おしえて№674 投稿者 さとしさん
 昼間は「ひるま」と読みますが、夜間は「やかん」と読み、どうして「よるま」じゃないの?
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 手元の漢語辞典では「夕・暮・昏・宵・夜」の順序で呼ばれるとあり、又国語辞典では「夕方・宵・夜中・夜更け・暁・明け方・朝」の順とあるように、「夕→朝」の間は日没又は日の出前後の微妙な時間推移をも含んだ豊富な表現があるようです。漏れもあると思いますが、取り敢えず音訓取り混ぜて列挙してみました。
 「夕・夕方・夕暮れ・薄暮・暮れ・暮れ方・黄昏・宵の口・宵・晩・晩方・夜・夜分・夜中・夜更け・真夜・真夜中・深夜・夜半・夜間/未明・夜明け・早暁・暁・払暁・明け・明け方・曙・朝方・早朝・朝(・午前)」など。

 対して「昼」の間は「昼・真昼・昼間・真っ昼間・日中・白昼・昼日中・昼過ぎ・昼下がり(・午後)」などが挙げられますが、「昼過ぎ・昼下がり(・午後)」に関しては「正午」に対応させた言葉であるのは明かですから、「昼(ひる)=正午」の意味が含まれるようになった後に、区別する必要が生じて「昼間」を「ひるま」と訓読みするようになったとも考えられます。
 又、「ちゅうかん」と音読みされる事もあるとは言え、同音異義語の「中巻」「中間」などと紛らわしい事への配慮もあったでしょうし、「ちゅ」の拗音を避ける意図もあったかもしれません。尚、「日中」は「ひなか」とも読みますが、それは「昼日中」に当てられるのが普通ですから、結局「昼」の間を表現する適当な漢字は「昼」の字以外にはなかったと言えそうです。

 それと比較すると、夜の間には他にも豊富な表現があると同時に通常は人の就寝時間帯なので「昼=正午」のような時刻との係わりによる区別の必要もなく「夜(よる)」だけの表現でも事足りることから、敢えて「夜間」を「よるま(・よま)」と訓読みする必要が生じなかったと考えられ、又「やかん」には拗音(ゃ・ゅ・ょ)や促音(っ)が含まれないので素直に音読み出来たとも考えられます。(同音異義語の「薬缶」がやや弱点です。)

 上記以外では微妙な「間」の意味用法の変遷も影響したかもしれません。
 「雨間」とは「雨の降っている最中」ではなく「雨の降っていない間」を示しますが、「波間」では「波と波との間で、波のある所」を示す場合と、それとは反対に「寄せてくる波と、次に寄せてくる波との間で、波がない間」を示す場合とがあります。

 「間」が下に付く熟語で<時間>を意味する言葉には他に「雲間」「幕間」などがありますが、「雲間」は「一つの雲と次の雲との間で、雲がない間」、「幕間」は「幕の下りている間」を示すことになります。「雨間」「雲間」「波間(後者)」の「間(ま)」は、上にある名詞が表すものが「ない間」を示すものといえます。

 「等身に薬師仏を造りて、手洗ひなどして、人間にみそかに入りつつ・・・(更級日記)=等身大に薬師如来像を造って、手を洗い清めなどして、人のいない時に(その仏間に)しばしば入っては・・・」の「人間(ひとま)」とは「人のいない間」を表し、「ふるき軒の板間より、もる月影ぞ隈もなき(平家物語)=古い軒の板のすき間から、漏れてくる月の光はかげになる所もない(ほど明るい)」の「板間」とは「一枚の板と、次の一枚の板との間の、すき間になっている所」を表し、決して「板を張った部屋」を表す訳ではありません。

 以上のように古い時代には、単語の下に付いて熟語となる「間(ま)」は「物と物との間で、その物がない間」を意味していました。 ところが、その一方で「束の間」など「そのものの範囲内にあること」を示す用法が登場してきて、そちらを意識することが多くなり、「波間」のように旧用法と新用法とが混在するものまで出てくるようになった沿革があるようです。

 旧と新の用法で「なし」「ある」と意味が相反する中、「間(ま)」の表現には微妙な問題を含んでいたのは確かなようです。
参考図書:『読み物日本語辞典(中村幸弘著)角川ソフィア文庫』
のんきさん

  もともと、朝間(ちょうかん)、昼間(ちゅうかん)、夜間(やかん)と言われましたが、昼だけが便宜上訓読みになったのです。確かに「ちゅうかん」と発音すると紛らわしいですね。ちなみに私の祖母は朝のことを「あさま」と言っていました。
Tsuneさん

 夜間(やかん)の対義語は昼間(ちゅうかん)であり、昼間(ひるま)では有りません。昼間(ひるま)は、昼間(ちゅうかん)を訓読みしたものです。
 夜に対して、昼は、太陽が昇り、人間や動物が、活動している時間帯であり、訓読みな どの違った読み方が現れてきたのだと思います。  ちなみに函館弁では、朝のことを「あさま」というらしいです。
ガウリィさん

  そう読んでもいいけどみんなやかんて読んでるほうがいいやすいからだと思います。 昼間もちゅうかんて読んでいいのにそんな読みかたしてる人いないし。
さとしさんからの感想メールです。

 ありがとうございました。これだけすごい回答がいただけるとは思ってもいませんでした。
 乱気流さんの答えは間という語句まで掘り下げ、丁寧に解説なさってますね。
 本質をよく捉えられている方だと思います。 

 読みにくいとか紛らわしいとかいう言葉ほど変化していくという代表例なのかもしれませんね。
正答者の方々です。本当にありがとうございました。
ガウリィさん・乱気流さん・乱気流さん・乱気流さん・のんきさん・Tsuneさん

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