金八先生マニアックス

ホーム放送年表/鑑賞ガイド > 第3シリーズ8話

3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第3シリーズ 8話 「三年二学期・期末テスト」

期末テストが近づいた。内申書に影響する最後のテストを前に、学校全体が落ち着かずカリカリした様子だ。普段おしとやかな寺尾先生(岡本舞)でさえ、浮き足立つクラスに男言葉で怒鳴ってしまい、ショックのあまり泣き出してしまう。祖父の手術があるといって早退した倉橋和幸(岩国誠)は、それを口実に自宅で試験勉強をしていることを田中一義(萩原聖人)に見抜かれ、黙っている代わりに数学の時間に答案を見せろと要求される。

そしてテスト期間に突入。臨時の家庭教師をつけてまで臨んだ榊原知美(池内心)は出来の悪さに落ち込み、進学先を変えるべきかと悲観的になる。石川克彦(町出淳一)は風邪をこじらせドクター・ストップが掛かるも、朦朧となりながらなんとか試験を受け、放課後タクシーで病院へ運ばれていく。そんな生徒たちの必死な様子を見て、理科の石田先生(岩下浩)は「そんなに力まなくてもいいのに、今の生徒は目の色を変えるんだから」とこぼす。

最終日。追い詰められた知美はついにカンニングペーパーを作成。上下逆さに仕込んでしまったためカンニングは未遂に終わるのだが、約束どおり答案を見せなかったと掴み合いを始めた一義と和幸のケンカに巻き込まれペーパーが床に落ち、田口和代(石井歌織)に見つかってしまう。クラスメイトから激しく糾弾される知美を親友の梅田恵美(飯塚園子)がただ一人必死にかばい、3Bは騒然。金八(武田鉄矢)は、知美はカンニングをしたと取られても仕方がないとしながらも、生徒らのトゲトゲしい物の言い方を問題にし、「他人を攻撃する前に、自分をしっかり見つめなさい」と説教する。

職員室に戻った金八は、いったい何が生徒たちをここまで駆り立てるのか、試験の成績が人間の値打ちを決めるのではないといくら言い続けても、成績至上主義はますます歯止めが利かなくなっている、と憂い考え込む。しかしすぐに、喚かないよりは喚いた方がいい、それでこそ教師だと、自分に言い聞かせるように決意を新たにするのだった。

88年11月28日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 生野慈朗

視聴率: 21.0%

DVD: なし

参考文献・挿入歌

 みどころ談義
● 今回も面白いお話です。学校行事が話の中心になりました。内申書に大きく関わる二学期の期末だけに、生徒それぞれにドラマがあるというか。
○ そうだね。テストに躍らされて多くの生徒が何らかの異変をきたすという回で(笑)、人間模様がすごいのね。
● 風邪を押してテストに臨む克彦、克彦を心配する金八を見てヒイキだと僻む吉人、身内が手術するからと早退して家で試験勉強をする和幸、それに付け込んで答案を見せてもらおうとする一義…。知美は焦ってカンニングしようとして、恵美はそんな知美がやっぱり心配で。和代たち仲良しグループは一緒の高校に行きたいと願うけど、風船のようにバラバラになりそうで…。
○ ホントいろいろ細かく描かれていたよね。風船、爆竹、知美の出来のいい妹なんかがいいアクセントになっていたのも見逃せない。そして、最初は個別に扱われていた各生徒のエピソードが、知美のカンニングペーパーが見つかる場面で一気に集約してくるという感じがまたすごい。
● 話がすごい繋がり方をするんですよね。ユスった一義と拒否した和幸がケンカして、ちょうど後ろの席の知美がカンペ落とされちゃって。その隣に無遠慮に文句言う和代が座ってるんです。正直、和代たち仲良し5人組の話までが伏線的なものだったとは思いませんでした。それから、その後の金八先生のお説教がすごく真に迫っていたんですよ。あれ生徒の子達も本気で感動してたんじゃないでしょうか。
○ 金八さん、カンニングを画策した知美をあまり責めなかったでしょ。「知美が得した顔かどうかよく見てみろ!」というセリフ、心に響いたなぁ。普通はまずカンニングしたら悪者だけど…そうだよなぁ、悪者になった時点でそれがもう制裁で、本人はもう分かってる。改めて犯人扱いする必要はないのかもしれないな。
● ちょっと違った角度から納得させられる、という感じですか。
○ そうだね。第2シリーズのまんじゅう騒動のときにも感じたんだけどね、まんじゅうをゴミ箱に捨てたこと自体を普通は怒るんだけど、「捨てるならどうして家のゴミ箱に捨てなかった!それが礼儀だ!」という怒り方をしたでしょ。そういう、今まで自分の中になかった視点で言われると価値観を揺さぶられる感じがして、後々まですごく心に残るんだよね。
● なるほど…。そして、最後の金八先生の呟きもグッときましたね。普段何かといえばすぐ噛みついてくる教頭先生も、目こそ合わせないんですが珍しく黙って聞き入ってるんです。
○ 定期テストを題材にここまで味わい深い話になるとは。感心。
 小ネタ/周辺状況
◆ 風邪をこじらせた克彦の数学の点数は65点。大きな勘違いをしたという知美は30点。
◆ 成瀬浩二も理科のテストでカンニングをしたのに、金八に「カンニングした人なんていねえよ」としらっぱくれる。
◆ ラストの生徒の名前テロップの出方が、男女別に一列になっている。
 参考文献/挿入歌/BGM
◇ 【詩】 自分の感受性くらい (茨木のり子)
 ≫詳しく見る

7話≪ - 放送年表 - ≫9話

金八先生マニアックス