ΤΙ ΚΑΙΝΟΝ

2005/11/04 * 情報感謝 * 高津春繁『印欧語比較文法』

 復刻されますよ。もう予約もできますよ。すてき!

 散髪を一回我慢すれば、浮いたお金で買えるお値段です。

2005/10/02 Latin Via Ovid

 オウィディウスでラテン語のお勉強。朗読CD(別売り)もあります。でもずいぶんいいお値段。

2005/09/29 Mikalson, Ancient Greek Religion

 著者は『古典期アテナイ民衆の宗教』を書かれた方。Ancient Greek Religionは手広くヘレニズム期まで概観したもので、図版も多く、親しみ易い解説書になっています。でも困ったことに(当たり前ですが)英語なのですよね。これも日本語で読めると便利なのに。

 章立ては以下のとおりで、分量からしても4章が中心になっているようです。8章は「おまけ」という感じながら、9頁分だけアレクサンドリアの事情にも触れられていました。

  1. An Overview: Greek Sanctuaries and Worship
  2. Greek Gods, Heroes, and Polytheism
  3. Seven Greek Cult Myths
    (Athena, Poseidon, and Athens / Erechtheus, Athena, and Athenian Autochthony / Erechtheus, Poseidon, and Athena / Dionysus, Icarus, and Erigone / Artemis Brauronia and the Bears / Zeus Polieus, the Bouphania, and the Ox / Zeus, Prometheus, and the Gods' Portin)
  4. Five Major Greek Cults
    (Athena Polias of Athens / Demeter Eleusis and the Eleusinian Mysteries / Doinysus Cadmeios of Thebes / Apollo Pythios of Delphi / Zeus Olympios of Olympia)
  5. Religion in the Greek Family and Village
  6. Religion of the Greek City-State
  7. Greek Religion and the Individual
  8. Greek Religion in the Hellenistic Period

 【自分用メモ】同シリーズ(Blackwell Ancient Religions)のローマもの。

2005/09/10 泉井久之助『ラテン広文典』

 復刊ドットコムのぶんはもう無いようですが、Amazonはまだ何冊か持っているのかも知れません。

 実店舗の書店でも、どこかで確保していると良いのですが。

【2005/09/11追記】

まずは版元を見るべきでした。

2005/08/24 Braunfels: Die Vögel

 こんなオペラがあったのですね。私は初めて知りました。アリストパネスの『鳥』がモトネタだそうです。

【2005/09/09追記】

 上記のCD、入手しました。ふつうに綺麗なオペラです。鳥の囀りを真似た歌(『魔笛』のパパゲーノとパパゲーナの二重唱の「パパパ……」のくだりをしつこくしたようなの)が楽しいと思いました。ちょっと軟派な感じの音なので、ユダヤ系ではなかったとしても、あの時代の趣味には合わなかったかも知れません。

2005/08/15 メアリ・ルノー『アレクサンドロスと少年バゴアス』

 どうやら、The Persian Boyの翻訳のようです。

 今頃になってやっと翻訳が出るなんて、やはり映画「アレキサンダー」のおかげでしょうか。

2005/08/06 マーガレット・ドゥーティ『哲人アリストテレスの殺人推理』(講談社)

 6月末くらいに出た娯楽小説です。

 柳沼重剛『語学者の散歩道』で、「〔学生に貸したら戻ってこなくて〕今ではその持って行った学生が誰だったのかの記憶も怪しくなっただけならまだしも、著者の名前まで忘れてしまった。アメリカのペンギンブックスである。ただ著者の名前は忘れたが、カナダの女流作家であることは確かで」(159頁)などと、じらすように紹介されていた本かと期待したのですが、どうもよく分かりません。紹介されていた特徴のうち、【警告: 以下ネタバレあり】

あたりは一致するものの、容疑者は語り手の父ではなく従兄弟だといった細かい点だけでなく、『探偵アリストテレス』の最大の欠点とされるアリストテレスの描写が違うようなのです。

 例えばアリストテレスの容貌について。

アリストテレスの推理方法。

 演出の都合なのか、確かにシャーロック・ホームズっぽい部分もあるとはいえ、特に前半はアリストテレス節全開。柳沼氏紹介の本であろうとなかろうとけっこう楽しめたので、買って損をしたとは思わないものの、やはり真相が気になります。

2005/07/13 ★祝!復刊★ 泉井久之助『ラテン広文典』

 あの幻の名著『ラテン広文典』が復刊されます。復刊ドットコムで販売中。

 復刊を信じて待っていた甲斐がありました。これでもう、10万も払って古本を買わずに済むのです。本当に良かった! がんばって生きてたらいいことあるんだなー。ὅς τε πολὺ γλυκίων μέλιτος καταλειβομένοιο. 異常な古書価格に対する私怨含みの悦びであることは自覚しています。

2005/06/23 キケロー『弁論家について』下

 先月ぶんの続き。先週出ました。

 

2005/06/03 国原吉之助『古典ラテン語辞典』大学書林

 出ました! 36,750円。学生さんには気軽に買えるお値段ではないものの、こういう本がちゃんと出版されるということ自体に意義があると思います。

 田中氏のお手頃価格の羅和辞典があるうえ、カンドウ氏の辞書もあって、そのうえ和羅辞典も。そういえば文法表までありました。いいなー、いいなーラテン語は。(漢文は別格として)ラテン語は古典語の中では突出して恵まれていますね。ちょっと妬ましくなってきましたよ。

2005/06/01 騙されないもんね

 ここのところ何本かギリシャネタの映画が公開されていますよね。そこで、これもその手の映画だと言って私を騙そうとする知人がいるのです。

 エウリピデスの翻案で、ヒロインの母を殺したのは実はヒロイン本人、そうでなければこんな意味深長な役名にするものかと、その人はまことしやかに主張するのですが……これは違う、ぜったいエウリピデスじゃない。というより、ニンジャが出てくるエウリピデスものなんて嫌です。

2005/05/21 キケロー『弁論家について』上

 出ましたね。訳者は『はじめてのラテン語』の大西氏です。

 下巻は来月出るようですが、買うほうの者としては上下揃えて出してもらったほうがありがたいな。だって送料や交通費が。

2005/05/12 クセジュリクエスト復刊

 話が古過ぎますが、私は初めて知りましたので。文庫クセジュのうち、以下の本が2004年に一括重版されています。

 Amazonだと「品切れ」で注文できず、フラスリエール『ギリシアの神託』にいたってはヒットすらしないのに、セブンアンドワイだと注文できて、ちゃんと届きました。

2005/05/10 書物復権2005

 復刊されるようです。

2005/04/23 数学小説『ヒュパティア』

 こういう↑分類の仕方があろうとは。言われてみれば、確かにヒロインは数学者ですし、15章ではアポロニオスや円錐曲線も話題になっています。

 アリストパネスの『鳥』(990以下のメトンが出てくるくだり)も、数学フィクションなのだそうです。まぁ、「数学度」は低いという評価ですが。

 『鳥』でも入れるくらいなら、プラトンのほうがもっとあからさまに数学くさいのに。とはいえ「フィクション」かどうかという点が、びみょーなのでしょうね。

2005/04/21 ヘシオドス一家のお引っ越し

 ヘシオドスというと海嫌いで有名ですよね。船に乗ったのなんかアンピダマスの競技会に出るためにアウリスからエウボイアに渡ったときだけだ、と本人が言っていますし(『仕事と日々』650)。それで、ヘシオドスのお父さんが事業に失敗してギリシャ本土の寒村に都落ちするこのくだり、

ὅς ποτε καὶ τῇδ' ἦλθε, πολὺν διὰ πόντον ἀνύσσας,
Κύμην Αἰολίδα προλιπών, ἐν νηὶ μελαίνῃ

「海上貿易をやるんだったら父さんみたいに立派にやれよ」と兄弟に語る場面に続くこの635-6行も、「〈海を渡るなんてことをやってのけたすごい父さん〉なのに、あわれこんな辺境に……」みたいにとっていたのですよ<ここは嗤うところです、ギリシャ語が分かるかた。

 岩波文庫の松平訳だと次のとおり。

父上はその昔、アイオリスの町キューメーを後にして
黒き船で大海を渡り、この地へ来られた。

お手本を見ると、なるほどこう訳すものだわなと思うのですが、ただ、これだとお父さんは船で本土に来たけれど、そのときにはヘシオドスはまだ生まれていなかったということですよね。この行のすぐ後で、アウリス−エウボイア間の渡し船にしか乗ったこと無いって言っているのですから。

 ところが同じ岩波文庫の解説では、「ヘーシオドス兄弟が父の移住以前に生まれたのか、本土で生まれたのかは判らない」(179頁)とされているのです。本土生まれだと考えても何か矛盾が生じるもよう。何だか気になってきたものの、でもこんなところからヘシオドスにはまるのは嫌だなぁ。

2005/04/06 『車輪の下』の古典語学習

 古典語を勉強してから読みなおすと、また違った味わいがありますね。前半のハンスはけっこう楽しそうです。

家に帰ると、机に向かってmiに終わる動詞をもう一度調べた。……彼はギリシャ語が好きなどころか、それに熱中していた。しかしただ読むためだけだった。特にクセノフォンはとても美しく感動的に生き生きと書かれていた。すべてが朗らかに愛すべき力強い響きを発し、軽快自由な精神を持ち、それにわかりにくいところもなかった。だが文法のことになったり、ドイツ語をギリシャ語に翻訳しなければならないとなると、食い違った規則や形の迷路に迷い込んでしまい、以前まだギリシャ語のアルファベットも読めなかった最初の課業のころとほとんど同じような不安なおじけを、この外国語に対して感じるのだった。(26頁)

ふたりはごくわずかの文章を読んだ。それが一語一語極度に綿密に訳された。それから先生はささいな例をおしひろめて巧妙雄弁にこの言葉の独特の精神を説明し、この聖書の成立の時代といきさつを述べ、たった一時間のうちに、少年に学ぶことと読むことについてまったく新しい観念を与えた。一句一句一語一語のうちにどんななぞと問題が隠れているか、この疑問のために昔からいく千人の学者、瞑想家、研究家が努力してきたか、ということをハンスはほのかに感ずることができた。彼自身もこの一時間のうちに真理探究の仲間にはいったような気がした。……いま彼は真の研究への道を進むには、勉強と知識の山をどのくらい越えなければならないか、ということを感じた。そしてどこまでもやり通し、けっしていいかげんには済まさないという覚悟をした。(55頁)

しかし結局、ホーマーはホーマーだった。最初の困難を乗り越えると、そのすぐ背後に思いがけぬ楽しみが現われて、ぐんぐん先へ誘って行った。神秘的な美しい響きを発する、難解な詩句を前にして、胸一杯の焦燥と緊張にふるえることもたびたびあった。そして引く手ももどかしげに字引を見ると、静かに朗らかな花園を開いてくれるかぎを見つけることができるのだった。(61頁)

これが、あんな結末になってしまうなんて。ハンスのような若い人が功名心にかられるのは無理もない気はしますが、幸せであるために知るというのは、優秀な人ほど難しいのかもー。<優秀でない者のひがみ

2005/03/27 蜷川幸雄版「オイディプス王」再放送

 去年の夏の放送を見逃したかたには朗報。今日の夜、NHK教育で、蜷川幸雄版「オイディプス王」が再放送されるようです。NHKのサイトでは(私のパソコン環境では)うまく表示できなかったのですが、新聞のテレビ欄に出ていました。午後10時からだそうです。

2005/03/23 予約復刊: プラトン全集(岩波書店)

 4月15日までに申し込むように、とのお達しです。古書店めぐりが苦痛な方にはよい機会かと。

2005/02/24 復刊リクエスト候補書目リスト

 受付中。古代関連の本もちょこちょこあがっています。

2005/02/21 新刊: ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』(講談社学術文庫)

 出ました。文庫なので場所を取りませんし、お値段もそれほどでもありません。迷って居られるのでしたら、新刊で買えるうちに買っておくほうがいいと思います。

訳者はコルートスクイントゥスも日本語で読めるようにして下さった、あの松田治氏です。感謝。

2005/02/15 岩波文庫のリクエスト復刊

 22日に出るそうです。

 『ヒッポリュトス』のついでに『楡の木陰の欲望』も刷ってくれるといいのに。

2005/01/19 ロレンス・ダレル『アレキサンドリア四重奏』復刊交渉開始

 『アレキサンドリア四重奏』の復刊交渉が始まったようです。復刊ドットコムから連絡がありました。

 高津春繁『ギリシア語文法』も、おかげさまで折り返し地点に達しました。2年半で50票。高津氏の著作のなかでは一番人気のようです。

2005/01/16 * 情報感謝 * 劇場中継『アンティゴネ』

 もし間にあったら、すぐに接続を切って、NHK教育(テレビ)をつけるのです! 23:00から「芸術劇場」でソポクレスの『アンティゴネー』が放映されるそうですよ。急いで!

2005/01/15 Nulla dies sine linea.

 2004/12/23に書いたNulla dies sine linea.の訳、誤訳でした。というのも出所は、プリニウス『博物誌』35巻36節のギリシャ画家列伝、紀元前330年頃に活躍したコスの画家アペレスを紹介したくだりなのです。

Apelli fuit alioqui perpetua consuetudo numquam tam occupatum diem agendi, ut non lineam ducendo exerceret artem, quod ab eo in proverbium venit.(またアペレスの常の習慣だったのだが、どんなに用の立て込む日でも一本でも線を引いて技を磨かないことは決してなく、これは彼が元になって諺になった)。

 画家が技を練習すると言っているのですから、「(文章を)一行も書かない日はない」ではなくて、「(絵の)線を一本も引かない日はない」でしょう。

 Moleskine社はこれを踏まえて方眼罫メモ帳にプリニウスを起用して、「お絵描きにも便利ですよ」と宣伝しているのでしょうか。でも同社のカタログには無地や水彩紙のメモ帳もあるのですよね。こちらの宣伝には誰が使われているのか気にはなるものの、近所では見かけないし取寄せて確かめるのも……。何しろ方眼罫のも買って後悔しているくらいですし。値段を気にして書き込みを控えるようではメモ帳の意味がありません(<Moleskine社に責任なし。使い勝手はいいですよ)。知人が愛用しているのを見て便利そうだと思ったのですが、その人は私よりはるかにお金持ちでした。分不相応なものに手を出してはいけないという教訓を得た次第。

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