音楽・道楽
シンプル・ライフの夢 その2

 部屋をスッキリさせるには目障りなカラーボックスが2つありました。本棚として使っているのですが、これを外に出したいと思ったのです。この本棚も当初は部屋の響きが強すぎて、改善のためにわざわざ入れました。これを外に出すには変わりのものがいるだろうということで、ネットオークションで東京防音の「GAC−500」を落札してみました。設置場所はRWL−1が移動してあいたていたスピーカーの後ろ側です。本来なら部屋のコーナーで低音を吸収する「GAC−700」という製品を置きたかったのですが、オークションですから、思い通りのものというわけにもいきません。これもAP−5と似て、音をスッキリさせる効果があります。ただ、一番最後に設置したせいか、それほどビックリするような変化ではありませんでした。設置場所がスピーカーの裏ということで、中・高音の変化よりも、中・低音のすっきり感に効いていると感じます。これがないと全体にもっさりとした感じの音になり、特に低域の締まりがよくなったとは思いました。我が家のスピーカーは大きいので、「GAC−500」もすっかり隠れるくらいですから、よけいなものが目に入らないという当初の目的にもかないます。もちろん、カラーボックス2つ分の本は部屋から出すことができました。


 GAC−500はルームチューニング材の草分け的な存在で、古くからある。日本の狭い限られた空間にはありがたいものである。他の2枚に比べるとそこそこの厚みがあるのと、どう見てもスタイリッシュではない外観のために部屋で使うには苦労する。見た目を気にしないのなら良いが、それでは今回のテーマからはずれてしまう。できれば、もう少し外観を気にして欲しい。

 いろいろ試してきたのですが、最後にもうひとつ大きなおまけがありました。これもオークションのおかげです。音響上の我が家の問題点に大きく上げられるのが天井の形です。左側が高く、右側に低いという半円形の特殊な形状なのです。要するに左側の空間が右側より大きく、音のボリューム感が左右で異なるという特徴があります。これにはPIONEERのAVアンプが大活躍で、自動調整機能を使うことで見事に左右の音をそろえてくれました。しかし、それでもどうも再生音に高さの表現がつきにくいということをずっと感じてました。ここでも何度か取り上げているチェックCD「空と土」ではセミの声が演奏している部屋の高窓の向うから聞える感じになります。確かに演奏している楽器よりは高い位置で、その部屋の周囲を囲むように遠くから聞えてくるのですが、解説にあるように「降りそそぐ」というふうには聞えません。ただ、このCDはあちこちでかけてはいますが、「降りそそぐ」ように聞えたことはないので、高窓の向うからセミの声が聞えるというイメージも悪くないのかなと思っていました。このCDの販売を手がける秋葉原の「エンジェル・ポケット」でも聞いたことがありますが、ここは確かにセミの声がすごくはっきり聞えるのでビックリしますが、やはり、天から降りそそぐのとは違う気がします。どうしてそんなにセミの声がはっきり聞えるのかという不思議はありますが、聞え方は我が家とあまり変わらない気がしました。しかし、とうとうこの考えは間違っているということに気づかされたのです。
 その主役が同じ「エンジェル・ポケット」で販売している「浮き雲」でした。これはオーディオ評論家の江川三郎先生が提案したもので、構造もシンプルそのものです。見た目の通り、綿そのものといってもよいくらい。形を整えるために裏面はビニール素材の台紙が張ってありますが、けっして特殊な構造になっているわけではありません。以前から関心はあったのですが、それだけのものに1万円という価格は高いなぁと思って、二の足を踏んでいたものです。それがオークションでは3千円ほどで落札できました。我が家は天井が高いので、ハシゴなくしては天井に手は届きませんから、そのまま紐で縛って蛍光灯の傘に引っかけることにしました。軽い作りならではの設置法です。頭の上を見上げると、ちょうど自分よりやや前方の位置にぶら下がるようになっています。使用法でも、自分より前方の位置の方がよいとされているのでうまい具合になったかもしれません。そして、その結果ですが、これはまた久しぶりに驚くような結果になったのです。「空と土」のセミの声が頭の周囲に広がり散乱するような感覚ははじめて聞きました。「降りそそぐ」という表現に近くなってきた気がします。以前のセミの声は整然と並んでいるよう聞えるから「高窓の向う」という表現になるのです。しかし、「浮き雲」の設置後は、セミの声が相互に折り重なり、上下の幅が広く分散していきます。もしかしたら分解能としてはやや落ちるかもしれませんが、頭の上に広がってくるという感覚は新鮮です。どうしてこうなるのかは、よくわかりませんが、我が家ではそれだけ頭の上に無用な反射や固有のクセが乗っていて、本来の情報をマスクしていたということになるのでしょう。たまたま設置した場所のバランスも良かったのかもしれません。音質的にも高音にあったちょっとトゲトゲしく刺すような響きがなくなりました。また、セミの声以外の分解能ということでは少し上がっているように思います。楽器の立体感が以前より出てきました。たぶん、そもそもはこの立体感の向上が本来の効果なのではないかと思うのですが、セミの声の広がりは予想もしなかったもので、我が家での効果はかなり大きなものになったと言ってよいでしょう。


 天井というのは案外盲点かもしれない。我が家は高すぎること、左右が違うことに悩んでいるが、多くの場合は低すぎることに悩むだろう。その場合でも「浮き雲」に効果があるのかは不明。でも、実験してみる価値はあるかも。3個一組で1万円はやや高い。我が家でもそれで悩んだ。一個販売をして欲しい。もし、近くにオーディオ好きの友達がいれば、1セット買って分け合うこともできるけど。

 ここでも取り上げた「空と土」はいよいよ販売終了になるらしい。現在の我が家はシンプルになったけれど、音響的にはややデッドでになった。引っ越し当時に比べると「空と土」に入っているさまざまな雑音、騒音は良く聞き取れる。しかし、一方では以前ほどにはっきり、クッキリのオーディオ的な音調を求めなくなったせいもあるのか、セミの声もスリッパの音も犬の鳴き声も、相対的な音量は小さくなっている。本文でも触れたが「エンジェル・ポケット」でなぜセミの声が大きく聞えるのかわからない。それが適切なバランスであれば、我が家の音はそうでないことになる。しかし、その個性も含めて、これまでの経験の中では最もバランスの良い音にはなってきたと感じる。そして、それは特別なことのない中庸な音だった。



 こちらは我が家の配置を上から見た図。
 それぞれの縮尺は正確ではなくだいたいの様子がわかるようにしてあるだけ。スクリーンの後ろにいくつも設置してあるが、RWL−1の厚みは10センチで、ちょうど良く収まった。GAC−500は15センチなので、スクリーンの後ろでは、スクリーンが膨らんでしまう。しかし、スピーカーの後ろでは全く見えない。
 浮き雲も天井付近にあるから、実際には上を見上げないと見えない。ソファーは2人がけ用だが、中央が当然指定席だ。色分けで言うと、赤で示した「カラーボックス」「テレビ」「パソコンセット」がこの部屋でまず邪魔なもの。これでカラーボックスとパソコンセットの棚などは無事なくなった。
 こちらは正面から見た図
GAC−500は全く見えないし、その他の物もステレオの機器があるので、ほとんど気にならない場所に隠れている。視界に入るものはスピーカー以外全て顔より下の位置になった。この中で残る邪魔ものはテレビ。早く液晶の薄型に変えたいと思っている。
 スクリーンは100インチだが、カーテンレールでつっており、底辺はセンタースピーカーとちょうどギリギリのラインである。このスクリーンは黒い縁がないもの。このままでも収まりはよいが、スクウィーズ収録されている映画では縦にもまだまだ余裕があるし、横幅ももう少し広げられる。そうすると110インチのスクリーンを導入することもできるが、縁なしでは特注するしかないので我慢している。センタースピーカーは、フロントスピーカーのスコーカーとほぼ同じ高さで設置できた。

見よっっっっ、このさわやかに差し込む陽射しの美しさをっっっ

この形状のためにサイズは特注でしたが、ネットで買うとこれもかなり安かった。色はクリーム色にしたけれど、これも部屋の壁とマッチして正解。暗室のために部屋を暗い色で塗るマニアもいるが、我が家はちょっと遠慮したい。ロールカーテンだけではやっぱり隙間ができるので、映画を見るときにはやっぱり布で隙間を埋めています。この明るさのためなら、それくらいは仕方ないところ。


 ということで、いくつかの吸音材、反射材を導入してみました。現在の設置位置は図のようになっています。前方には常時スクリーンが垂れているのと、下半分は機械が設置してあるので、AP−5とRWL−1はほぼ見えない状態にあります。GAC−500もスピーカーの後ろで全く見えません。浮き雲は見上げなければ、全く視界に入りません。こうして4種類の製品を導入しました。今回まとめて紹介しましたが、実際にはこの経過は一年くらいかけて、いろいろとポジションや組合せを変えて行っています。現在の形はよく見ると3種類の製品が前方に並んでいるわけですが、実はこの方法を試したのはいろいろな方法を試した後でした。さすがに3つ並べるというのは考えなかったからです。しかし、やってみると非常にしっくりした感じとなりました。我が家の現状では効果も見た目もこれがベストの状態だと思っています。ポイントは音を反射させるRWL−1の位置で、この製品は中央によせすぎると音がわざとらしくなり、左右の位置がずれれば音のバランスがすぐに崩れるというくせ者です。狭い部屋なのでよけいにそうしたことを感じるのかもしれません。それに天井の浮き雲は考えもしなかった効果でしたから、我が家のように天井に疑問のある方は検討してみるとよいと思います。

 こうして我が家はカラーボックス2つ、小物を入れた棚2つを部屋の外に出しました。パソコンの19インチディスプレイも液晶に交換、窓を閉ざす布も取り払い、サイズ特注の遮光ロールカーテンを買って通常は窓からの明かりもどんどん入ってきます。さらに、スピーカーのセッティング位置も見直し、以前よりも間をあけて壁に近い位置に移動できました。現在視界に入るもので最も背の高いのはそのフロントスピーカーだけであり、あとは全て腰から下の位置に納まっています。ソファに座ってもすべて顔の位置より低いわけです。これで部屋の雰囲気は当初とはすっかり変わってしまいました。本当に広くなったとなぁと実感できます。残されたテレビも年末の地上波デジタル放送の開始にあわせていずれ液晶に変わるでしょう。我が家の部屋スッキリ計画はさまざまな吸音、反射材を導入しながら、こうして見事に成功したのでした。



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