金八先生マニアックス 「金八先生マニアックス」は、TBSドラマ「3年B組金八先生」を勝手に深読みし分析するサイトです。リンクはご自由に。

ホーム放送年表/鑑賞ガイド > 第5シリーズ12話

3年B組金八先生 鑑賞ガイド


◆ 第5シリーズ 12話 「辞表提出その後…」

金八(武田鉄矢)は体罰をふるった5人の生徒の家へ謝罪に向かう。兼末健次郎(風間俊介)は母親は不在だと嘘をつき、自宅に人が近づくことを極端に恐れている様子だ。塩沢好太(森雄介)は大西さん(織本順吉)に謝ろうと病院を訪れるが、病室の手前でデラ(香川佑太朗)の猛抗議にあい阻まれる。その大騒ぎの中、居合わせたフリージャーナリストが体罰事件を嗅ぎつけ、付近で聞き込み調査をはじめる。思わぬ事態に学校側は更なる混乱を危惧、先手を打つべくPTAと地域住民、教育委員会を呼び話し合いを持つ。

会合では保護者から金八の責任を問う声が次々と挙がるが、体罰を受けた当の生徒たちが金八を必死に擁護する。それは「先生のことが好きだから」であった。あんなに真剣に叱ってくれた先生は今までいなかったというのだ。遅れてやってきた桜田友子(小高早紀)は金八に頭を下げ「生徒を殴った先生がクビになるのなら、私も生徒をクビになる」と発言、生徒から愛されていると知った金八は、教育委員会の出した「謹慎1週間と減俸1ヵ月10%」の裁定を受け入れ、辞表の撤回を決意するのだった。

自宅に戻った金八は、健次郎が何かをひた隠しにしている様子を思い出し、「3Bのトゲであった健次郎にも別なトゲが刺さっている、そのトゲを俺が絶対に抜く」と、問題解決への意欲を新たにする。取り巻きを失った健次郎は3Bにおける立場がすっかり弱くなり、逆に深川明彦(亀梨和也)に金銭を要求されるようになっていた。一方、好太は大西と面会を果たし謝罪、もう二度と誰に対してもひどい言葉を使わないとと約束する。

一週間後、謹慎が解けた金八を3Bは明るく迎える。新たに「朝の十分間読書」が始まっており、金八は「他人を思う力を読書で鍛えよう」と熱弁、次第にペースを取り戻してゆくのだった。

00年1月13日放送

脚本: 小山内美江子

演出: 福澤克雄

視聴率: 17.6%

DVD: 第5巻

小説本: 第17集

参考文献・挿入歌

 みどころ&勝手な解説
● 前回からの完全な続きで。辞表を出した金八先生がそれを撤回するまでを描いた回です。
○ 今回の泣きポイントは友子かな。「生徒をぶん殴った先生がクビになるんだったら、私も生徒クビになる」と言って金八に思いを伝えたシーン、よかったなぁ。
● はい。友子は終盤の方で、職員室謹慎になった金八にすごく大人っぽい表情で笑い掛ける場面があったじゃないですか。友子の笑顔はたぶん初めてで、あれも印象深かったですね。友子ファンにはオススメの回だと言えそうです。
○ それから健次郎の転落ぶりも痛々しくて印象深かった。明彦と立場が逆転するんだけど、カツアゲしようとついてきた明彦を、そうとも知らず心配してくれてるんだと思って「俺は大丈夫だよ」なんて言っちゃうんだよ。すごく切なくてここも泣けた。
● 金八先生、兼末家に何か隠し事があることに気づいてくれたようでしたね。ここからは健次郎を救済する物語になっていく予感がしました。
○ 3B全体から健次郎個人へと中心が変わっていくのかな。個人といえば、今回は生徒個人の個性が見えた場面が結構あったんじゃない? 混乱するクラスを落ち着かせようとする正義感の強い邦平、金八が危機に見舞われて泣きながらヒノケイたちに抗議する幸作のいい奴ぶりとか、ちはるも健次郎があれだけ嫌われるようになっても一人ずっと心配していて健気だし。
● 加奈恵の口の軽さも衝撃的でした(笑)。あとは細かいところになりますけど、説明会で「僕たちにも言論の自由は認められています!」と強く訴えた篤は金八が贈った本に影響を受けたのかなと思いましたよ。ラスト、すっかり明るくなって学級目標の声を揃えるようになった3Bもそうですけど、今までの回で起きた出来事が実になっていることを感じましたね。
○ そうだね。そういえば金八先生は以前、「道」という字を自分のクビを賭けて進むんだと説いたことがあったじゃない。それを実践して見せたということだったんだね。伏線がホント効いてるよなぁ。
● じゃあ、今回も何か今後の伏線になるようなことが、ここで挙げた以外にもあるかもしれませんね。もう一度見直してみようかなぁ。
 小ネタ/周辺状況拾い読み
◆友子の実家は「櫻組」。鳶の親方、つまり友子の父親役は木場克己さんで、次の第6シリーズでは桜中の千田校長として登場することに。
◆明彦が健次郎に金銭を要求するガード下のシーンで、電車が通り過ぎる音が象徴的に挿入されるのだが、影を見る限り実際に電車が通過している様子はない。
◆説明会は3Bの教室で行われたようで黒板には「約束」の文字が残っていたが、前回と見比べてみると字の形が微妙に違う。一度消しちゃったか。
◆その説明会内のヒノケイ母の発言から、加奈恵の家は薬屋だと判明。
 他のシリーズでは
■話し合い
…教師と保護者、地域その他が話し合いの場を持つシーンはこのドラマに多い。最も有名なのは加藤優らの処遇を巡った第2シリーズ24話か。
 この回の参考文献/挿入歌
◇ ガラスのうさぎ (高木敏子著、金の星社)
◇ 一人で強くなる将棋入門 (伊藤果著、日本文芸社)
◇ 風と共に去りぬ (マーガレット・ミッチェル著、新潮社)
◇ アンの夢の家 (L.M.モンゴメリー著、講談社)
◇ 「明治」という国家 (司馬遼太郎著、日本放送出版協会)
 ≫詳しく見る

11話≪ | 放送年表 | ≫13話

金八先生マニアックス