干し柿のススメ

田舎で晩秋の風物詩といえば、干し柿。
軒先に吊るされた干し柿を見ると冬の到来を感じますね。
最近は干し柿を作る家も少なくなっていますが、作り方は至って簡単なのでぜひとも自分で作りたいものです。

そもそも、柿は日本古来からある果物のひとつで、世界的にも"kaki"で通用します。中国でも紀元前から栽培されていたという記録が残っているそうです。また柿には大きく分けて渋柿と甘柿があり、現在、甘柿としておなじみの富有柿が栽培されるようになったのは江戸時代以降で、柿の歴史から言うと比較的新しいということになります。
それ以前の柿はというと、やはり独特の渋味があり、その渋味を抜くためにいろいろな知恵と工夫が生まれました。そのひとつが干し柿なのです。

では、どうして干すと渋味が抜けるのでしょう?
それは、柿の渋味のもと「タンニン」の性質にあります。
渋柿が渋いのは、果肉に含まれるタンニン細胞の内容物が水に溶けやすいため、果肉を包丁で切ったり、口で噛んだ時に、タンニン細胞が砕けてその内容物が流れ出してくるからです。 渋柿も熟してくるとだんだん渋味が抜けてきますが、これはタンニン細胞の内容物が凝固して溶け出さなくなるので、渋味を感じなくなるわけです。
また、干し柿の表面に付く白い粉は、乾燥によって濃縮された糖液が結晶となったもので、ブドウ糖と果糖の混合物なので全く心配はありません。
それから、乾燥についてひとこと。スーパーなどで安く売られている干し柿は、大量生産のため、自然乾燥ではなく、カビ防止のため乾燥室で硫黄を加熱した亜硫酸ガスを使っているのも多くあります。
ですから、おいしい干し柿は手作りに限ります。

さて、前置きはこれくらいにして、わが家の干し柿の作り方をご紹介しましょう!



干し柿に使われるのは、主に渋柿と呼ばれる写真のような卵型をしています。また、紐に吊るしやすいようにTの字の枝付きのものを使います。

まずは、皮むきです。ひとつひとつ丁寧にむいていきます。柿は縦にくぼみが走っているので、円状にむくより最初にヘタの周りをくるっと1周むき、そのあとは縦にむく方が簡単です。くれぐれもすべらせて手を切らないように・・・。

次の工程として、むいた柿をさっと湯に通すと表面の渋が抜けたり、カビが生えにくくなるといわれていますが、渋柿の渋には本来防腐効果があるので、気温が高くなりすぎたり雨がかからなければ、そのままでも大丈夫です。
全部皮をむき終わったら、ビニール製の縄に適当な間隔で枝の部分を引っ掛けていきます。

最後にいよいよ、「つるし」です。
雨がかからない風通しのよい場所、つまり軒先がベスト。
これからの季節、朝晩の気温がグッと下がり、甘味が凝縮されていきます。1ヵ月ほどして表面が褐色になった頃、安保(アンポ)柿として食べるのもおいしいです。またその頃の干し柿を指で軽く揉んでやると中の繊維が切れて渋が抜けるのが早くなります。

さあ、この秋は、昔ながらの知恵と工夫を生かし、自宅で干し柿作りをされてみてはいかがでしょう・・・。
2000.11.6
ホーム田舎の食卓