少年よ田んぼで遊べ!〜カブトエビに学ぶ〜

最近残念に思うことのひとつは、田んぼで遊ぶ子供たちをめったに見かけなくなったこと。都会の子供ならまだしも、田舎の子供たちでさえも・・・。
今回はそんな子供たちに贈る、正しい(!?)田んぼの遊び方なのだ。

梅雨の谷間のある日、家の前の田んぼではわが家の長男(左から2人目)と近くの子供たちが何やら田んぼの中を覗いて探し物をしていた。
「こっちにいたよ〜!」
「どこどこ〜?」
楽しそうな会話が聞こえてくる。
う〜ん、なかなか田舎ならではの光景ではないか・・・。
というわけで彼らの様子を、傍で少し観察させてもらった。

しばらく見ていると、彼らはどうやら田んぼのいろんな生き物を見つけては、手網や素手ですくって採っている。
この日、田んぼで見つけた生き物は、カブトエビ、ホウネンエビ、オタマジャクシ、ミズスマシ、ミズカマキリ、アメンボ、ミズグモ、ヒルなど。人間の生活に密着した田んぼにも実にたくさんの生き物が暮らしているのだ。
今回子供たちが一生懸命捕まえようとしていたのは、カブトエビと緑色の体をしたホウネンエビ。
特に泥の表面を這いまわっているカブトエビは、もしかしてご存知ない方も多いかもしれない。
では、少しその生態を紹介するとしよう。

カブトエビは、実に3億年以上前から生き続けていると言われ、日本では関東より西に分布する生き物。体長2〜3cmで主に田んぼに生息している。(岡山では海水に住むカブトガニの方が有名だが・・・)
昔から、「田んぼの草取り虫」と呼ばれ、主に、田んぼの雑草や浮き草、藻類を食べている。時にはミジンコやミミズ類、小さなオタマジャクシまで食べることもあるので雑食性といってよいだろう。
カブトエビの寿命は長くても3〜4週間。思ったより短い一生で、その間にメスは田んぼが干上がってもいいように硬い殻に包まれた卵を泥の中に産む。これこそ田んぼという人間のテリトリーの中で、永らく生き延びてきたカブトエビの知恵なのだ!

上の写真ではその色や姿から、一見オタマジャクシと見間違うかもしれないが、尾っぽが2本に分かれている。体はエビと同じく薄い甲殻で覆われている。右の写真では、かわいいちっちゃな目が2つあるのがお分かりいただけるだろうか?
苦労の末、数匹捕まえたカブトエビをしばらく観察していると、うち2匹が体をくねらせるようにして脱皮した。カブトエビはこうしたユーモラスな風貌から子供たちの人気者なのだ。

ところが、近年田んぼの農薬使用や水質環境の悪化でカブトエビも徐々に姿を消しつつある。
メダカが絶滅危惧種になってしまうこの時代。「環境を大切に!」と叫ぶより、まずはこうして子供たちが小さな生命に触れ親しんでもらうことから始めるべきではないだろうか?
この子供たちが大人になった頃、果たしてまだカブトエビは「生きた化石」でいるのか?あるいは“本当の”「化石」となってしまっているのか?

少なくとも彼らはカブトエビを守る心を持った大人になってくれるに違いない・・・。
少年よ田んぼで遊べ・・・。

2001.7.3

 
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