作成日: 2002年 2月 10日   ( 3月 3日 修正 )

No.7  フィッシャーマン・ウィンドウ

 「フィッシュ・ウィンドウ」(魚の窓)とか「トラウト・ウィンドウ」(鱒の窓)という言葉はご存知かと思います。(「
毛鉤辞典」参照)

 ●「フィッシュ・ウィンドウ」とは・・・(復習として)

 水中にいる魚から、どんなふうに水面が見えるかというと、光の屈折と反射の作用により、頭上の丸い窓のような部分しか
 水面の外は見えないということを示した言葉です。図にすると下のようになります。
 

 

 この理屈は、別に魚に限ったことではなく、人もプールの底に潜って仰向けに寝て上を見ると全く同じものが見えます。
 (私は風呂でやりました(^_^;)・・バカでしょ。)

 水深が浅いと円錐状のフィッシュ・ウィンドウは小さくなります。
 渓流では、その窓にいきなり流下する虫やドライフライ(の空中にある部分)が現れるので、魚は慌てて飛びつくわけです。
 水中を流れてくるニンフなどは、かなり手前から見えているのでゆっくり対応できます。
 ところで、ジャンプして空中の虫を捕食するトラウトもいますが、水中からどんなふうに見て、ジャンプの狙いをつけているので
 しょう? 空中の輪を通り抜ける芸をするイルカにも聞いてみたい気がします。(笑)

  フィッシュ・ウィンドウが丸窓になるのは、渓流魚の眼がまさしく「魚眼」レンズのように(前後左右上下に)超広角だからです。
 いずれにしろ、窓として水面の外が「見えるか見えないか」は、「光が屈折(通過)するか反射するか」に対応しています。

 【 屈折 】
 光が角度のついた方向から水面を通過すると、水と空気の密度の違いにより、その速度に偏ったブレーキがかかり、
 進む方向が曲がります。これが「屈折」です。
 クルマに例えるならば、舗装道路から砂利道に斜めに突っ込むと、片側のタイヤが先に砂利道に入り、ハンドルがブレル
 (方向がズレル)のと同じです。真正面(垂直)から行けば、ズレません。(→入射角が垂直の場合、屈折は起こらない。)

 どのくらいの割合で屈折するかは、「屈折率」という数値で示されます。

 

 メガネやカメラのレンズは、水ではなく、ガラスやプラスチックの屈折(早い話が凸レンズ、凹レンズ)を利用しているわけですが、
 一般的にガラスの屈折率は1.6程度(屈折臨界角は約42度)です。

 補足説明
 ①入射角(反射角)、屈折角は、いずれも光の方向と、境界面(水面)の法線(垂直線)との角度。
 ②屈折率は入射角の正弦(sin)と屈折角の正弦の比です。
 ③(屈折)臨界角・・・屈折と全反射は紙一重ということ?
   英語では、屈折=Refraction 反射=Reflection う〜ん、確かにビミョ〜な違い。

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 ★さて、ここからが、このコンテンツの本題です。

 では釣り人から見るとどうなるか、つまり「フィッシャーマン・ウィンドウ」ということになります。
 (そんな用語はないと思いますが(^_^;))
 池型管理釣り場の例で考えてみました。 下の図です。

 (
これ、プール型だろ!

 

 ① 釣り人の5m先の水面上の1点(A)を通して、魚が見えます。(釣り人の目の高さは1.5m)

 ② 釣り人には、魚が釣り人の目とA点の延長線上のB点にいるように見えます。(これは「虚像」ですので、点線にしました)
    空気中の距離感をそのまま適用すると、8.33mの距離に思えます。もちろん、「錯覚」です。
    距離感のいい人は、もう少し手前にいるようにも見えるかも知れません。(手前の点線の魚)

    ※ 小学校の理科の実験で、お椀の底の見えないコインが、水を入れると見えるようになるのと同じ原理です。

 ③ 魚は水深1mにいるとします。つまり、今日のタナ(魚の泳層)は1mです。(
タナが簡単にわかるなら苦労はない!

    ※ 入射角(46.1度)が同じならば、魚が違う水深(AとCの延長線上)にいても同じ屈折、錯覚になります。

 ④ 屈折率(=1.33)から計算すると、(計算は省略) 本当に魚のいる場所(C)は、釣り人から6.04mの距離(水深1m)です。

 ⑤ ですから、マーカー釣りの場合なら、マーカーは5mでも8.3mでもなく、6mのところになるようにキャストしましょう!

 ・・・ということになります。

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 「フィッシュ・ウィンドウ」の図に「魚からは見えない範囲」(約5度程度)というのがありますが、
 フィッシャーマン・ウィンドウ的に考えると、この範囲からでは、どんなに眼のいい人でも水中の魚は見えません。
 もちろん、偏光メガネをかけても結果は同じです。まあ、そんな心配をするほど透明度のある池は少ないですね。
 
 ★
【補足】ページ

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水面を通して対峙する釣り人と魚。お互いに直視できない、もどかしさと苛立ちの中で、戦いは続く・・・てな感じでしょうか。


 
注記:
 このコンテンツは、私の考えを書いたもので、科学的には間違っている部分もあるかも知れませんので、ご承知下さい。


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