その6

わしじゃ。
セージ、お前は、どんな釣り師を目指しているんか?
いきなり、禅問答ですか?
どんな釣り師って聞かれても、えーと、そうですね。大物をたくさん釣れる、
腕のいいフライフィッシャー、釣りのうまい釣り師ってとこですかね。
喝〜っ!
まだまだ、修行が足りんな!
えっ、いけませんか?
いかん。まったくいかん。心構えができとらん!
例えばじゃ、セールスマンが大きな契約を取る。エンジニアが優れた製品を開発する。
蕎麦屋がうまい蕎麦を打つ。・・・釣り師が大物を釣る、たくさん釣る。
それは、素晴らしいことじゃ。文句の付けようがないかも知れん。
でしょ。
しかしじゃな、
そんなことは、その人の、その人間の総合評価としては些細なことなんじゃ。
ほかの人が「あの人は・・・な釣り師だ」という時に、評価の目安になるのは、
そんな結果や成績みたいなことではないんじゃ。
優秀なセールスマンが狡猾であったり、優れたエンジニアが協調性に欠けたり、
うまい蕎麦屋がケチだったりする・・・腕のいい釣り師が・
それは、つまり、釣り師の前に、人間として、ということですか。
そうじゃ。
だって、それは性格ってことじゃないですか?
いや、そうとは限らんぞ。性格だけではないんじゃ。
日常のちょっとした振る舞い、言葉使い、仕草、人に対する接し方、・・・
そういった、毎日毎日の、ひとつひとつの生きざまを総合したところに、
その人間の本当の評価が生まれるんじゃ。
う〜ん、よくわからないけど。でも、目標にする釣り師とは関係ないでしょ。
喝〜っ!
ぜんぜん、わかっとらんな、お前。
釣り師は、釣りが日常なんじゃ。
つまり、お前の釣り、お前の釣り方は、お前そのものなんじゃ。
はあ。
でも、それって、よく言われる
「釣りには、その人の人間性がよく出る」って話じゃないですか?
・・・・・・
ピンポ〜ン。当たり〜!
げっ、いやな予感。
簡単に言うとそうで〜す。あったり前のことで〜〜す。
ちょっと遠まわしに、人生論的に語ってみました〜。
また、やられた。それだけの話でこんなに引っ張って!
1行で済むでしょ!あ〜ムカツク。
前回のキコリの話があるからな、ちょっとフェイントかけてみたんじゃ。
今回はわしの勝ちじゃな。
勝ちとか負けとかじゃないでしょ!
ちなみに、わしが目指しているのは、
「ボケもツッコミも両方できる釣り師」で〜す。
・・・今日はここまでで〜す。
人間性がよくでてるわ!

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