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第2シリーズ 3話 「まんじゅう騒動」
授業中の金八(武田鉄矢)へ電話が入る。電話の主は、現在欠席中の梶井大吾(長山悟)の母親・キヌ(成田光子)であった。大吾は金八の福岡土産である梅が枝餅に食当たりしたため欠席を余儀なくされたのであり、金八に責任をとってもらうというのだ。大吾一人にしか症状が出ていないことを疑問に思いながらも謝罪に向かう金八。すると大吾本人が姿を見せ、饅頭を7個食べたと告白する。さらにそれが何者かに無理矢理食べさせられたものであることをほのめかし、「学校に行くのは嫌だ」と言う。
早速3年B組で話し合いが持たれる。迫田八重子(川上麻衣子)は松浦悟(沖田浩之)の仕業に違いないと発言するが、金八は犯人探しはしないという。「君たちが変わらない限りいじめっ子だって変わらない」と諭し、この話し合いを放課後また続けようと提案する金八だったが、生徒たちはいじめっ子からの報復を恐れて皆帰宅してしまうのだった。
ショックを受けた金八は翌日、頼れる教師であることを示すために「この中で一番腕っ節の強い奴に決闘を申し込む」と悟をけしかけ、教室の真ん中で取っ組み合いになりかける。生徒らが悲鳴を上げると駆けつける野村教頭(早崎文司)。それを見た金八は「悲鳴を上げれば必ず誰かが助けに来る。意思の表明をすることが大事だ。」と主張を展開、大声を出すための発声練習をクラス全員で行う。
その晩、金八は大吾のもとを訪ね、安心して来られるようにするから学校へ出て来いと伝える。翌日の登校風景の中には大吾の姿があった。学活の時間、金八は引き続き発声練習をしようと歌をうたうことを提案し、「村祭り」を歌い始めると、その輪は次第に3B全体へ広がっていくのだった。
みどころ談義
- ● この回は喜怒哀楽がてんこ盛りで、とても面白いんですよ。
- ○ まずいきなり、大吾の寝巻き姿が可笑しいもんね。
- ● そうです。バカボンみたいな(笑)。そして、もはや金八にはつきもののヒステリックな母親が登場したと思ったら、主治医の先生に「饅頭を7個も食べたら腹を壊すのは当たり前だ!」と怒られてオロオロ、というお約束シーンもあって。
- ○ そういうどこかニヤケてしまうような雰囲気が、教室では一変するんだよね。正義感の強い八重子が、悟が犯人だというような発言をして、アンタッチャブルな部分に触れてしまった!と3B全体に走る緊張感。
- ● 他人事だと思ったり仕返しが恐かったりで、放課後の相談会に誰も残ってくれず、ショックを受ける金八先生…。
- ○ そこから、悟を煽って皆の前で気持ちを喋らせつつ、嫌なことは嫌だといじめられる側が表明できなければいけない、と持っていくんだからスゴイよね。決闘を受けるような流れにされた悟が「きたねぇよ!」と言って、それに対して金八さんが「オレがかよ」と言うシーンがあるんだけれど、ここのちょっとした迫力にもゾクゾク。
- ● 説教あり決闘あり、そして最後はなぜか「村祭り」の大合唱と金八ダンスですからね。普通あり得ない展開ですよ。
- ○ 竜馬の写真に相談するシーンもあったし、ホント盛りだくさんの回だ(笑)。
- ● この回のテーマはイジメ問題ですが、前作ではイジメは採りあげていなかったと思うので、シリーズを通じて初のエピソードということになりますね。
- ○ そうだね。注目なのは、いじめっ子だけではなくいじめられっ子の方にも細心のケアをしているというところ。いじめっ子とされる側の子供って、後になって「そんなつもりじゃなかった」と述懐することが多いよね。今回の悟もからかっている程度にしか考えていなかったと言っているし。だからそこを反省させるだけでは本質的な解決にはならない訳で。
- ● なるほど。いじめられる側の、友達にも親にも相談できずに抱え込む状態こそが一番の問題だということなんですね。
- ○ そういう意味では、単なる勧善懲悪ヒーローものとは違って、リアリティがある脚本だと言えるよね。あと見逃せないのが、そんな流れの中でも悟に「バカ、これでもお前のこと心配してんだよ」と一言声を掛けているところ。
- ● さすが金八先生、バランスよく気を配っています。
- ○ この一言は深刻すぎる口調じゃなく、あくまでさらっと軽く伝えているのがいいよね。悟の反抗的な気持ちをよく分かっていて、その隙間にスッと入るような言い方だったように感じたなぁ。
- ○ まずいきなり、大吾の寝巻き姿が可笑しいもんね。
その他の周辺状況・小ネタ
- 序盤に登場する自転車に乗った配達の青年は、第1シリーズの3B生徒、安藤卓。
- 金八、大吾の身体を「乾電池みたいな体」と表現。
- 上林、先生方が職員室に土産を買ってくることを「悪習」だと言う。
- 金八が歌の候補に挙げた「大利根月夜」とは、田端義夫の古いヒット曲(股旅物)。
- 3Bが「村祭り」を合唱している頃、A組では上林が警策を手に精神統一の真っ最中だった。