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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


第1シリーズ 6話 「十五歳の母 その3」

職員室では議論が紛糾、宮沢保(鶴見辰吾)に転校を勧める意見が出る。しかし金八(武田鉄矢)は二人の真剣な愛を尊重し、教師が逃げ出してはいけないと主張。その熱意は他の先生を動かす。

こうして金八、左右田(財津一郎)、天路(倍賞美津子)、服部(上条恒彦)による「愛の公開授業」が、保が同席したうえで始まる。愛の本質、無知の危険性、人の愛し方、性衝動と理性、生命の誕生とその大切さ、愛を育む能力等について、熱のこもった講義。と同時に、浅井雪乃(杉田かおる)が妊娠し出産を決意したこと、保が辛さを乗り越えて桜中学に留まると決意したことを3Bに報告する。

金八が最後に「宮沢を転校するはめに追い込みたくなかったので、皆にも一緒に考えてもらいました」というと、中尾友行(米村知晃)、九十九弥市(大堀英樹)をはじめクラス全員が二人を支えることに賛成、山田麗子(三原じゅん子)もカンパを提案する。

池内シカ(都家かつ江)の一押しで、雪乃は池内家で保護することが正式に決まる。金八は保の個人ノートに、「浅井に伝えたいことがあれば、このノートの終わりから使うように」と書くのである。

79年11月30日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 佐藤虔一

視聴率: 18.4%

DVD: 第2巻

参考文献・挿入歌

みどころ談義

● 十五歳の母シリーズ第一部の結びの回です。
○ 序盤、金八のまっすぐな意見。
● 「子供と一緒にあらゆる困難を越えていくっていうのが教師なんじゃないですかねぇ」ってやつですか。
○ そう。単なる妊娠事件ではなくて、雪乃の家庭の事情が雪乃にとって辛いものだという事、それを勇気づけようとする保の気持ちは純愛なんだ、だから教師が逃げたらダメなんだと。
● 徐々に方言が飛び出してくるほど熱を帯びてきますね。それで、前話で雪乃と保が決心したことを受けて、今回は教師が決心して腹をくくったと。これが長い金八シリーズの中でも指折りの名場面である「愛の公開授業」に繋がるわけですね。
○ 堂々たる性教育。いや性だけではなくやはり愛の教育。
● そうですね。愛を教えたんですよね。
○ 単なる精子と卵子の結びつきを教えるんじゃなく、愛の本質を教えた授業。先生自らが身近な例をフランクに話して分かりやすく教えるし、自分自身の成り立ちに関わることだと言えば生徒も食いつく。元々興味のない話ではないし。
● まぁ当然のことなんですが、この授業はは3Bだけにやってるんじゃないというのが、3B以外の授業風景が映ることで分かりますね。ちなみに服部先生のクラスには廊下側の前から3人目に柳沢慎吾さんの姿も。
○ 細かく見てるなぁ。
● この授業の中で金八は「幸せの黄色いハンカチ」山田洋次監督の言葉を引用しています。「愛とは相手の命をいとおしむものである」という。ご存知のとおり、黄色いハンカチには武田鉄矢さんが準主役とも言うべき位置で出演していて、これが映画初出演とは思えない演技ぶりで、桃井かおりさんとのコンビが非常に印象深いものでした。
○ 詳しいなぁ。
● また山田麗子、平山、弥市は今のヤンキーとは違って、筋の通った不良だということも分かります。納得すると積極的に力になろうとしますから。
○ 物分かりがよくて単純なのが昔の不良のいいところだよね。陽質というか。そういえば麗子は不良のくせに言葉遣いは決して悪くないしね。
● そうですそうです。愛の公開授業を経て、少なくとも3Bの中では雪乃と保を守ってあげよう、という方向にまとまっていくんですね。
○ 金八が、保に酷い仕打ちをした者を「どてぐりこかす」と発言したのもよかったよね。この一言でなんとなく沈んだ雰囲気が一変したから。相変わらずメリハリが効いて非常に効果的だと思った。パッと花が咲いたようになって、さぁ!って気分になるから。
● 雪乃の預かり先が池内家に決まったことについては、池内シカの尽力が大きかったらしいんですが、これも理屈より気持ちだという主張がが伝わってきますね。
○ 理屈も大事なんだけど、その理屈の根底にあるものは何なんだ、ということだよね。
● あぁそうか。
○ 雪乃を池内家で預かるべきではない、というその理由が、「他に前例がないから」ではいかにもお役所で、本当の解決にはならないと。雪乃の近くにいる大人がどうすれば最も雪乃のためになるか考えた結果、池内家に保護してもらうのが一番だ、ということになったと。
● 前々回に金八は「あの二人に最も良い道を探してやることが、他の連中にも最も良い教育になる」と言ってましたもんね。
○ そうそう。あぁ、つい力んで論じちゃった(笑)。
● 後半では池内先生の離婚歴と、左右田先生の素性が明らかになります。左右田先生は息子の三回忌の日だったんですね。
○ 一人息子の洋は生きていれば中3。息子に先立たれた挙句、女房に逃げられるというなかなかに悲惨な人生で、蛋白が胃壁を守る「焼酎のミルク割り」を好んで飲むというのもまたどことなく寂しさが漂ってるね。
● 酔いが回ると金八を「ミスター・ゴールドエイト」と言ったりするんですが、金八の物真似で人気のお笑いコンビ・ジョーダンズは、そのコントの中に「BAR・ゴールドエイト」という飲み屋を頻繁に登場させています。まあこれは余談ですが。
○ 詳しいなぁ(笑)。

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