の2枚の写真は、新しくなった二条公園の鵺池と、公園から見た鵺大明神です。




さらに詳しくは、平安京探偵団の「鵺の鳴く夜は」をご覧下さい。

■2005.04.07 以仁王の墓

京都府相楽郡山城町の高倉神社には以仁王がまつられており、社前には以仁王の墓と伝えられる陵墓があります。下の左写真は陵墓を背後から撮ったものです。
以仁王は、宇治川合戦の後、奈良へ落ちていく途中、流矢に当たって亡くなりました。後世、村人によって神社境内に葬られたとされています。

■2005.04.07 悪しう候、浄妙坊

以仁王の陵墓のある京都府相楽郡山城町の高倉神社の南の田の中に、小さな円墳があります。
以仁王にしたがい宇治川の合戦で奮戦した筒井浄妙の墓だと伝えられています。

筒井浄妙といえば橋合戦。

浄妙坊が甲の手先に手を置いて、「悪しう候、浄妙坊」とて、肩をずんと踊り越えてぞ戦ひける

敵が渡れないように橋桁をはずした宇治橋で、平家の大軍を前に、三井寺の悪僧たちのパフォーマンスが始まります。
先に奮戦していた浄妙坊の頭の上を、一来法師が手をかけてさっと飛び越えます。


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