年番方同心染谷文兵衛の妻おりくが何者かに刺殺され遺体を川に捨てられた。
この事件を担当するのは、主水と、吟味方筆頭同心への出世を間近に控えた同心堀田新三郎。

その堀田の妻早苗には、夫に言えない秘密があった。金貸し座頭の雲市から三十両もの金を借りていたのだ。
早苗は返済期限までに完済することが出来ず、雲市の手下松五郎・徳次・鬼吉に、雲市のいる出会い茶屋へ連行された。
そこで早苗は、雲市から借金を体で返してもらうと宣告され、その練習として雲市に体を奪われてしまう。

主水たちに木更津から仕事の指示が飛んできたのはその頃だった。
ターゲットは雲市、依頼人はおりく。おりくは雲市との借金のもつれで殺されたのだと、主水は推測する。

そして早苗と雲市の関係を知らない堀田は、おりく殺人事件の容疑者として松五郎を捕らえた。
それに対して雲市は、堀田を船宿小村におびき出す。そこでは早苗がよその男と体を重ねていた。
この一件でようやく堀田は、早苗が借金をこさえていたことを知る。
雲市との直談判に乗り出す堀田。そこで雲市は早苗の借金を免除する代わりに松五郎の釈放せよと交換条件を突き付けてきた。
堀田はその条件を呑むことが出来ず、早苗の借金を返すため金策に奔走することに。

雲市一味の高利貸しの実態を調べていた加代とおしまは、男に抱かれそうになっている早苗を救出。早苗を堀田の妻と知り、堀田が借金地獄に苦しんでいることを突き止めた。
その加代とおしまを堀田の手先と勘違いした雲市は、堀田に返済を断念させ松五郎を釈放するよう強く迫る。
堀田は、早苗の借金が世間に露見してせっかくの昇進がパーになるのを恐れる余りに、松五郎の釈放に同意してしまった。

松五郎を番屋から出したその足で雲市の元を訪ねた堀田は、雲市から証文を受け取るといきなり刀を抜いて雲市に斬りかかった。だがそれも雲市たちの反撃によって失敗に終わる。逆に堀田は斬殺された。
また、堀田を心配して雲市の屋敷に駆けつけた早苗も、堀田の死に逆上した挙げ句雲市に殺されてしまう。
二人に死は、雲市の偽証によって心中として片付けられた。

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