自然流栽培のススメ(1)

1.はじめに

ここでは私が狭いながらも自家菜園で実践している栽培方法についてご紹介したいと思います。
それは雑草を抜かず、自然界の昆虫や小動物を敵としない栽培方法で、私自身は「自然流栽培」と呼んでいます。
おいしい野菜を食べたいと思って家庭菜園を始めたものの、病虫害に悩んでいらっしゃる方々に少しでもお役に立てれば幸いです。
自然流栽培といってもマニュアルのようなものは何もありません。
もし強いてあげるすれば、なるべくあせらず気長に観察するということでしょうか。
野菜を育てること以外に、昆虫をはじめ自然界のさまざまな生き物の生態や役割がわかれば、さらに野菜作りが楽しくなってきます。



2.野菜作りの常識と非常識

「野菜作りはよく耕し、草を抜き、肥料をたっぷり与えよ。」
これが野菜作りの基本であり、常識のように思われています。もちろんこのやり方で野菜はきちんと育ってくれます。
しかし、この言葉を信じて野菜を作っている大勢の方々がさまざまな病虫害や生育不良に悩ませられているのではないでしょうか。
それはいったいなぜでしょう?その答をひとことで言うと、どこかに不自然や無理が生じているからではないか、と私は思うのです。
自然流栽培では土をなるべく耕さず、雑草を抜かず、肥料は完熟堆肥や完熟有機肥料を元肥中心に施します。一見非常識と思われがちなこの栽培法ですが、私自身の経験から病虫害を最小限に押さえるのに、たいへん効果的な栽培方法だと思っています。



3.自然流栽培って?

一般的に、農薬や化学肥料を使わず、堆肥を中心とした有機肥料を用いて野菜を育てることを「有機栽培」と呼んでいます。
そこから、雑草を抜く手間を省き、昆虫や小動物といった自然界の生物と共生し、さらには無耕耘、無肥料で野菜を育てるのがいわゆる「自然農」です。しかし「自然農」の畑にするまでは最低数年から十年はかかるといわれています。
家庭菜園では最初から無耕耘、無肥料で野菜を作るというのはなかなか難しいので、従来の有機栽培から一歩進んで、土をなるべく耕さず、雑草は抜かず、昆虫や小動物たちと共生してみてはいかがでしょう。これが「自然流栽培」の考え方です。


4.現代の野菜は健康か?

今日、私たちがスーパーなどで購入している野菜のほとんどが、農薬や化学肥料を使い、外観重視で生産された野菜です。また、本来の旬を無視して市場に出回っている野菜は、昔の野菜より栄養価が極端に減少していることも事実です。

さらに「指定産地制度」という政府が決めた割り当て制度をご存知でしょうか?
例えばAという地域では毎年何月にキャベツを何トン出荷できるように作付しなさい。またAから離れたBという地域ではAから1ヶ月遅れで何トン出荷しなさい、というものです。これは野菜の市場価格安定と通年(あるいは長期間)供給を目的としています。作付地域を複数指定したり、地域によって作付をずらしたりするのは天候不順や災害(台風など)による供給不足を補うためです。
一見なるほど・・・と思える制度ですがこれによる弊害もあり、そういった産地では、特定の品種の野菜だけをやむをえず毎年連作しなければなりません。そして連作による病虫害を防ぐために、毎年繰り返し畑を消毒しているのです。
ところが、その結果病原菌だけでなく野菜の生育に必要不可欠な土の中の有用な微生物もすべて死んでしまいます。そうなると野菜はますます病虫害に弱くなるので、どうしても化学肥料や農薬に頼らざるをえなくなるのです。こうした畑で作られた野菜は本当に健康といえるのでしょうか?