■白河と六勝寺 2
▲home 


法勝寺跡

 京都市動物園からその北側にかけてのあたりが、六勝寺の筆頭寺院であり、「国王の氏寺」と呼ばれた法勝寺の跡です。承暦元年(1077)、藤原氏の別業であった白河殿を大幅に拡張して寺院としたものです。
 昭和20年代まで、京都市動物園の中には「塔の壇」と呼ばれる土壇が存在していました。法勝寺の象徴、高さ27丈(81メートル)におよぶ八角九重塔の跡でした。残念ながらこの土壇は戦後アメリカ軍が進駐した際に削平されてしまいました。そこに使用されていた花崗岩の布石は、動物園内の池の石橋に転用されています。また動物園の北側、二条通にそって、高さ約2メートル、東西約55メートルにわたって台地状の地形が残っています。この高台は、法勝寺の金堂の基壇の跡です。二条通に面した民家の前には金堂軒廊の礎石が移築されていましたが、先日探しに行ったおりには見つかりませんでした(下の写真は以前に撮ったものです)。

九重塔布石  金堂基壇 金堂軒廊礎石
15.九重塔布石   8.金堂基壇   金堂軒廊礎石

尊勝寺跡

井戸
5.井戸

 京都会館と武道センターをふくむあたりは尊勝寺の跡と推定されています。これまでの調査では、金堂の基壇と東側回廊・東塔・西塔・阿弥陀堂・五大堂・観音堂・西限築地・北限溝など多くの遺構が検出されています。

延勝寺跡

延勝寺庭石
10.延勝寺庭石

 発掘調査では、建物地業(地業とは建物の基壇の下の地固めのこと)の東辺部、中世の石組み井戸、庭園遺構が検出されました。遺構のうち井戸、庭石はビルの屋上に移築保存されています。
 
※ビル屋上には立ち入ることができません。

【参考文献】「六勝寺」(『リーフレット京都・83』1995年12月(財)京都市埋蔵文化財研究所・京都市考古資料館)

白河と六勝寺 1



▼平安京を歩こうindex
(C)平安京探偵団