1. は じ め に1st wrote at 1999.10.30 / Last update at 2003.09.18
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1.1 序 |
鉄道駅のホーム部分の屋根を見ていると、柱や梁として鉄道用レールが使われているものを見かけることがあります。また、跨線橋の柱や梁にも鉄道用レールを見かけることがありますし、鉄道用地への立ち入りを防ぐための柵に利用されていることもあります。
鉄道の歴史を綴った書籍などによれば、これらの中には20世紀初頭に製造されたものが含まれていることがあります。これは何と1世紀前のレールと言うことになります。それどころか、1870〜1890年代のレールが見つかることもあります。 実際調べてみると、これらの鉄道用レール(以下、「古レール」と呼ぶ)は、実に身近に存在し、しかも19世紀製に代表されるような貴重なものが時々見つかります。その「宝探し」的感覚が面白く、いろいろ調べているうちに、手元に古レールの調査結果が溜まってきていました。 ところで近年、日本の近代化を支えた建造物などを近代化遺産として、見直す気運が高まっています。近代化遺産の中には鉄道施設も含まれていますが、それとほぼ同時期の遺産である古レールには、ほとんど光が当てられていないのが現状です。 そこで、古レールに関する自分の調査結果を公開するとともに、古レールの存在を広く世間にアピールすることを考え、古レールのホームページを開設することとしました。 |
日本最初の営業鉄道(新橋−横浜)で使用されたと思われるレール。1870年製。 |
1.2 雑 記 |
(1) 古生物学ところで、「レールの趣味的研究序説」を越えることを目標とした場合、自分にはどのような手法(KNOW HOW)があるのか考えてみました。私は大学で地質学を学んでいた経歴があり、その1分野として「古生物学」の講義も受けていました。古生物学とは、昔の生物のことを研究する分野のことで、恐竜の研究などが代表例でしょうか。古生物学では、化石やそれが含まれていた地層などから得られる情報が答えを導き出す鍵となりますが、いずれも生きていたままの完全な状態で残っていることが希であることから、それを推測していくような手法がいろいろと確立されています。一方、古レールについても、刻印が完全な形で読めないことも少なくなく、共通点がありそうです。 そこで、ここでの古レールの調査・研究方法としては古生物学的な手法を導入して行ってみようと思っています。すなわち、このサイトの一連のコンテンツについては、「古レールの古生物学的研究」という論文タイトルが付けられるようなものとしていきたいと考えています。 例えば、古レールの刻印の列挙の方法について、読んだ(読めた)ままのデータを提示し、その集積から、間違いなどを正して行くことにしました。前者が記載的な部分で、このサイトでは路線・駅別のリストとしました。一方、私の解釈を加えて一部修正を行ったもののリストを製造者ごとのリストとして提示するといった工夫を行っています。
(2) 出張話しは変わりますが、私が現在勤めている会社は建設関係で、地方への出張が多いという特徴があります。出張による移動を利用すると、各地の古レールを調査することが可能です。古レールを調査するには好条件に恵まれていると思っています。ここの見込みがあったからこそ、古レール研究という道に足を踏み込むことにしたとも言えます。 ちなみに、出張先での列車待ちの時間等を利用して古レールの調査をしています。待ち時間を潰すこともでき、一石二鳥です。 |
1.3 謝 辞 |
古レールに関する調査の方法、読み方の方法については、@nifty
の鉄道フォーラム専門館の鉄道歴史談話室に参加の皆さんに、ご指導していただきました。また同会議室に参加の皆さんとは古レールに関する情報の交換など、たいへん刺激を受けております。
北海道室蘭市にお住まいの新日本製鐵の関連会社の社員の方から、新日本製鐵株式会社の会社概要パンフレットと新日鐵のレールのカタログを頂きました。レールと製鉄に関する正確な情報や、近年のレール事情を理解する上で大変参考となりました。また、北海道にお住まいの太田幸夫様からは、古レールに関する雑誌記事や新聞のコピーなどを頂きました。 星野真太郎 様 ならびに小平貴詞 様、石井雅康 様 には、古レールの調査に同行あるいは案内していただいたほか、情報の交換や叱咤激励を頂き、大いに刺激を受けました。 以上の方々の協力なしには、このウェブサイトを築き上げることはできませんでした。ここに感謝の意を表します。 なお、古レールに関する諸情報源としては、西野保行・淵上龍雄の両氏により鉄道ピクトリアル誌上に連載された「レールの趣味的研究」を大いに参考とさせていただきました。古レールに関する情報を改めて調べ直して行いけば行くほど、両氏の調査量の膨大さには頭が下がる思いです。あのような調査をなされていたこと、さらには公表されていたことには、大変感謝をしております。 |
筆者が見た中でも新しい部類のレール(現役敷設レールを除く)。1980年新日鉄製 |
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