ヌートリアは、体長は50〜70cm、体重は5〜15kg、げっ歯目ヌートリア科の草食動物で、もともと日本列島に住んでいた動物ではありません。野生のヌートリアは、主に南米のブラジルからアルゼンチンにかけての河川に分布しています。それが、1930年頃から日本でも軍用服の需要が高まったため、毛皮獣として輸入、飼育されるようになりました。が、後にその一部が逃げ出して、現在のように日本各地のあちこちの河川に住み着くようになったのです(特に岡山では捕獲数が最も多い)。
ヌートリアのように人間によって持ち込まれ、やがて人間の手を離れて野生化し、自然増殖を始めた外来の動物を、帰化動物と呼びます。哺乳類では、同じく毛皮獣として持ち込まれ北海道で繁殖しているミンクや、最近ではペットとして持ち込まれたアライグマ、それからハクビシンも日本への帰化動物です。
農作物に被害を与えて農家の嫌われ者となったヌートリアですが、毛皮獣として輸入され始めた当初は軍用服の毛皮用に大量の需要があり、盛んにもてはやされたのだそうです。
ところが、第二次世界大戦後は毛皮の需要が減少し、やがて飼育家からも見捨てられていきます。
そして、現在では、河川改修によって巣穴を掘る土手がコンクリ一トで固められたり、湿地が埋め立てられたりして、その数を減らしている地域も多いといいます。
ヌートリアは水田の畦などを壊したり、生態系を乱す恐れがあるということから、害獣として毎年各地で駆除されています。環境庁の統計(1996年)では、最も捕獲数が多いのは岡山県で、年間約800匹が捕獲、駆除されているそうです。
またイギリスでは1970年代から80年代にかけ、約10年がかりで約100万頭を駆除し絶滅してしまったという悲しい歴史があります。
ではヌートリアは、本当に駆除すべきなのでしょうか?また私たちは、ヌートリアのように、人間の都合で、望まざるして日本列島の自然に「帰化」してきた生き物の命をどう考えればよいのでしようか?
帰化動物は、その土地の自然に育まれて進化した生き物ではありません。あくまで「よそ者」が、繁殖カの高さや天敵の少なさに助けられ、よその土地に定着した生き物です。もし、私たちが、その土地に固有の生き物の進化の歴史を尊重し、固有の生き物が形成する生態系を大切にしようとするのならば、帰化動物は、いない方がよい生き物だということになります。しかしその時も、どのような経歴を持つ生き物であれ、個々の生き物の命はみな同じだけの重さを持つのだということを、十分に理解して対応するべきだと思います。
▼ヌートリア写真はこちらへ→「ヌートリアと白鳥」
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