金八先生マニアックス

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3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第3シリーズ 10話 「進路決定・三者面談(1)」

三者面談が間近に迫った。生徒の受験校を最終検討する大切な話し合いだ。しかし山田裕子(浦明子)は父親の太吉(前田吟)にそのことを伝えていないようで、金八(武田鉄矢)は心配になる。また、保健室登校を続ける水野君恵(岸雅)は「卒業したくない。この学校に残りたい」と個人ノートに書いて金八を驚かせる。三浦泰久(宝田慎一)と柴田至則(原田幸一)は君恵とすっかり親しくなり、高校へ行っても君恵の力になりたいと無邪気に言い合っている。

3Bの生徒の多くは自分の進路のことで頭が一杯。君恵がなぜ元気をなくしているのかと尋ねる金八に、扱いが違うのは不公平だと食ってかかる。野本今日子(林佳子)や榊原知美(池内心)は君恵に面と向かって「特別扱いされない子の気持ちも考えてよ。甘ったれるのもいい加減にして」と言い放つ。君恵はうつむいて走り去ってしまう。

三者面談が始まった。和田晴美(太田晴恵)は私立に進むか都立がいいかと親子で揉めはじめ、高峰英和(倉田照三)の母親は本人の実力以上の高校を希望して金八を悩ませる。そんな中、酔っ払った太吉が教室へふらりと乱入。順番を守るよう諭されるが、やがて帰宅してしまう。金八がその晩裕子の家を訪ねると、太吉は金八を親友だといって歓迎し、意外にも「裕子を大学へ行かせたい」と言うのだった。

翌日、君恵はまた個人ノートを提出。そこには「この学校を卒業したくないと言ったのは、いい人が多いから」と書かれていた。前の学校ではイジメを受け、泰久や至則のように親切な人も、今日子や知美のように本当のことを言ってくれる人もいなかったのだ。金八は3Bの真心が君恵に伝わったことを嬉しく思い、これを契機に君恵に教室に戻るよう誘う。君恵は決断できずにいるが…と、そこへ金八に電話が入る。急用らしい様子だという。

金八が電話に出ると、受話器の向こうの声は裕子だった。降りしきる雨の中、公衆電話から掛けてきた裕子はこう言う。「お父ちゃんが死んだ」—。

88年12月12日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 生野慈朗

視聴率: 22.6%

DVD: なし

小説本: 第10集

 みどころ談義
● あぁ、太吉さんが…。
○ …あっけなく亡くなるもんだなぁ。
● 金八先生のことを「たった一人の友達だ」って、すごく嬉しそうにしていたんですが…。残念です。
○ 冬休みになったら一緒に競馬に行こう、なんて将来の約束を金八さんとするからさぁ、嫌な予感はしたんだよなぁ。
● 皮肉なもので、裕子はこうなってから初めて金八先生を頼るということに、結果的にですけどなってしまうんですよね。
前回の話で、啓一郎は母子家庭ゆえの辛さや寂しさの裏返しでツッパっていた、なんてことを言ったけど、この裕子も父一人子一人だったんだよなぁ。しかもこっちの親の方がタチが悪いぶん、裕子に掛かる負担はより大きかった。最後に寄りかかれる場所があってよかったよ。
● それから君恵の方にも動きがありました。太吉さんが金八先生を友達だと思うようになったのと同様に、君恵も今までの出来事がきっかけになって、泰久や至則を大切な友達だと思うようになっていたんですね。
○ 今日子や知美は文句を言ってきたのに、それすらも君恵は「本当のことを言ってくれる人は今までいなかった」と喜んで受け入れるんだよね。
● ちょっと好意的に受け取りすぎじゃないのかと思わなくもないですけど(笑)。
○ でもポジティブに考えられるようになったというのが嬉しいじゃない。前の学校でどれだけ厳しいイジメを受けてきたのかを思うとね。
● ノートにですけど自分の意見をはっきり書くようになって、あと一歩のところまで来てると思います。もう一息、勇気出してほしいなぁ。
○ あっ、最後に一つ言っていい? ちょっと雰囲気変わっちゃうんだけど。
● どうぞどうぞ。遠慮なく。
○ 三者面談に出てきた、英和の母親役の鷲尾真知子さん! いいよなぁ。
● 余裕のない受験生の母親!って感じがいかにもしていて(笑)。第4シリーズでは日下信次の母、第5シリーズではヒノケイの母役と、欠かせない存在になっていくんですよ。
○ スペシャル盤にも何度か出てたよね。いいキャラクターだよなぁ。
 小ネタ/周辺状況
◆ 泰久の偏差値は48、英和の偏差値は58。
◆ 織田真紀の将来の夢は、世界を飛び回るリポーター。迫文代やひょうきん由美を目標に挙げているところをみると、当時の人気クイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」に影響を受けている模様。
◆ 和田晴美の母は、娘とそっくりなアラレちゃん風のメガネを掛けている。
◆ 金八は酒好きの太吉のために、養命酒をおみやげに持って行く。「スポーンと一本養命酒!」と、第1話を踏まえた掛け声も。
◆ それに対し太吉、医者から飲酒の許可が出たら祝い酒にする、と答える。
 他のシリーズでは
■死ぬということ
…ラストの裕子との電話のシーンで、金八は太吉の死が信じられず「人がそんな簡単に死ぬわけないだろ」と言うが、第5シリーズ11話では、餅を喉に詰まらせて昏倒したお年寄りを目の当たりにした山田邦平が「人って簡単に死んじゃうんだな」とこぼしている。

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