音楽・道楽
2002年10月秋葉原の旅

⑤ 聴いたっっっっ 夢の音
  いろいろな音の体験をすると我が家の音とどうしても比較しますし、気になるところです。実は今回の旅で一番感動したのは「ダイナミックオーディオ サウンドパーク」というお店でした。一番上の階にはやはり高級機の展示があります。その聴いた組合わせはJBLのS9800というスピーカーをLINNのCDプレーヤー、アンプの組合わせで鳴らしたものでした。LINNの製品はCDプレーヤーもアンプも驚くばかりに薄く、ファッショナブルな製品です。日本のミニコンポと比べてもこれだけ薄い製品は珍しいです。ボタンなども必要最小限で、日本の機械を見慣れた僕たちにはどう見てもオーディオの製品とは思えません。それがJBLの大きなスピーカーを鳴らしていくのです。驚いたのは製品のデザインではありません。もちろん、音がいいからです。聴いたのはJAZZのピアノトリオですが、ピアノの音もベースの音も、何もない空間にポッと出現してきます。スピーカーから急に音が出ると書くと、そんなの当たり前だと思われるかもしれませんが、高級機を聴くと一番違うのは楽器の音とその周辺の何もない空間の違いがいかに明確かということです。考えるとわかりますが、スピーカーというのはその一つからさまざまな音を生み出しています。そのときにはもちろんスピーカー全体から音が出ています。ピアノの音をひとつ出しても、そのためにはスピーカー全体から音が出ているわけです。そのひとつの音を、実際の音のようにいかにひとつに、周辺の無音の空気と分けて再現するかが難しいのです。楽器をいくつも使う演奏では、それらをひとつひとつ鳴らし分けて行かなくてはなりません。無音の空間を無音においておけることが、高級機の一番の魅力なんです。人間は普通出ている音の方に注意が向きます。ピアノの音が出れば、その音の方を聴こうとする傾向が強いのです。だから、安い機械でも音がはっきり聞えていれば、そこにノイズがあり、楽器の周囲の音が無音になっていないことには気がつきません。しかし、無音の状態、楽器が空間の中に浮かぶような明確さを一度聴くと、初めて自分がいつも聴く音がこんなに無音でなかったのかと感じるのです。そして、無音ができると楽器や演奏そのものがより重要になるわけです。今回聴かせてもらったシステムはこうしたことがスゴくよくできています。非常に感動しました。特に低域の表現は圧倒的です。低域の音を出すにはスピーカーの振動が大きくなります。振動が大きくなれば、音の波はよけいに発生しやすくなります。そのために無音を作ることがとても難しいのです。低音はこもったり、固まったりしやすいわけです。ピアノの音が出たとき、弦を叩く音だけでなく、それがピアノの胴に響き豊かな音に広がっていきます。強く、一音一音がお腹の方にまで伝わってきます。リアルな音です。ベースの弦も中央にしっかりと立ち、音がはじけるたびに震えています。システムの価格としてはやはり1,000万を越える組合わせ。夢の組合わせです。

LINN
 薄い。日本で見慣れたステレオと明らかに違う。それなの力強く、躍動感も十分に再現できる。ステレオで二台使うと240万。CDプレーヤーもほぼ同じ価格。プリアンプは少し安いがそれでも100万円を超える。こんな機械を使っている人がいるんだなぁ。

⑥ 我が家の音 その2
 この音と我が家の音はもともとの質がまるで違うのですが、音のバランスとしても気になる違いがありました。今回の旅の目的であるマルチプレーヤーの導入とも関係がありますが、我が家は今DENONの有名高級プレーヤーDCD−S1と別れを告げて、安いDVDプレーヤーがメインの地位にいます。この変化の大きなところはDCD−S1の中低音の響きに少し飽きていたことと、DVDプレーヤーの音の出し方が映画再生を意識したのか、ハリのある押し出す感じの音をバランスよく出していたことにあります。簡単にいうと音楽的な豊かさをやめて、メリハリのある音の躍動感をとったという感じになっています。これはもともとのシステムの組み合わせの問題もあって、本当ならアンプの交換をしたかったところだったのですが、偶然買っていたDVDプレーヤーがそこそこの音を出してくれたので、思い切ってDCD−S1を手放したという経緯があります(売れたお金でSPケーブルを買ったわけですが)。その上ケーブルも中高音のストレートさを生かすTMDというメーカーの単線のものに変えました。他にも低音の緩さを引き締めるための工夫をしてきました。そう思うと我が家のシステムは中低音重視の音から、中高音重視の音に変わったということもできるわけです。実際に変更後はJAZZでもサックスやトランペットの入ったワンホーンカルテットの演奏を聴く割合が増えています。その中で最近気にしていたのはピアノの胴の響きです。弦を叩く直接音は今のシステムでもよく出てきます。問題はその音がピアノ本体に響いていく時の再現です。うちはそこが出ません。ベースでも同じです。弦をはじき、それがまた胴に伝わって力強さが出ます。楽器の存在感がそこに出るわけです。先の音を経験するとやはりここにはっきりと物足りなさを感じてしまうというのが正直なところです。それでもう少し音のバランスを考えてみることにしました。

 といっても、低音を緩めるというのは嫌なわけです。
低音をもう少し出しつつ緩めない。そこを今後の目標にしたいと思いました。実際、我が家はまだ緩んでいると感じているのです。次にDVDプレーヤーを入れ替えるとして、どこから手をつけていけばいいのでしょう。。。
 頭の中には気になっていることがまずひとつありしまた。天井です。システム全景、スピーカーのアップの写真をごらんになればわかるとおり、我が家はスクリーンを張るためにスピーカーの前に突っ張り棒が渡してあります。この突っ張り棒にもレゾンナンスチップを張ったりしていますが、もっと気になっているのはぺらぺらの合板で張ってある天井です。突っ張り棒の振動がこの天井を響かせているように以前から感じていました。しかし、そうはいっても天井をどうすればいいのか、わからなかったのです。最初に考えたのはオーディオ評論家の江川三郎先生が考案した「浮き雲」。これは天井に吸音材を吊すことで、定在波と言われる振動の溜まりを吸い取ってしまおうというものです。しかし、これだと天井板の振動そのものには効果がなさそうです。天井の工事をすればいいわけですが、借家の身はこうしたことで悩むわけです。結局、苦肉の策というところで、試してみたのは「音楽・道楽」でよく使っているレゾナンスチップ・クライオを張ることでした。ネットではスピーカーの後ろの壁に張ると効果があると言われています。これを突っ張り棒に合わせていくつか張ってみました。同時に突っ張り棒にはJ1プロジェクトのスペーサーをはさんでいます。

 やってみるとこれは驚きの好結果です。実際、音楽をかけて天井を触ってみたら予想以上に振動が伝わっていたので、レゾナンスチップ・クライオのような小さなものでどれだけ効果があるかとあきらめていたのです。しかし、さすがにレゾナンスチップ・クライオはがんばりました。左右と中央のあせて3列12コを張りましたが、音全体のふくらみがとれて、はっきりと楽器の実態度が増しています。低音だけでなく、これは全ての帯域で音のブラッシュアップしてくれました。天井がこれだけ悪さをしていたとは。オーディオはなんでもやってみるべきですね。このついでに普段は使っていない蛍光灯もはずしてしまいました。

 もう一つは「エンゼルポケット」で見つけました。先の8N電源ケーブルの話の中に、ケープルをなんで包むかという話を書きましたが、それでふと思いついたことです。我が家のスピーカーDS−8000Nはネットワークが外付けになっています。スピーカーケーブルは一度外付けのネットワークBoxにつながれて、ネットワークBoxからさらにスピーカーにコードがのびているのです。このネットワークBoxからのびているコード。このコードを8N電源ケーブル同様に何かで巻いてしまうというのはどうだろうかと。8N電源ケーブルは備長炭を和紙に刷り込んだものでしたが、僕が選んだのはもう一つ評判の高かったミスティックホワイトという特殊繊維です。低音用のコードに巻いて、よけいな振動などを吸収してもらいたいという狙いでしたので、振動吸収率の高い方を選んでみました。これも「エンゼルポケット」の新製品で、通常はシート状になっているミスティックホワイトを包帯のように帯状にあらかじめ切ってしまったものです。これならケーブルを巻くときも包帯を巻く要領でぐるぐると巻いてしまえば簡単です。商品名は「ホワイトラブ」。これを巻いて、最後にはアセテートテープでもう一度巻いて固定してしまいます。初日に見つけて、帰りの日に購入してきました。今回の旅のおみやげと言うことです。帰宅してから実際にやってみます。各1メートルほどのケーブルをぐるぐる巻きにしましたが、「ホワイトラブ」ひとつでなんとか間に合いました。

 いやいや、これも結果上々でビックリです。これまで気にしていた低域のゆるみ加減が一気に解消さて行きます。これを一番最初にやればよかったと思うほどです。マニアの間ではネットワークそのものを自分で作ってしまう方もおられるのですが、僕のように不器用な文系人間にはちょっとできません。でも、こんな包帯を巻くだけで、効果があるなんて。。。やっぱりオーディオの世界というのは本当に不思議です。

天井のチップ
かなり見にくいですが、赤い○で囲んだところが天井のレゾナンスチップ・クライオを貼ったところです。黒い点が見えるかなぁ。黄色い○で囲んだところが突っ張り棒と天井の接点。青いものが間にはさんだJ1プロジェクトのスペーサー。これだけでも天井の響きがかなりおさまった。

ホワイトラブ1 ホワイトラブ2
右の木の箱がスピーカーのネットワークBox。このケーブルをスピーカーにつなぐようになっている。ケープルは下が通常の状態。上がミスティックホワイトを使った「ホワイトラブ」でぐるぐる巻きにした状態。 「ホワイトラブ」で巻いたケーブルをさらに「アセテートテープ」で巻く。これでほどけない。見た目も締まるし、音も締まる。巻いたのは低音用のケーブルのみだけど、今まで不満だった低音の緩さが解消された。
 音のスリムアップ作戦はここまでやりました。そして、今悩むのは低音の問題。まずひとつやったのはBBE482の低音コントロールを半目盛り分上げること。スピーカーの高さを少し下げるのがよいように思うのですが、これは足の高さを変えることになるので、また新たな問題にぶち当たってしまいます。年末にDVDを入れ替えるなら、よけいな出費は今はできません。これでも以前に比べると低音の出方はいい感じです。先の対策でよけいにふくらんだ部分がないので、低音が出ても甘さが気にならないのです。さらにもう一つ検討しているのがサブ・ウーファーの使用です。こちらはまだ実験中です。AVアンプの設定を変えれば、映画の時だけでなく、音楽再生時にもサブ・ウーファーを鳴らして低音の補強ができるのですが、うちのサブ・ウーファーはかなりの安物。よけいな低音で音を濁したくはないのです。再生周波数を80〜50Hz程度にして、音量も下げ気味で実験中です。これもやってみると味付けにはなかなか効果があるようです。もう少し立派なサブ・ウーファーが欲しくなるかもしれません。あとは新製品のDVDを入れてから煮詰めようと思います

 さて、今回の旅でいろんな場所で高級機の見事な音を聴かせてもらいしまた。それで思うのは最近のスピーカーと我が家のスピーカーの音の出方の違いです。最近、非常に評判の高いB&Wというメーカーのスピーカーを聴くと本当に音が空中に浮かんで、本当にスピーカーから音が出ているんだろうかと思わされるほどです。先に無音をどう作るかということを書きましたが、こうした最新のスピーカーは無音を作るために、スピーカー自身から出た音ができるだけ早くスピーカー本体から離れていく、簡単に言えば飛行機雲のようにあとを引きずらない工夫がされています。こうしたことを「音離れがよい」などといいます。悪く作るとそのために音のパワーが早く切れたり軽い音になったりするのですが、B&Wはさすがにそうならないところが人気の秘密です。我が家のスピーカーはこうした最新型に比べて二世代から三世代前の技術のスピーカーです。音の出方は宙に浮かぶというよりは、テレビや映画のように面に描写するという鳴り方をします。これでも音は中央にしっかりできて、スピーカの存在も気にならないようになるのですが、再生される音楽の雰囲気がかなり違うのですね。最近のスピーカーは分離がよく、個別の楽器がよく再現されます。ビックリするような立体感も生まれます。我が家のようなタイプは音のエネルギーや雰囲気の濃さが魅力になります。僕はどうしても長年このタイプのスピーカーを聴いていますので、新しいタイプのスピーカーに馴染みにくい印象がありました。しかし、こうしていろんなスピーカーをまた聴くとそれぞれの良さもまた感じるわけです。JBLのS9800やウィルソンオーディオのシステム7はそのバランスがよく非常に感心しました。こうした目の玉の飛び出るような高価な品物は僕には買えませんが、あこがれの名機があることはいつまでもこの趣味があり続けることでもある気がします。2002年秋の旅はなかなか考えさせられる旅となりました。

 New York Trioの「夜のブルース Blues In The Night 」
(VENUS RECORDS)。
 「サウンドパーク」で聴かせていただいたのがこれ。響くピアノ、弾けるベースにシビレた。我が家のシステムではどう聞いてもそうした迫力は出てこない。ピアノやベースの胴が震える響きをいつか我が家でも聴いてみたい。そのときのためにこのディスクは大事にとっておかなくては。
 VENUS RECORDSでは、このほかにもかつての名盤を最新の技術で高音質に蘇らせるリマスターを出してくれている。


back home


メール