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第2シリーズ 23話 「卒業式前の暴力(1)」
加藤優(直江喜一)が卒業式の前日まで欠席することになった。就職先である墨東工業で研修を受けるためだ。クラスメイトから祝福と励ましの言葉を掛けられた加藤は「俺、まともに卒業できるんで嬉しいよ」と笑顔を見せる。
加藤はスナックZでのアルバイトを辞めることになり、その最終日。一度見学したかったという3B有志が店に集まり楽しい時を過ごしていると、そこへ荒谷二中の不良2人が駆け込んでくる。仲間を警察に引き渡した教師どもへ報復してやりたい、だから卒業式を集団ボイコットしてやる、そのためにはかつて二中の番長だった加藤の力がどうしても必要だ、というのだ。加藤を引き止めるクラスメイト、かつての仲間を見捨てる訳にもいかず迷う加藤…。と、そこへ警戒中の刑事が踏み込んでくる。一方的に全員を悪者だと決め付ける刑事の手により、生徒は皆まとめて補導されてしまう。
加藤の母は親としての責任を感じ、「迷惑を掛けたら謝る。それが人の道」と言い残して生徒の家へ謝罪に出掛けていく。この言葉で加藤の気持ちは決まった。関係のない生徒や親にも迷惑が掛かる全員ボイコットではなく、教師に謝らせたい奴が謝らせればいい話だとして、自分が二中へ出向いて教師と話をつけることを決意する。
明くる朝、玄関を出た加藤は墨東工業の作業着ではなく学生服を着ていた。殴り倒してでも引き止めようとする松浦悟(沖田浩之)を「長い人生、5分や10分急いで何になる」という金八の言葉をもって制し、筋を通すために荒谷二中へ向かうのだった。
ほどなく、荒谷二中では不良たちが教師に謝罪を迫りはじめる。その中に、加藤、そして松浦の姿もあった。知らせを聞いた金八(武田鉄矢)は二中へと急ぐ…。
みどころ談義
- ● さぁ! ヤマ場がやってきましたよ。加藤優が荒谷二中へ乗り込みます。
- ○ さすが、ほとんど息をつかせてくれない展開。スナックZのシーンぐらいかな、ニヤリとできたのは。
- ● あとはもう、固唾を飲むような感じで。
- ○ 加藤がとにかく揺れるんだよね。本質がマジメだから、いろんな方向からの思いに応えなきゃと思ってしまって。
- ● 更生して働きたいという想い、かつての仲間を見捨てられない気持ち。力になってくれた先生や同級生への感謝、官僚主義的な社会への憤り。筋を通すことが何より大事だとも思うし、ある種の諦めが必要なのかもしれないし…。
- ○ 卑屈なほどに頭を下げ続けるお母さんに対する複雑な心情もあるよね。
- ● あぁ〜、もう、僕だったら全部投げ出しちゃいますよ。訳わからない、どうでもいいやって気持ちになるところです。
- ○ でも、加藤はそうならないんだよなぁ。これが後年のシリーズになると、たいてい訳がわからなくなった生徒がパニックになって事件を起こすパターンになるんだけれど、この時代の加藤という生徒はむしろはっきりと意志を示したことが事件に繋がるという。
- ● あぁ、そうですね。後のシリーズでは生徒が混乱していきますけど、この第2シリーズの加藤や第1シリーズの雪乃と保ははっきりと道を決めている…。これは大きな違いですよ。時代が違うと言っちゃえばそれまでなんですが。
- ○ まあね。1980年の中学生と2000年以降の中学生の性質が違うのはそりゃ当たり前。金八先生だって変わったもんね。初期だと生徒と一緒になって全力で後押しするような立場がが主だけれど、後年は迷う生徒を諭すような場面がより多くなった。それが押し付けがましいだとか敬遠されがちになっちゃった要因なのかな…。なんて、話がズレちゃった(笑)。大事な23話の感想に話を戻そうか。
- ● そうしましょう。えーと… 揺れ動く加藤に最終的な決意をさせたのは何かってことなんですが、これはおそらく母親の一言だろうと。
- ○ 巻き込まれて補導された生徒の家に謝りに行くシーンだよね。「迷惑をかけたら謝る。それが人の道だ」という言葉。ここから、やっぱり二中の教師は頭を下げるのが道理だ、そして自分達も部外者に迷惑をかけてはダメだ、ということになったんだと思うよ。
- ● 警察でもお母さんは、先生や他の親御さんに頭下げまくっていて、加藤は神妙に見てましたもんね…。その親の一言が自分の最終決断の鍵になるというのは大いにあります。
- ○ そして、それが母親の何気ない言葉だったというのがいいんだよなぁ。普段と特別変わったわけではない母の姿の中から見つけた加藤なりの答えなんだよ。
- ● いろんな蓄積があって、その最も象徴的な言葉が最後の決め手になった、といえるかもしれないですね。
- ○ そうだね。「長い人生、5分や10分〜」なんて初回のセリフが出てきたことにも表れていると思うんだけれど、このシリーズで起きた様々な出来事が、いよいよ最終回へ向けてギューッと収束していくような感じがすごくする。
- ● …いよいよ大詰めなんですねぇ。感慨深いです。
- ○ さすが、ほとんど息をつかせてくれない展開。スナックZのシーンぐらいかな、ニヤリとできたのは。
その他の周辺状況・小ネタ
- 3Bの美術・卒業制作は金八の肖像画。ひとりで描いている生徒もいれば、グループで一つの作品を作っている生徒もいる。
- スナックZを見学したのは、繁好、美保子、康男、純一、久之、大吾、まどか、園枝。それプラス加藤、松浦、椎野がおり、計11人の3B生が店にいたことに。
- スナックZでの面白出来事
・園枝、あんみつを注文するが取り扱っていない。
・大吾、テキーラを知らず赤っ恥。
・まどか、棚から青年向け雑誌を手にとってしまい「キャー!」→「平気よ私はこんなもの!」と強がる。
・美保子は青年向け雑誌の存在に憤る。
・久之、その青年向け雑誌をどさくさに拝借。
・純一、横浜銀蝿のレコードを流し、奇妙なダンス!→大吾以外のみんな踊りだす。 - スナックZのオーナーで元魑魅怒呂トップの岸森は、チェーン・レストランの研究で外国へ行っているとのこと。
- 荒谷二中の良心・米倉先生は倒れてしまって不在。