東武太田駅の段付きレール使用の跨線橋

1st wrote in 2000.12.03 / last update at 2002.10.01

 東武伊勢崎線太田駅の伊勢崎方の跨線橋は、その部材に段付きレールばかりが使用されているという珍しいもので、『鉄道史見てある記』や『鉄道考古学を歩く』にも紹介されている有名なものです。
 しかしながら、太田駅では駅周辺の高架化工事が進行中で、この段付きレール使用の跨線橋は撤去となってしまうようです。そこで、この跨線橋の姿を記録するために出かけてきました(→ 撤去されました)。
 以下は、そのレポートです。取材時点で、その跨線橋は使用停止となってしまっていました。なお、段付きレールを含む刻印のリストについては、本館の東武伊勢崎線(群馬県内)にリストしています。
(取材:2000.5.13, 2002.8.15)
 浅草方から見た段付きレール使用の跨線橋です。
 向かいのホームは使用停止中となっている旧上り線ホーム?です。
浅草方から見た跨線橋
伊勢崎方から見た跨線橋  伊勢崎方から見た段付きレール使用の跨線橋です。
 工事に伴いホーム上屋が撤去されているので、登り口の様子がよくわかります。
 下り線ホームの登り口の様子です。
 木製の欄干が付いているのがポイントでしょうか。ちょっと珍しいタイプです。
 すでに使用停止となっており、登り口が封鎖されています。

 ホーム上屋の作りも洒落ています。上端中央にギボシが見えるでしょうか。本当、壊してしまうのはもったいないです。

跨線橋の登り口の様子
段付きレール  これが段付きレールです。路面電車の線路に使うためのレールでした。
 ウェブ(中央のくびれ)が非常に薄いため、レールと言うよりH形鋼に近いイメージです。これで構造物を組むのは、ちょっと頼りないです。
 踊り場部分を横から見ています。
 段付きレールを複雑に組み合せており、苦労の跡が忍ばれます。
複雑に組み合わされた段付きレール
跨線橋の部材に折れ曲がりが見られる  最も低い部分には、梁に使われたレールがこのようにたわんでいる様子が認められました。
 両側の固定位置などから見ると装飾の一部ともとれるのですが、どうでしょうか?。疲労による折れ曲がりだとすると、寿命だったのかもしれません。
 結局、この跨線橋は撤去されてしまいましたが、太田駅の南口付近に、一部が形態を残したまま保管(放置)されています。高架完成後に保存展示してもらえるとありがたいですね。
 ちなみに、左側の柱は南口改札から延びている(延びていた)通路の柱ですが、これも古レールです。
跨線橋の部材に折れ曲がりが見られる
ホーム上屋が撤去された旧上り線ホーム?  旧上り線ホーム?の伊勢崎方です。ホーム上屋が既に撤去されていましたが、その支柱は古レールだったようです。
 古レールはこのようにして、人知れず消えていくのでしょうね。

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