音楽・道楽
それは・・・「音楽・道楽」最大の危機!!!

ステレオ全景

 見るからにゴチャゴチャしていてお恥ずかしいんですが、これが我が家のセットでした(過去形)。大型のスピーカーと中央に32インチのテレビ。そして、その上に引き下ろし式のスクリーンのボックスが見えます。テレビの前にいるのが、ぬいぐるみの太郎です。

 それは突然やってきた。平成14年12月末。年末年始休暇も目前にせまる、その日。僕は上司に呼ばれ唐突に2月1日からの転勤命令を言い渡されたのだ。驚く暇もありゃしない。転勤するのはここから特急で2時間半もかかる場所だから、当然引っ越しもしなければならない。「引っ越しをする」。それはオーディオを趣味とするものにとって何を意味するのか・・・。

 いやはや、いきなり突っ走った衝撃の書き出しになってしまいました。でも、本当に衝撃だったんです。転勤の理由は産休で欠員が出るからということでした。僕はちょっと特別な専門的な仕事をしています。会社全体でも数名しかおらず、僕の担当の仕事は今の職場でも僕しかしていません。移動するところでも事情は同じ。僕は1ヶ月で他の人に今の仕事を引き継いで、僕自身もまた産休で休まれる方と入れ替わりに新しい職場に入るというのです。それだけでも十分にビックリする話です。今の仕事は僕が初採用で、それから9年かけて会社の中に仕事を作り上げてきたという面もあります。まだまだ未整理な部分もあって、仕事についても心に残るものがたくさんありました。
 そして、心配なのはもう一つ。何を隠そう、こちらに来てようやく見つけたのが今の住まい。「音楽・道楽」にとって最大の危機。オーディオと住まいの関係は思うより深く、難しい問題をはらんでいるのです。それは何か・・・。新しい住居探しのためにも少し整理してみることにします。

 オーディオと住まい。まず思いつくのは部屋の広さ。オーディオが趣味じゃなくてもこれは大事な要素です。生活を左右します。オーディオの場合、スピーカーの設置がまず大事になります。多くの場合、望ましいスピーカーの設置は後ろの壁や横の壁からスピーカーを離すこと。我が家のような大型のスピーカーにはこれが大事なんです。壁に近すぎると低音のコントロールが難しくなります。部屋の壁が響くのでどうしてもスピーカー以外の振動がよけいな音を作り出してしまうからです。ただでさえ大きいスピーカーを、壁から離して設置したい。壁にピッタリとくっつけるなんて、ちょっと考えられないのです。同じようにスピーカーとスピーカーの間もどうするか。中央にあく空間の処理です。できれば、ここにも何もおきたくない。どうしてもテレビなどを置く場合は、しっかり中央に置いて、左右のバランスを崩さないように配置しないと、音も左右が凸凹になって音の立体感が成立しなくなります。今現在、我が家のスピーカーは設置のために半畳分のスペースを占有しています。これが部屋の両側にあるわけですから、結果として壁の面が半畳前に来ていることと同じです。六畳間の短辺にこうした設置をしていると考えれば、これだけでもう生活スペースは一気に四畳半になるわけです。普通、ミニコンポであれば機械はスピーカーも含めてちょっとした棚に並んでしまうものです。ラジカセならぽんと置いてしまえばそれで終わり。移動も楽です。しかし、大きなスピーカーをうまく使おうと思うと、まずこうした問題が出てきます。

 さらに、部屋の大きさが必要な理由。それは映画のスクリーンを張るためです。プロジェクターで画面を拡大するには投射距離が必要だと書きました。スクリーンは80インチの大きさです。我が家のプロジェクターでは横2メートル、縦1.8メートルの大きさに投射するのに、距離は最低3.3メートル必要です。六畳間の縦が3.6メートルです。プロジェクターにも奥行きがありますので、これでぎりぎりの寸法になるわけです。ただし、スクリーン側はどうか。六畳間の短辺は2.7メートル。スクリーンの横が2メートルですから、残りの幅は70センチとなります。これが左右2つ分ですから、スクリーンを中央に張って、その両サイドにスピーカーを置くと、スピーカーに許される幅は35センチしかないことになります。我が家の大きなスピーカーはここでOUTです。スクリーンをスピーカーの前にかぶるように設置する方法もありますが、こうすると音がスクリーンにさえぎられるので音質がグッと悪くなる上に、スクリーンの設置位置がスピーカーの奥行き分前に来てしまいますので、投射距離が合わなくなります。スピーカーの前にスクリーンを張りたい場合はサウンドスクリーンといって、音をさえぎらないように工夫した特殊なスクリーンがあるのですが、評判のよいものはものすごく高価なんですね。僕には手がでません。こうして詰めていくと、我が家のシステムで考えたとき、オーディオルームは六畳ではダメだということです。最低でも縦横3.6メートルとれる八畳間がおのずと必要になるわけです。今使っている部屋は六畳間を横にして、そこに四畳半がくっついているという構造でした。間のふすまをはずしてしまって、変形の十畳という使い方をしていたのです。これが我が家のシステムにとっては理想の空間を生んでいました。


六畳間その1 六畳間その2 8畳間
①我が家のプロジェクターは80インチの画面サイズにするのに、3.3m必要。プロジェクターにも奥行きがあるので六畳間ではギリギリのサイズ。スピーカーが小型ならこれでも可能性は出てくるが、いかんせん我が家ではどうにもなりません。 ②さらに、スピーカーを置くとスクリーンが前に出てきてしまう。おのずと投射距離も短くなるから、80インチにはどうしても届かない。ここでは60インチが限界なよう。スクリーンがスピーカーにかぶると音はさえぎられて、こもった音にしかならない。ただ、最新のプロジェクターでは投射距離が短く、六畳間でも100インチを可能とするものもあるようです。 ③我が家の装置で80インチのスクリーンを設置して、大型スピーカーまで置くとなると、どうしても八畳間が最低ラインと言える。ただし、スクリーンには高さも考える必要がある。中央に何かを置くなら、低くく置かないと映像がかぶってしまう。映像を高く持っていくと、首を上にあげていなくてはならない。

 広さの関係も問題ですか、オーディオにとって部屋が変わることは単純にそれだけのことではありません。部屋が変われば空間の響きが全て変わります。「音楽・道楽」の記事を見てもらうと、スピーカーまわりから、電源まわりまでいろいろと工夫が凝らしてあることに気がつかれるでしょう。オーディオを趣味とする人は機械を買って、部屋で鳴らすようになってからさらに工夫をしているわけです。お店で聴いて「これだっっっ」と思った音は、家ではたいてい同じ音にはなりません。設置する床も、空間も、家の響きも、何もかも違うからです。それでやっぱり調整したくなります。我が家もそうです。部屋に置いて、音を出し、気に入らないところを修正していくわけです。そして、今の音になっています。
 我が家の場合は「ゆるんだ低音」をどうするかがここしばらくの課題でした。広さは理想でも畳敷きで築うん十年というよれよれの木造建築。スピーカーが中央に向かって傾くほどの床と、薄くペラペラの天上。それに合わせてセッティングを詰め、ケーブルを吟味してきたわけです。新しい部屋に移って、それがそのまま通用するか・・・。引っ越しを経験しているオーディオ好きの方ならよくわかるはず。ところ変われば音も必ず変わるのです。良くも悪くも変わります。よくなってくれなくてもいいから、気に入らないような音にはならないでほしいと願うわけです。床の強さはどうだろう、部屋の響きはどうだろう、ここでどんな音がするだろう・・・。これは実際に音を出してみないとわかりません。木造か、鉄筋かなどで床の固さなどは想像できますが、実際の響きは構造の影響も大きいので何とも言えないのです。結局、引っ越しをするということは今の音を捨て、音の調整をまたやり直すという覚悟がどうしても必要になるのです。

 このほか住宅の環境も大きな問題です。我が家が理想的だったのは、隣とも少し距離があいていたということです。考えれば一軒家を借りるなんてちょっと贅沢ですが、がんがん大音量で鳴らすわけでもない僕のオーディオ生活にしても、隣近所のことはやっぱり気になります。苦情が来れば、やっぱり困ります。薄い壁、弱い床と天上の筒抜けアパートでは具合が悪い。贅沢だとは思いながらも好条件がそろったこの借家を無理しても借りたのはすべてに「音楽・道楽」のためです。音楽をする人、聴く人にとって、騒音問題は一番の課題。この狭い日本で騒音を気にせずに暮らせる場所は多くありません。こうした人たちにとっては防音室がすべてのあこがれ、最終目標と言ってもいいくらいです。できれば次も一軒家を。隣近所と近くないところで。もし、マンションなら鉄筋が第1候補。階下に心配のない一階か、階下が駐車場かお店になっていること。もちろん、角部屋。それならお付き合いは隣と上のお部屋に絞れるというもの。それでも映画を楽しむには配慮が必要でしょう。特にハリウッドのドンパチ派手なアクション物はこれまでのように楽しむことはまず難しいと思って間違いがないところです。

 こうした数々の条件を満たす場所ははたして見つかるのかっっっっ。「音楽・道楽」はここまで来て、再び地道な影の暮らしに戻ってしまうのでしょうか・・・。「音楽・道楽」最大の危機が、今ここに始まるっっっっっ。



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